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第二十五話 ジェラルド様の誕生日
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「えへへー」
初デートから一週間が経った。あれから一人きりの自室で竜笛を眺めるのが日課になっている。見るたびにドキドキしてしまうから不思議だ。
一週間後にあるジェラルド様の誕生日に向けて、僕も何かプレゼントを考えないとなぁと思いつつ、昼食をとるため食堂に向かう。
屋敷は広いので二階の自室から一階の食堂までそこそこ距離がある。いつも通りのんびり歩いていたら違和感に気づいた。
使用人たちが忙しそうに行ったり来たりしている。
普段は定期的に掃除をするだけの客間に、何人かの使用人が出入りして、壺などを運び出している。
「何してるの?」
「急にレジスさんから屋敷の隅々まで綺麗にするように言われまして」
「誰か来るの?」
「そこまでは伺ってなくて……申し訳ございません」
使用人は頭を下げると再び客間に戻った。本当に余裕がなさそうだ。
昼食後、ジェラルド様に先ほどのことを報告する。
「何かあったのですか?」
「実はポールがこちらに来ると連絡があってな」
ポール様はフロンドル家の次期当主で、ジェラルド様の甥にあたる方だ。現在は王都の学院に在籍しているため僕はお会いしたことがない。
「それは楽しみですね」
「ああ。ただそのおかげでレジスが張り切ってしまって」
「レジスが?」
いつも冷静なレジスが珍しい。
「レジスは元々兄上の侍従をしていたから、ポールのことを可愛がっていてな。先ほども銀食器を磨こうとしてアルチュールから『執事の仕事を奪うな』と抗議されていた」
「なかなかですね」
話をしていて疑問が出てきた。学院に春の長期休暇はなかったような。
「ちなみに、ポール様がいらっしゃるのは……」
「夏だ」
「それは、ものすごい歓迎ですね」
「先が思いやられる」
ジェラルド様は疲れ切った顔をしていて、レジスとどんなやり取りをしたのかなんとなく想像できた。
慌ただしい空気から逃れるため自室にこもっていると、たびたび使用人が訪ねてきた。
用件は何か困っていることはないか、持ってきてほしいものはないかという些細なことで、僕を口実に休みたいのがバレバレだ。
しばらくは適当に相手をしつつ様子を見ることにした。あまりにも酷くなったらレジスに注意を促そう。
読書に夢中になっていたらジョゼフが夕食の時間を告げにきた。
「お声がけが遅くなり申し訳ございませんでした」
「いいよ。みんな忙しそうだったし」
「今日は本当に休む暇がなくて……なぜかアルチュールさんも張り切って仕事をしていて、使用人一同ピリピリしていました」
「アルチュールが?」
アルチュールは仕事をそつなくこなすが、積極的に取り組むことは滅多にない。
彼から話を聞いたことはないが、ポール様を慕っているのだろうか。
疑問を残したままジョゼフと別れ、食堂の扉を開く。すると、酒精の香りが鼻腔をくすぐった。
ジェラルド様の姿がなかったので、すでに待機しているアルチュールに声をかける。
「お酒? 珍しいね」
「はい、今日は特別な日ですから」
「何かあったっけ? ポール様のこと?」
「えっ」
アルチュールが目を見開いて固まっている。今日は珍しいことだらけだ。
「ジェラルド様から何もお聞きになっていないのですか?」
「特に何も言われてないけど、どういうこと?」
アルチュールの視線が泳ぎ、目を無理矢理合わせると逸らされてしまった。
よくわからない攻防が続いていたが、ジェラルド様が食堂に来たことで流れが変わった。
「旦那様、ちょっと」
アルチュールがジェラルド様に耳打ちすると、ジェラルド様も焦った顔になった。
「あの、事情が把握できていないのですが」
僕が話しかけたらすぐにジェラルド様が頭を下げて謝った。
「君に伝えていなかったが、今日が私の誕生日だった」
「えっ! 一週間後のはずでは?」
「あれは教会に届けを出した日で、実際は今日なんだ」
「なぜ教えてくれなかったのですか?」
「本当に申し訳ない。毎年ほとんど一人で過ごしていたから忘れていて、今アルチュールに言われて気づいた」
「そんなこと」
あるのかと聞こうとしてやめた。ジェラルド様が一瞬寂しそうな顔をしたからだ。
ジェラルド様にとって誕生日を一人で過ごすのは当たり前のことで、祝われることはあってもずっと一緒に過ごしてくれる人はいなかったのだ。
「ジェラルド様」
僕が呼びかけると、ジェラルド様の肩がぴくりと跳ねた。
「僕、結構悲しかったです。誕生日は特別な日だと思っていたので。それに僕たちは家族なのに」
「すまない」
ジェラルド様が苦しそうな顔で謝罪する。一人で過ごしてきたから誕生日に執着がなかったのだろう。
「だから僕の誕生日はたくさんわがままを言うので覚悟してください」
「いいのか?」
ジェラルド様の言葉には、本当にそれだけで許してくれるのかという気持ちが込められているようだった。
「はい。今日は二人でお祝いしましょう。誕生日おめでとうございます」
「あ、ありがとう」
どこか現実感がない様子でジェラルド様がお礼を言った。僕がジェラルド様に抱きついたらようやく照れたようにはにかんで、それから「最高の贈り物だ」と言って力強く抱きしめてくれた。
いつもより豪華な食事を前にテンションが上がる。ジェラルド様も心なしかうきうきしているようだ。
「さすが料理長! この酒に合う料理ばかりです」
はしゃいでいるのがもう一人いた。アルチュールは楽しそうにジェラルド様の杯にお酒を注いでいる。
「ノア様も召し上がりますか?」
「僕はやめておくよ。ありがとう」
お酒は匂いが苦手で飲んだことがない。他人が飲んでいる分にはいいが、自分が飲むのはまだ先になるだろう。
乾杯の後、ジェラルド様は味わうようにゆっくりとお酒を飲んだ。
「美味しいんですか?」
「個人的にはワインより好きだ」
「酒精が強そうですけど」
「かなり強い」
「まあ、この強さがいいんですけどね。執事として酒の管理は徹底しているので味は保証します」
アルチュールが割り込んできた。妙にテンションが高いと思ったら、酒好きだったようだ。
おそらく張り切っていたというのもこれが理由だろう。お酒の管理は執事の重要な仕事の一つである。
「何て名前のお酒ですか?」
「特に決まっていない。フロンドル領の秘酒という扱いだ」
秘酒か。気になるけど、今日はジェラルド様とのんびり誕生日を過ごしたいので後日詳細を聞くことにしよう。
「ジェラルド様」
「どうした?」
「あーん」
僕はフォークに刺した肉をジェラルド様の口元に持っていく。彼は少し躊躇った様子を見せてから食べてくれた。
「美味しいですか?」
ジェラルド様は咀嚼しながら首を縦に振る。
「僕の誕生日も同じようにしてくださいね」
「え……ああ、わかった」
恥ずかしそうに頷くジェラルド様に、こちらもつられて頬が熱くなる。この状況をごまかすため、続けてフォークにさっきとは違う肉を刺した。
「もう一度、あーんしてください」
今度は小さく笑って口を開けたジェラルド様に、自分の誕生日に同じことをされて心臓が持つかなと若干不安になった。
楽しい夕食の時間も終わり、あとは寝るだけだ。ベッドに腰掛けジェラルド様と寄り添う。
「もう終わっちゃいますね」
「あっという間だった」
「あの、去年までどのように過ごしてたかお聞きしてもよろしいでしょうか」
「アルチュールと一杯だけ飲んで、後は部屋にこもるか仕事をしてた」
「今日はたくさんお召しになっていたような……」
「飲み過ぎたかもしれない」
ジェラルド様が僕の頭を撫でる。
「どうかなさいましたか?」
「夢みたいだと思って」
「夢じゃないですよ」
「ああ、そうだな」
控えめに笑ったジェラルド様が顔を近づけた。目を閉じて、その唇を受け入れる。
「大好きです」
「私もだ」
ジェラルド様は僕を抱き寄せ、もう一度キスをした。
「んっ……」
舌を差し出すと、ジェラルド様の舌に絡めとられた。
アルコールの匂いが口の中に広がって、うっすらと苦みを与えられる。普段なら避けてしまうような味に夢中になって、進んで舌を擦り合わせていた。
「はっ……んん」
唇が離れると、二人の間を透明な糸が繋いで、そしてぷつりと途切れた。
お互い何も言わずベッドにもつれ込む。ジェラルド様の目は欲情に濡れていて、自分の口からも甘い吐息が漏れるのがわかった。
「ノア……」
ジェラルド様の手が僕の頬に触れる。体温が溶け合って一つになったようだ。
もう少しだけ続きそうな誕生日に嬉しくなって、僕はジェラルド様の首に腕を回した。
初デートから一週間が経った。あれから一人きりの自室で竜笛を眺めるのが日課になっている。見るたびにドキドキしてしまうから不思議だ。
一週間後にあるジェラルド様の誕生日に向けて、僕も何かプレゼントを考えないとなぁと思いつつ、昼食をとるため食堂に向かう。
屋敷は広いので二階の自室から一階の食堂までそこそこ距離がある。いつも通りのんびり歩いていたら違和感に気づいた。
使用人たちが忙しそうに行ったり来たりしている。
普段は定期的に掃除をするだけの客間に、何人かの使用人が出入りして、壺などを運び出している。
「何してるの?」
「急にレジスさんから屋敷の隅々まで綺麗にするように言われまして」
「誰か来るの?」
「そこまでは伺ってなくて……申し訳ございません」
使用人は頭を下げると再び客間に戻った。本当に余裕がなさそうだ。
昼食後、ジェラルド様に先ほどのことを報告する。
「何かあったのですか?」
「実はポールがこちらに来ると連絡があってな」
ポール様はフロンドル家の次期当主で、ジェラルド様の甥にあたる方だ。現在は王都の学院に在籍しているため僕はお会いしたことがない。
「それは楽しみですね」
「ああ。ただそのおかげでレジスが張り切ってしまって」
「レジスが?」
いつも冷静なレジスが珍しい。
「レジスは元々兄上の侍従をしていたから、ポールのことを可愛がっていてな。先ほども銀食器を磨こうとしてアルチュールから『執事の仕事を奪うな』と抗議されていた」
「なかなかですね」
話をしていて疑問が出てきた。学院に春の長期休暇はなかったような。
「ちなみに、ポール様がいらっしゃるのは……」
「夏だ」
「それは、ものすごい歓迎ですね」
「先が思いやられる」
ジェラルド様は疲れ切った顔をしていて、レジスとどんなやり取りをしたのかなんとなく想像できた。
慌ただしい空気から逃れるため自室にこもっていると、たびたび使用人が訪ねてきた。
用件は何か困っていることはないか、持ってきてほしいものはないかという些細なことで、僕を口実に休みたいのがバレバレだ。
しばらくは適当に相手をしつつ様子を見ることにした。あまりにも酷くなったらレジスに注意を促そう。
読書に夢中になっていたらジョゼフが夕食の時間を告げにきた。
「お声がけが遅くなり申し訳ございませんでした」
「いいよ。みんな忙しそうだったし」
「今日は本当に休む暇がなくて……なぜかアルチュールさんも張り切って仕事をしていて、使用人一同ピリピリしていました」
「アルチュールが?」
アルチュールは仕事をそつなくこなすが、積極的に取り組むことは滅多にない。
彼から話を聞いたことはないが、ポール様を慕っているのだろうか。
疑問を残したままジョゼフと別れ、食堂の扉を開く。すると、酒精の香りが鼻腔をくすぐった。
ジェラルド様の姿がなかったので、すでに待機しているアルチュールに声をかける。
「お酒? 珍しいね」
「はい、今日は特別な日ですから」
「何かあったっけ? ポール様のこと?」
「えっ」
アルチュールが目を見開いて固まっている。今日は珍しいことだらけだ。
「ジェラルド様から何もお聞きになっていないのですか?」
「特に何も言われてないけど、どういうこと?」
アルチュールの視線が泳ぎ、目を無理矢理合わせると逸らされてしまった。
よくわからない攻防が続いていたが、ジェラルド様が食堂に来たことで流れが変わった。
「旦那様、ちょっと」
アルチュールがジェラルド様に耳打ちすると、ジェラルド様も焦った顔になった。
「あの、事情が把握できていないのですが」
僕が話しかけたらすぐにジェラルド様が頭を下げて謝った。
「君に伝えていなかったが、今日が私の誕生日だった」
「えっ! 一週間後のはずでは?」
「あれは教会に届けを出した日で、実際は今日なんだ」
「なぜ教えてくれなかったのですか?」
「本当に申し訳ない。毎年ほとんど一人で過ごしていたから忘れていて、今アルチュールに言われて気づいた」
「そんなこと」
あるのかと聞こうとしてやめた。ジェラルド様が一瞬寂しそうな顔をしたからだ。
ジェラルド様にとって誕生日を一人で過ごすのは当たり前のことで、祝われることはあってもずっと一緒に過ごしてくれる人はいなかったのだ。
「ジェラルド様」
僕が呼びかけると、ジェラルド様の肩がぴくりと跳ねた。
「僕、結構悲しかったです。誕生日は特別な日だと思っていたので。それに僕たちは家族なのに」
「すまない」
ジェラルド様が苦しそうな顔で謝罪する。一人で過ごしてきたから誕生日に執着がなかったのだろう。
「だから僕の誕生日はたくさんわがままを言うので覚悟してください」
「いいのか?」
ジェラルド様の言葉には、本当にそれだけで許してくれるのかという気持ちが込められているようだった。
「はい。今日は二人でお祝いしましょう。誕生日おめでとうございます」
「あ、ありがとう」
どこか現実感がない様子でジェラルド様がお礼を言った。僕がジェラルド様に抱きついたらようやく照れたようにはにかんで、それから「最高の贈り物だ」と言って力強く抱きしめてくれた。
いつもより豪華な食事を前にテンションが上がる。ジェラルド様も心なしかうきうきしているようだ。
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はしゃいでいるのがもう一人いた。アルチュールは楽しそうにジェラルド様の杯にお酒を注いでいる。
「ノア様も召し上がりますか?」
「僕はやめておくよ。ありがとう」
お酒は匂いが苦手で飲んだことがない。他人が飲んでいる分にはいいが、自分が飲むのはまだ先になるだろう。
乾杯の後、ジェラルド様は味わうようにゆっくりとお酒を飲んだ。
「美味しいんですか?」
「個人的にはワインより好きだ」
「酒精が強そうですけど」
「かなり強い」
「まあ、この強さがいいんですけどね。執事として酒の管理は徹底しているので味は保証します」
アルチュールが割り込んできた。妙にテンションが高いと思ったら、酒好きだったようだ。
おそらく張り切っていたというのもこれが理由だろう。お酒の管理は執事の重要な仕事の一つである。
「何て名前のお酒ですか?」
「特に決まっていない。フロンドル領の秘酒という扱いだ」
秘酒か。気になるけど、今日はジェラルド様とのんびり誕生日を過ごしたいので後日詳細を聞くことにしよう。
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「どうした?」
「あーん」
僕はフォークに刺した肉をジェラルド様の口元に持っていく。彼は少し躊躇った様子を見せてから食べてくれた。
「美味しいですか?」
ジェラルド様は咀嚼しながら首を縦に振る。
「僕の誕生日も同じようにしてくださいね」
「え……ああ、わかった」
恥ずかしそうに頷くジェラルド様に、こちらもつられて頬が熱くなる。この状況をごまかすため、続けてフォークにさっきとは違う肉を刺した。
「もう一度、あーんしてください」
今度は小さく笑って口を開けたジェラルド様に、自分の誕生日に同じことをされて心臓が持つかなと若干不安になった。
楽しい夕食の時間も終わり、あとは寝るだけだ。ベッドに腰掛けジェラルド様と寄り添う。
「もう終わっちゃいますね」
「あっという間だった」
「あの、去年までどのように過ごしてたかお聞きしてもよろしいでしょうか」
「アルチュールと一杯だけ飲んで、後は部屋にこもるか仕事をしてた」
「今日はたくさんお召しになっていたような……」
「飲み過ぎたかもしれない」
ジェラルド様が僕の頭を撫でる。
「どうかなさいましたか?」
「夢みたいだと思って」
「夢じゃないですよ」
「ああ、そうだな」
控えめに笑ったジェラルド様が顔を近づけた。目を閉じて、その唇を受け入れる。
「大好きです」
「私もだ」
ジェラルド様は僕を抱き寄せ、もう一度キスをした。
「んっ……」
舌を差し出すと、ジェラルド様の舌に絡めとられた。
アルコールの匂いが口の中に広がって、うっすらと苦みを与えられる。普段なら避けてしまうような味に夢中になって、進んで舌を擦り合わせていた。
「はっ……んん」
唇が離れると、二人の間を透明な糸が繋いで、そしてぷつりと途切れた。
お互い何も言わずベッドにもつれ込む。ジェラルド様の目は欲情に濡れていて、自分の口からも甘い吐息が漏れるのがわかった。
「ノア……」
ジェラルド様の手が僕の頬に触れる。体温が溶け合って一つになったようだ。
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