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第三十五話 覚る
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ポール様が屋敷を去ってから一週間後、僕は別棟の休憩室で文官のマエルと話していた。
「私も旦那様と対面できる時間が変わることを不思議に思っていたんです」
「たしか前に似たようなことを言ってたね」
「はい。私の記録も参考になったようで幸いです」
「ありがとう。それにしてもよく記録してたね」
「旦那様に書類を渡すのも仕事ですから」
マエルが遠慮がちに笑う。
「あ、もうこんな時間だ。またね、マエル。次はスキル以外の話もしようよ」
「はい、是非。今からどちらへ?」
「アルチュールが僕のスキルについて報告するから応接室に来てくれって」
「私もご一緒しましょうか?」
「ありがとう。でも、仕事の邪魔したら悪いから」
マエルの申し出を断り、休憩室を後にした。
応接室の扉を開けると、アルチュールとジョゼフが真面目な顔で話し合っていた。二人とも僕が来たことに驚いて、焦った様子で立ち上がった。
「ノックしたけど返事がなかったから」
「申し訳ございません。少々込み入った話をしていました」
アルチュールが頭を下げる。少し遅れてジョゼフも頭を下げた。
「大丈夫だよ。それで、どうだった?」
応接室のソファーに座り、二人にも座るよう促す。二人はもう一度頭を下げて、ソファーに腰を下ろした。
アルチュールが机に書類を広げ、説明を始める。
「ポール様のご推察の通りでした。ノア様のスキルの影響下にいると、旦那様に接することができる時間が長くなるようです」
「さすがポール様だね。全然気づかなかったよ」
「ええ、私たちも驚いております。数字を見ると今まで気がつかなかったことが不思議なくらいです」
書類に目を通すと、明らかな差があった。人によっては五倍ほど差があり、僕のスキルが影響していることは明らかだ。
「他に要因がないか試してみましたが、ノア様のスキルの影響以外考えられませんでした。検証を重ねて何度も気絶したので間違いないかと」
「大変だったね。あんまり無茶してほしくなかったけど」
「さすがに熱が入りますよ。旦那様が当主を退いた後の計画も変わりますし、何より社交の面で影響は大きいです。領内の視察や、近隣の領主との会談もできるかもしれません」
アルチュールが目を輝かせている。無理もない。今まで旦那様は威圧スキルのせいで社交が絶望的だったのだ。
僕の存在で停滞していた事態が好転するかもしれないとなると、高揚するのも仕方ない。
「私は今から調査結果を旦那様に報告してきます」
「うん。先に教えてくれてありがとう」
「ノア様のスキルに関することですから」
アルチュールは変なところが律儀だなぁ。その気遣いは喜ばしい。
いそいそと応接室から出るアルチュールを見送る。再びソファーに座り込むと、ジョゼフが気遣うような声で話しかけてくれた。
「ノア様、顔色が優れないご様子ですが」
「大丈夫……大丈夫だよ」
「とてもそう思えません」
「本当に、大丈夫だから。ちょっと休憩してこようかな」
「では僕もご一緒いたします」
「すぐ戻るから。少しだけ一人にさせて」
「承知しました」
ジョゼフは心配そうな表情を隠さないまま、退室する僕を無言で見送った。
庭園の一角にうずくまる。夏の日差しが周囲を照らすが、木の葉が影となり風が吹くたびに涼しくなる。太い幹のおかげで僕の姿も見つけにくいはずだ。
荒くなる呼吸を何とか整える。放っておくと涙が出そうになるからだ。
嫌な記憶が蘇り頭を抱えた。フロンドル家に嫁ぐ前の、王都で過ごしていた時のものだ。
「ノアってさぁ、本当にオラーヌ家の実子なの?」
何それ。なんでそんなひどいこと聞くの。
「だって長兄のスキルが水魔法と演算で、次兄が剣術だろ? ノアだけ、ねぇ?」
友の表情は心底僕を馬鹿にしていて、もう二度と親しい仲に戻れないのだろうなと子供心に悲しくなったのを覚えている。
直接言われることは少なかったけど「不義の子ではないか」と陰で噂されることはしょっちゅうだった。
十歳で癒しという使い物にならないスキルに目覚めてから、周囲は僕を軽く扱うようになった。
僕は変わらないのに、周りの目は変わった。
「ほら、見ろよ」
「ああ、オラーヌ家の落ちこぼれか。剣も持てないなんてみっともない」
「頭の方もぱっとしないみたいだし、俺なら恥ずかしくて自分から退学を申し出るね」
「これで顔が良かったらまだ救われたのに」
「違いない」
陰口を言う人は声のボリュームを考えてほしい。
学院に入学してから、いちいち悲しむのが馬鹿らしいくらいに陰口を言われまくった。
もちろん嫌な人ばかりではなかった。中には、僕と話すのは楽しいからと仲良くしてくれた人もいた。
ほとんどが女生徒だったから、やっかみでさらに陰口が増えた。僕はそのことに全然気づいていなくて、女友達から教えてもらったんだっけ。
同性で仲が良い人は皆無だった。唯一、婚約者のロジェだけが僕に優しくしてくれた。
「ノア、剣術の試験に落第しそうだと聞いたが」
「長剣を振り回すのがどうしても難しくて」
「それなら刺突用の細剣を試してみたらどうだ? 練習用に刃を落としたやつなら軽いはずだ」
「ありがとう。やってみる」
「ほら、練習にも付き合うから。行くぞ」
差し出された手を握ると、力強く引っ張ってくれた。
あんなに熱心に指導してもらったのに、結局教官のお情けでギリギリ及第という嘆かわしい結果で終わった。
そのことを報告したらロジェは呆れた感じで笑って、それから「合格は合格だ」と慰めてくれたっけ。
ある日、ロジェが剣術の団体競技に優勝したことがあった。
「おめでとう。観戦してたけど、迫力がすごかったよ。訓練の賜物だね」
「ありがとう」
学院主催の大きな大会だったからロジェは嬉しそうに笑っていて、普段より表情が豊かだった。
本当は婚約者として誇らしいとか、自分のことのように嬉しいとか思うべきなのだろう。
でもロジェの優勝を目にした時、僕が思ったのは「いいなぁ」という純粋な羨望だった。
僕もあんな風に集団を先導できたら。中心にいることが無理でも、自分の手足のように剣が扱えたら。
周囲から軽んじられることもなかったのかな。僕に関する心無い噂に両親が悲しむこともなかったはずだ。
「僕も誰かの役に立つスキルがあればなぁ」
気がついたら言葉に出ていた。祝福ムードに水を差した気がして、慌ててロジェに謝罪する。
「俺は口下手だからうまいこと言えないけど、ノアはノアだろ」
それだけ言って、ロジェは祝勝会があるからと去っていった。
ロジェの言葉がじんわりと心に染みて、少しだけ気持ちが楽になったのを覚えている。
あの時ロジェは何を思ってその発言をしたのだろう。
今となってはわからないが、結果として彼は僕を「役立たずのスキル持ち」と詰り、一方的に婚約破棄を告げた。
夏の暑さで額から汗が伝っていく。煩わしくて乱暴に拭うと、一部が目に入った。涙が止まらないのはきっとそのせいだ。
今だけ、今だけは泣くことを許してほしい。少ししたらいつもの僕に戻るから。ジェラルド様が褒めてくれた、周囲を明るくする僕に戻るから。
「ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい……」
自分の醜い部分を直視したくなくて、でも心が僕に語りかけてくる。
僕は、最低の人間だ。
漏れてくる声を聞きたくなくて、両手で口を無理矢理押さえる。
早く、早く泣き止まないと。そのことばかりに気が取られて、うまく呼吸ができない。
「ノア。泣いているのか?」
背中に当たる大きな手は、太陽のように温かい。
顔を上げると、ジェラルド様の顔が近くにあった。服が汚れることも厭わず、膝をついて僕の顔を覗き込んでいる。
「どう、して」
「ジョゼフから様子がおかしいと聞いた」
「なんでここが」
「君は考え事をする時、庭によく行くだろう」
ジェラルド様はいつだって僕のことを見ていてくれる。その優しさにまた涙が溢れた。
「話せないならそれでもいい。少しでいいから、私を頼ってくれないか」
ジェラルド様の大きな掌が、僕の頭を優しく撫でる。
僕はジェラルド様の胸に顔を埋め、覚悟を決めて口を開いた。
「私も旦那様と対面できる時間が変わることを不思議に思っていたんです」
「たしか前に似たようなことを言ってたね」
「はい。私の記録も参考になったようで幸いです」
「ありがとう。それにしてもよく記録してたね」
「旦那様に書類を渡すのも仕事ですから」
マエルが遠慮がちに笑う。
「あ、もうこんな時間だ。またね、マエル。次はスキル以外の話もしようよ」
「はい、是非。今からどちらへ?」
「アルチュールが僕のスキルについて報告するから応接室に来てくれって」
「私もご一緒しましょうか?」
「ありがとう。でも、仕事の邪魔したら悪いから」
マエルの申し出を断り、休憩室を後にした。
応接室の扉を開けると、アルチュールとジョゼフが真面目な顔で話し合っていた。二人とも僕が来たことに驚いて、焦った様子で立ち上がった。
「ノックしたけど返事がなかったから」
「申し訳ございません。少々込み入った話をしていました」
アルチュールが頭を下げる。少し遅れてジョゼフも頭を下げた。
「大丈夫だよ。それで、どうだった?」
応接室のソファーに座り、二人にも座るよう促す。二人はもう一度頭を下げて、ソファーに腰を下ろした。
アルチュールが机に書類を広げ、説明を始める。
「ポール様のご推察の通りでした。ノア様のスキルの影響下にいると、旦那様に接することができる時間が長くなるようです」
「さすがポール様だね。全然気づかなかったよ」
「ええ、私たちも驚いております。数字を見ると今まで気がつかなかったことが不思議なくらいです」
書類に目を通すと、明らかな差があった。人によっては五倍ほど差があり、僕のスキルが影響していることは明らかだ。
「他に要因がないか試してみましたが、ノア様のスキルの影響以外考えられませんでした。検証を重ねて何度も気絶したので間違いないかと」
「大変だったね。あんまり無茶してほしくなかったけど」
「さすがに熱が入りますよ。旦那様が当主を退いた後の計画も変わりますし、何より社交の面で影響は大きいです。領内の視察や、近隣の領主との会談もできるかもしれません」
アルチュールが目を輝かせている。無理もない。今まで旦那様は威圧スキルのせいで社交が絶望的だったのだ。
僕の存在で停滞していた事態が好転するかもしれないとなると、高揚するのも仕方ない。
「私は今から調査結果を旦那様に報告してきます」
「うん。先に教えてくれてありがとう」
「ノア様のスキルに関することですから」
アルチュールは変なところが律儀だなぁ。その気遣いは喜ばしい。
いそいそと応接室から出るアルチュールを見送る。再びソファーに座り込むと、ジョゼフが気遣うような声で話しかけてくれた。
「ノア様、顔色が優れないご様子ですが」
「大丈夫……大丈夫だよ」
「とてもそう思えません」
「本当に、大丈夫だから。ちょっと休憩してこようかな」
「では僕もご一緒いたします」
「すぐ戻るから。少しだけ一人にさせて」
「承知しました」
ジョゼフは心配そうな表情を隠さないまま、退室する僕を無言で見送った。
庭園の一角にうずくまる。夏の日差しが周囲を照らすが、木の葉が影となり風が吹くたびに涼しくなる。太い幹のおかげで僕の姿も見つけにくいはずだ。
荒くなる呼吸を何とか整える。放っておくと涙が出そうになるからだ。
嫌な記憶が蘇り頭を抱えた。フロンドル家に嫁ぐ前の、王都で過ごしていた時のものだ。
「ノアってさぁ、本当にオラーヌ家の実子なの?」
何それ。なんでそんなひどいこと聞くの。
「だって長兄のスキルが水魔法と演算で、次兄が剣術だろ? ノアだけ、ねぇ?」
友の表情は心底僕を馬鹿にしていて、もう二度と親しい仲に戻れないのだろうなと子供心に悲しくなったのを覚えている。
直接言われることは少なかったけど「不義の子ではないか」と陰で噂されることはしょっちゅうだった。
十歳で癒しという使い物にならないスキルに目覚めてから、周囲は僕を軽く扱うようになった。
僕は変わらないのに、周りの目は変わった。
「ほら、見ろよ」
「ああ、オラーヌ家の落ちこぼれか。剣も持てないなんてみっともない」
「頭の方もぱっとしないみたいだし、俺なら恥ずかしくて自分から退学を申し出るね」
「これで顔が良かったらまだ救われたのに」
「違いない」
陰口を言う人は声のボリュームを考えてほしい。
学院に入学してから、いちいち悲しむのが馬鹿らしいくらいに陰口を言われまくった。
もちろん嫌な人ばかりではなかった。中には、僕と話すのは楽しいからと仲良くしてくれた人もいた。
ほとんどが女生徒だったから、やっかみでさらに陰口が増えた。僕はそのことに全然気づいていなくて、女友達から教えてもらったんだっけ。
同性で仲が良い人は皆無だった。唯一、婚約者のロジェだけが僕に優しくしてくれた。
「ノア、剣術の試験に落第しそうだと聞いたが」
「長剣を振り回すのがどうしても難しくて」
「それなら刺突用の細剣を試してみたらどうだ? 練習用に刃を落としたやつなら軽いはずだ」
「ありがとう。やってみる」
「ほら、練習にも付き合うから。行くぞ」
差し出された手を握ると、力強く引っ張ってくれた。
あんなに熱心に指導してもらったのに、結局教官のお情けでギリギリ及第という嘆かわしい結果で終わった。
そのことを報告したらロジェは呆れた感じで笑って、それから「合格は合格だ」と慰めてくれたっけ。
ある日、ロジェが剣術の団体競技に優勝したことがあった。
「おめでとう。観戦してたけど、迫力がすごかったよ。訓練の賜物だね」
「ありがとう」
学院主催の大きな大会だったからロジェは嬉しそうに笑っていて、普段より表情が豊かだった。
本当は婚約者として誇らしいとか、自分のことのように嬉しいとか思うべきなのだろう。
でもロジェの優勝を目にした時、僕が思ったのは「いいなぁ」という純粋な羨望だった。
僕もあんな風に集団を先導できたら。中心にいることが無理でも、自分の手足のように剣が扱えたら。
周囲から軽んじられることもなかったのかな。僕に関する心無い噂に両親が悲しむこともなかったはずだ。
「僕も誰かの役に立つスキルがあればなぁ」
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「俺は口下手だからうまいこと言えないけど、ノアはノアだろ」
それだけ言って、ロジェは祝勝会があるからと去っていった。
ロジェの言葉がじんわりと心に染みて、少しだけ気持ちが楽になったのを覚えている。
あの時ロジェは何を思ってその発言をしたのだろう。
今となってはわからないが、結果として彼は僕を「役立たずのスキル持ち」と詰り、一方的に婚約破棄を告げた。
夏の暑さで額から汗が伝っていく。煩わしくて乱暴に拭うと、一部が目に入った。涙が止まらないのはきっとそのせいだ。
今だけ、今だけは泣くことを許してほしい。少ししたらいつもの僕に戻るから。ジェラルド様が褒めてくれた、周囲を明るくする僕に戻るから。
「ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい……」
自分の醜い部分を直視したくなくて、でも心が僕に語りかけてくる。
僕は、最低の人間だ。
漏れてくる声を聞きたくなくて、両手で口を無理矢理押さえる。
早く、早く泣き止まないと。そのことばかりに気が取られて、うまく呼吸ができない。
「ノア。泣いているのか?」
背中に当たる大きな手は、太陽のように温かい。
顔を上げると、ジェラルド様の顔が近くにあった。服が汚れることも厭わず、膝をついて僕の顔を覗き込んでいる。
「どう、して」
「ジョゼフから様子がおかしいと聞いた」
「なんでここが」
「君は考え事をする時、庭によく行くだろう」
ジェラルド様はいつだって僕のことを見ていてくれる。その優しさにまた涙が溢れた。
「話せないならそれでもいい。少しでいいから、私を頼ってくれないか」
ジェラルド様の大きな掌が、僕の頭を優しく撫でる。
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