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ストバーラ帝国編
冒険者ギルドバチード支部
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翌朝、僕達は冒険者ギルドバチード支部の前にいた。海の街らしい白く輝く壁が僕達を出迎えてくれる。扉を開けて確認すると、内装はトリフェの街のギルドと大差ない。違いは素材買取の窓口が多いくらいか。海の魔物は腐りやすいのかもしれない。
「まずは受付に話を聞いてみようか」
「ルカに全部任せる」
受付カウンターに並ぶ。今は空いてる時間なのですぐに順番が来そうだ。
並んでいる時に思ったが、ここの冒険者は体格がいい人が多い気がする。さすが港町。海の男って感じだ。
予想通りすぐに順番がきた。緩いウェーブを掛けた桃色の髪の女性が対応してくれるようだ。
「すみません、いろいろと伺いたいことがあるのですが」
「あらあら、何の相談かしら?僕、家のお手伝いで来たの?偉いわねー」
「違います。鉄級冒険者のルカです。そっちは僕の兄で銅級のアイザック。はじめてバチード支部に来たのでいろいろ話を伺いたくて……」
「えっ!冒険者?ごめんなさいね。ここの冒険者は荒っぽい人が多くて。丁寧な言葉で話かけられたから、依頼人だと思っちゃったわ」
「えっ?そんなに荒っぽいんですか?」
「もう朝からわーわーすごいわよ。ほら、今もあそこで喧嘩してる。ルカくんはこの支部にいないタイプの子ねー」
「はぁ」
「それで聞きたいことって?」
「この支部独自のルールはありますか?」
「ルールは他と変わらないわね。海の依頼を受ける時に申請すれば船が借りられるくらいかしら。壊したら罰金を払ってね。あとうちは大型魔物討伐の合同依頼が多いのも特徴ね。集団で船を動かすこともあるわ」
なんかすごいところに来てしまったな。荒っぽいのは想像していたがここまでとは。ここでは敬語だと悪目立ちするかもしれない。
「もしかして敬語は使わない方がいいですか?」
「うふふ、冒険者さんから丁寧に話してもらえるのは新鮮だから、個人的にはそのままでいてほしいわねー」
「わかった。これからはこの口調でよろしく。えーっと」
「あら残念。モニカよー。これからよろしくね。ルカくん、アイザックさん」
「モニカ、いろいろとありがとう。これからよろしくね。じゃあ兄さん依頼を 」
「そこの少年っ!」
「僕のこと?」
「そうだ!盗み聞きですまないが、冒険者だというのは本当か!?」
「鉄級冒険者のルカだよ。お姉さん」
「お姉さん!なんという甘美な響き!素晴らしい!!」
「ルカ、この女は危ない。離れよう」
「ちょっと待ったー!ここで逃してたまるか!やっと見つけた、私の理想が目の前にあるんだ!」
いきなり会話に割り込んできて、ハイテンションで話しまくる女性。黒目黒髪で変わった形の剣を腰に下げている。興奮しているのか息が荒くて、顔が赤い。
嫌な予感がする。この人の話を最後まで聞いてはいけない。兄さんの言う通りここは立ち去ろう。
「儚げな見た目をした美少年、まさに私が求めていた理想!君がいれば完璧になる!私のパーティー『乙女連合』に加入してほしい!」
「お断りします」
「なぜだっ!」
むしろなんでその勧誘でいけると思ったんだろう。
「お願いだ!君がいれば我が『乙女連合』はさらなる高みへいけるんだっ」
「おい女、さっきからお前は何を言ってる?」
「汚らわしいっ!男が邪魔するな!お前みたいなむさ苦しいやつはあの男のパーティーにでもいけばいいだろう!」
ここで「僕も男なんですけどー」と言っても意味がないことはわかってる。わかってるけどすごく言いたい。
兄さんと『乙女連合』の人が言い争いをしていると、上から被さるような大声がギルドに響いた。
「おおっ!その体格、大剣!お前は見込みがある。俺たちのパーティー『鋼鉄の男』に加入しないか!?俺たちは漢の中の漢!漢らしいお前がいたらさらなる高みへいけるっ!」
「断る」
「なぜだっ!」
これがこの支部の洗礼なんだろうか?僕はさっそくトリフェに帰りたくなった。
「まずは受付に話を聞いてみようか」
「ルカに全部任せる」
受付カウンターに並ぶ。今は空いてる時間なのですぐに順番が来そうだ。
並んでいる時に思ったが、ここの冒険者は体格がいい人が多い気がする。さすが港町。海の男って感じだ。
予想通りすぐに順番がきた。緩いウェーブを掛けた桃色の髪の女性が対応してくれるようだ。
「すみません、いろいろと伺いたいことがあるのですが」
「あらあら、何の相談かしら?僕、家のお手伝いで来たの?偉いわねー」
「違います。鉄級冒険者のルカです。そっちは僕の兄で銅級のアイザック。はじめてバチード支部に来たのでいろいろ話を伺いたくて……」
「えっ!冒険者?ごめんなさいね。ここの冒険者は荒っぽい人が多くて。丁寧な言葉で話かけられたから、依頼人だと思っちゃったわ」
「えっ?そんなに荒っぽいんですか?」
「もう朝からわーわーすごいわよ。ほら、今もあそこで喧嘩してる。ルカくんはこの支部にいないタイプの子ねー」
「はぁ」
「それで聞きたいことって?」
「この支部独自のルールはありますか?」
「ルールは他と変わらないわね。海の依頼を受ける時に申請すれば船が借りられるくらいかしら。壊したら罰金を払ってね。あとうちは大型魔物討伐の合同依頼が多いのも特徴ね。集団で船を動かすこともあるわ」
なんかすごいところに来てしまったな。荒っぽいのは想像していたがここまでとは。ここでは敬語だと悪目立ちするかもしれない。
「もしかして敬語は使わない方がいいですか?」
「うふふ、冒険者さんから丁寧に話してもらえるのは新鮮だから、個人的にはそのままでいてほしいわねー」
「わかった。これからはこの口調でよろしく。えーっと」
「あら残念。モニカよー。これからよろしくね。ルカくん、アイザックさん」
「モニカ、いろいろとありがとう。これからよろしくね。じゃあ兄さん依頼を 」
「そこの少年っ!」
「僕のこと?」
「そうだ!盗み聞きですまないが、冒険者だというのは本当か!?」
「鉄級冒険者のルカだよ。お姉さん」
「お姉さん!なんという甘美な響き!素晴らしい!!」
「ルカ、この女は危ない。離れよう」
「ちょっと待ったー!ここで逃してたまるか!やっと見つけた、私の理想が目の前にあるんだ!」
いきなり会話に割り込んできて、ハイテンションで話しまくる女性。黒目黒髪で変わった形の剣を腰に下げている。興奮しているのか息が荒くて、顔が赤い。
嫌な予感がする。この人の話を最後まで聞いてはいけない。兄さんの言う通りここは立ち去ろう。
「儚げな見た目をした美少年、まさに私が求めていた理想!君がいれば完璧になる!私のパーティー『乙女連合』に加入してほしい!」
「お断りします」
「なぜだっ!」
むしろなんでその勧誘でいけると思ったんだろう。
「お願いだ!君がいれば我が『乙女連合』はさらなる高みへいけるんだっ」
「おい女、さっきからお前は何を言ってる?」
「汚らわしいっ!男が邪魔するな!お前みたいなむさ苦しいやつはあの男のパーティーにでもいけばいいだろう!」
ここで「僕も男なんですけどー」と言っても意味がないことはわかってる。わかってるけどすごく言いたい。
兄さんと『乙女連合』の人が言い争いをしていると、上から被さるような大声がギルドに響いた。
「おおっ!その体格、大剣!お前は見込みがある。俺たちのパーティー『鋼鉄の男』に加入しないか!?俺たちは漢の中の漢!漢らしいお前がいたらさらなる高みへいけるっ!」
「断る」
「なぜだっ!」
これがこの支部の洗礼なんだろうか?僕はさっそくトリフェに帰りたくなった。
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