美月 ~芸能界の物語~

鎌倉結希

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第四章 スカウト(下)

32 紗季は私のもの…じゃないでしょ(えろ注意)

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「彰くんは変ね」
  
  「なんで」
  
  「違和感がないの、私といて」
  
  「ううん、楽しいでしょ」
  
  紗季はうなずいた。「美月ちゃんとどう?最近あまり会わないけど」
  「彼女はいいよ、元気だ」
  「……私とこんなにいて、大丈夫なの?」
  「わからないね」
  「え?」
  「多分彼女はなんか言うね。でもさ、彼女と知り合う前に紗季とは友だちだから、問題ないと思うけど」
  「そっか」
  
  そのあと私たちはほかの格闘ゲームをしながら、学校の話から美月のことに戻ってしゃべると、私がキスしたことあるかと紗季はふと聞いた。彼女は平気そうに見えたけど、私はあると答えると、彼女はいいねと言った。「私のことが好きな人はいないけど。彰くんはいい感じだった?キスしたって」

  「……普通?」

  「え?うそ!君はおでこにキスしたんじゃないの?」

  「唇」私は答えた。

  「なんかやわらかいとかって、そんな感じしないの?」

  「……やわらかかったけど」

  「そう?」

  月曜日の親善試合のあと、次の日は部活が休みになって私は自分のゲームを紗季の家であそぶために持って行った。前みたいに十時くらいに着いて、紗季の部屋のゲーム機に電源を入れて、ロード画面を待ちながら彼女としゃべっていた。近くにすわったせいか、気づいたら私たちはもうキスをした。

  離れると私は彼女に謝ったが、少しあとなぜか私たちはまたキスした。

  だめだ……

  立ち上がって、私は帰ろうとしたときに、彼女は大丈夫と言った。「悪いでしょ」
  紗季は頭を振った。「君がやっと来たのに」
  なにも起こらなかったように私たちはゲームをして、ステージで失敗が多いのでいっぱい笑い合った。だがその間、紗季は私の唇が柔らかいと言った。「……私の?」
  彼女はうなずいた。「うん、意外と……もしさ」
  「なに」
  「その前私はもっと、もっと早く告白したら、これくらい……彰くんはしてくれる?」
  「え、それは」
  「私のこと嫌かな?まあ、知ってるけどね、大丈夫よ」
  「嫌じゃないよ」
  彼女は笑顔で振り向いた。「ありがとう」

  その朝のことが夢だと思うと、午後に多分夢の続きで私たちはベッドで横になってキスしていた。まだゲームの音楽が聞こえている中で抱いていて、また見合うとキスしかできないようだった。
  長かったその瞬間は、部屋のそとにお姉さんか誰かの足音が聞こえて私たちはびっくりしたが、その人はこの部屋に来なかった。そして紗季の緊張した表情を見ながら、私の習慣のせいか、私がゆっくりと手を下に動かして、彼女のズボンをさわっていた。
  紗季は少し驚いたようだったが、そのあと彼女は低く声を出した。「あ、あっ、あー」

  これは……本当に紗季なのか。

  学校で真面目だし友だちが多い彼女は、いつもの元気な女の子、一緒に楽しくあそんでいた彼女なのか、今抵抗なしに私の下にいるのは同じ彼女か。
  たまにこの大きな目は私をじっと見たけど、なにも言わなくてまた閉じていた。それで彼女の言葉が聞こえた。「……彰、気持ちいい」
  「だ、だめ?」
  「いいよ」
  チラッと彼女の身体を見ると、私と同じくらい日に焼けた彼女の顔と首から、Tシャツ、そして私の手でさわっているところに目をやって、妙にドキっとなった。彼女の鳴き声が聞こえながら私は左手で短い髪の毛を撫でて、女の子だからかとても柔らかかった。そして彼女が見た時私は言った。「紗季、どう?」
  彼女は頭を振った。「したこと……あるの?」
  「え、えっ」
  「下に、手を入れられる?」
  「ズボンの?」
  「うん」
  自分の部屋だからか、紗季の声がたまにちょっと大きかった。多分私が彼女にキスしてはじめたのに、なぜ今ためらったかわからなかった。ボタンを外したズボンにそこでの布をまださわりながら彼女の鳴き声が絶えないようで、感触がなんか綿みたいにやわらかかった。
  紗季の顔からまたちゃんと私の手の方を見るとパンツは明るい色だった。ドキドキするのはそうだが、紗季はどう感じるかと思うばかりで彼女の顔にしか集中しなかった。今の紗季を私は見たことがない。いつも一緒にいたときより彼女が嬉しそうだ。もし私がこうしてこんなに嬉しそうなら、長く言わなかったか。だめだが私は紗季に十分にしてあげるよ。「あきら……」

  「うん」

  彼女はまた目を閉じたが。「うぅ、うん。いい……あきら」

  「うん?」

  「あっ、あー」

  いつから彼女は静かに寝ていたのか私は気づかなかったが。赤らめた彼女の顔はしばらく天井を眺めると、まだゲームが映るテレビの画面に振り向くと彼女は言った。「彰くん」

  「はい」

  「本当に彰くんかなって」

  しばらくの間私たちはただ見合っていた。

  夕方まで紗季の家にいると、帰るときに紗季は遠くまで自転車に一緒に乗って見送ってくれた。彼女の顔を見ると、なぜかまださっき目を閉じて弱そうな彼女を思い出した。私は何度も彼女の写真を見てだめな想像をし、フレンドリーな彼女と会っても、透明な水玉のその笑顔に返すのは、私の汚い気持ちばかりなんだ。この濁った秘密は彼女に言って嫌われたらいいし……彼女はそんなに告白した勇気があったのに、なぜ私はこんなに臆病か。「紗季」
  「うん?」
  「もう会わなくてもいいよ」
  「……嫌いなの?」
  「自分のことが嫌だから」
  「いえ、いいよ。明日……またテニス部でね」

  彼女は目を合わさずに言った。




――――――――――――――――――――
次の話は花火大会で、『島根編』の最終話です。第五章から美月の芸能活動が始まります。美月を応援してください!
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