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第二章 宰相の不服、淫魔王の真心
╭በ╮ⅩⅢ.白昼ふたり、慰め合って(1)
しおりを挟む† † †
エルシオに襲われてのち、ミオリは夜の慰めをねだってこなくなった。襲われた件が尾を引いているのだろう。
ミオリは男の欲望の恐ろしさを知った方がいい――ウォルフスはそう考えていたが、いざそうなってみると一抹の寂しさも感じる。
だがミオリも欲求はあるようで、時おり頬を染めて荒い息を吐いている。
ウォルフスが触れても彼女は怖がらなかったので、久方ぶりに指とくちびるで慰めてやると、ミオリは非常に乱れた。
それでも、その後も自分からねだってくることはなかったのだった。
† † †
その日ウォルフスは、昼間のうちに政務から解放された。久しぶりの休みに、ウォルフスが向かったのは自らの寝室だ。
彼の寝室には今、サウラ=ウルの聖女ミオリが同居している。
いつしか聖女と過ごす時間は、彼にとって安らぎになっていたのである。
「ミオリ、入るぞ」
勝手知ったる自分の部屋だが、一応声をかけてから扉を開ける。だが、いつもなら腰掛けている長椅子に、ミオリの姿はなかった。
「ミオリ?」
その時寝台から衣擦れの音がして、そちらを見ると上掛けが盛り上がっている。
具合でも悪いのだろうか。
「ミオリ、どうした?」
近寄って見下ろすと、ミオリは上掛けを頭にまで引き上げ、顔を隠していた。
「どこか悪いのか。医者を呼ぶか?」
「ちが……う……」
「どうした。顔を見せてみろ」
そう言うと、ミオリがおずおずと顔を出した。乱れた前髪が額に張り付き、その頬は朱に染まっている。
「熱でもあるんじゃないか?」
「違うの」
「違う? 顔が真っ赤じゃねぇか。待ってろ、すぐに医者を……」
ウォルフスは踵を返しかけたが、彼の上衣の裾をミオリが掴んだ。
「どうしたんだ?」
「違うの。ひとりで……してて」
「何を? って、あ――」
「……」
ミオリは耳まで真っ赤に染めて黙り込んだ。ウォルフスは咳ばらいをして、ミオリをとりなした。
「べつに悪いことじゃねぇ。我慢するほうが体に悪いしな」
「……でも、ウォルフスは我慢してたでしょう?」
「あー……」
もしかして、ウォルフスに我慢させていることを気にして、ひとりで事に及んだと言うのか。
確かに当初はそうしろとウォルフスも言ったが……。
「ミオリ。俺がお前を慰めてやりたいんだ。今度から、したくなったら俺を頼っていいぞ」
だがミオリは瞳を揺らし、逡巡しているようだ。
やがておずおずと口を開き、こんなことを言った。
「……ウォルフスは、わたしには突っ込みたくならない?」
上目遣いでウォルフスを見上げ尋ねるミオリに、彼は苦笑いして答えた。
「そりゃしたくなるさ。だが、お前にはそういう事はしねぇと決めている」
「わたしを、怖がらせないため?」
「……まぁ、そうだな」
本当のところはそれだけではない。ウォルフスはミオリを両親から、彼女の本来の居場所から預かっていると考えている。だから、処女を奪うわけにはいかない。
「やっぱり我慢、してるのね」
「それはそうだが、俺は自身の欲求より優先させたいものがあるってだけだ」
「……」
ミオリはそれでも、首を縦に振らなかった。だから、ウォルフスは提案することにした。
「ミオリ、肉の棒を見てみるか?」
「えっ」
ミオリは驚いてウォルフスを見上げた。
「お前に挿入はしねぇ。だが、お互いに慰め合うってのはどうだ? それなら、不公平じゃないだろう」
「……ウォルフス、我慢しないでも済む?」
恐る恐る尋ねるミオリに、ウォルフスは安心しろとばかりに微笑み、言った。
「ああ」
ミオリがようやく頷いたので、ウォルフスは寝台に上がった。そして、下袴の前をくつろげる。
「これが男の肉の棒だ。まだ勃ってないがな」
萎えていてなお獰猛さを覗かせる立派な雄の象徴を、ミオリはじっと見つめる。
「これが、大きくなって上を向くの?」
「ああそうだ」
答えてやったのち、ウォルフスはミオリのおとがいに指をかけ顔を上向かせた。そのまま引き寄せ、くちづける。
「ん……ふ……」
「キス、好きだよな?」
「うん、好き……」
ふたたびくちづけ、角度を変えてミオリのくちびるを、舌を貪る。
深いくちづけを終えて離れると、二人の間に透明な糸が引いた。ミオリが情欲を宿した瞳で、ウォルフスを見つめてくる。
自慰をしていたというミオリだが、上は脱いでいなかった。
ウォルフスはミオリの上衣を留める紐を解き、胸をはだけさせた。転び出たひかえめな膨らみは、その先端をぷくりと尖らせている。
「は、あ……っ」
ウォルフスは迷いなく吸い付き、舌を使って胸の尖りを刺激する。与えられる快楽に翻弄されるように、ミオリは体を震わせた。
舌でなぞられ、つつかれたかと思えば、口を窄めてじゅるじゅると吸い込まれる。胸の尖端から甘美な感覚が駆け抜け、腰を伝ってミオリの下半身をジンと痺れさせてゆく。
「あ……ぁ、ウォルフス……っ」
ミオリは無意識のうちに腰を揺らしていた。
ウォルフスはそれを目敏く見つけると、喉の奥で笑った。
「下に欲しいのか?」
「ん、ふっ……っ」
ミオリは喘ぎながら、こくこくと頷いた。自慰をしていたこともあるが、すでにミオリの脚の間には潤沢な蜜が滴っている。
「このどすけべが」
ウォルフスのその言葉には、不思議なやさしさが宿っていた。
――彼に頭を撫でられた時のようなあたたかさが、その言葉に宿っているのだ。
ウォルフスはミオリから上掛けを完全に剥ぎ取ると、スカートを捲って太腿に手をかける。
「ほら、もっと脚を開け」
「まだ昼間だもの。恥ずかしいわ」
少し前まで、昼間だろうと肉の棒をねだっていた口で、そんなことを言う。
少しは羞じらいというものが身に付いてきたらしかった。
「その昼間に、ひとりでしてただろ」
「だって……」
ミオリはその先を言わなかったが、ウォルフスにはわかった。ウォルフスとの就寝時に発情しない為なのだろう。
「昼も夜も関係ねぇ。したくなったら、俺が慰めてやる。俺以外で達するのは許さん」
「ウォルフス? ……あっ」
ウォルフスは強引にミオリの脚を開き、秘所に顔を埋めた。ぬるりと舌を這わせ、溢れる蜜を舐めとる。
「ふぁ……っ」
「お前の欲情は俺のもんだ。俺以外に欲情するな、俺以外でイくな、……ミオリ」
一方的に宣言をして、ウォルフスはこりこりに勃起した淫核に吸い付いた。
舌でちろちろと舐め上げ、ミオリの欲を煽ってゆく。
「ウォル……フス、あぁぁん……っ」
ちゅぷちゅぷと吸っては吐き出される唾液が、表面を撫でてゆく。ミオリは絶え間なく喘いで、その腰をくねらせた。
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