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第二章 宰相の不服、淫魔王の真心

╰U╯ⅩⅡ.肉の棒の真実

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   † † †

「もう、大丈夫か」
「……ええ」

 ウォルフスはミオリの背を撫でる手を止め、彼女に問うた。するとミオリが身じろぎしたので、ウォルフスは彼女を解放してやった。

「何か、温かい飲み物を持ってこさせる」
「ううん、いい。それより……傍にいて」
「わかった。傍にいる。だからもう、今夜は寝ろ」

 ミオリはウォルフスの言う通りにベッドに身を横たえ、上掛けを引き上げる。
 そして、かぼそい声で彼に問いかけた。

「ねぇ、ウォルフス。本当は怖いものなの?」
「何がだ」
「肉の棒……」

 ウォルフスは息を吐いて、ああそうだ、と答えた。

「ウォルフスのも、怖い?」
「お前のような生娘にとっちゃ、怖いんじゃないか」
「……」

 黙り込むミオリに、ウォルフスはどこか苦い気持ちを抱きながらも、現実を告げる。

「ミオリ。この際だから言っておくが、男ってのは肉の棒を女に突っ込みたくて仕方がない生き物なんだ。それが愛する女でなくても、な。……だからもう、肉の棒を欲しがるな。迂闊に欲しがると襲われるぞ」

 ミオリはしばらく思案していたが、やがてこう尋ねた。

「ウォルフスも、突っ込みたいの?」
「そうだな。そりゃしたいに決まってる」

 ミオリは瞳を見開いてウォルフスを見つめた。さまざまな感情がその瞳のうちに浮かんでは消えた。

「……もしかして、我慢してた?」

 ウォルフスは苦笑して答える。

「そりゃまぁ、な。あんなことして、欲情しねぇわけがないだろう」
「……」

 ミオリは黙り込んだ。ウォルフスはその額に手を置き、やさしく撫でてやる。

 やがてミオリはゆっくりと瞳を閉じた。ウォルフスは静かにミオリの顔を見つめる。
 しばらくしてミオリがやすらかな寝息をたて始めても、彼はそのままミオリを見守っていた。
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