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第一章 淫魔の王と淫夢《ゆめ》みる聖女
╭በ╮Ⅵ.はじめての官能は、淫魔の指先で(1)
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その日は、国境近くまで馬を進められた。明日の昼にはサウラ=ウルを脱するだろう。
宿屋でミオリが湯室から戻ると、彼もすでに部屋に戻っていた。
「なにつっ立ってんだ」
部屋の入口から動かないミオリに彼は苦笑して、彼女の手を引き寝台に座らせた。
「これから何をするの? ウォルフス」
「安心しろ。お前が気持ちよくなることしかしない」
そう言うと彼は、昔のようにミオリの頭を撫でてくれた。ミオリは安心して目を閉じる。
するとウォルフスはミオリの体に腕を添え、そっと寝台に横たえた。
ゆるやかにうねる金糸の髪が、敷布の上に拡がる。
ウォルフスは膝立ちでミオリの上に跨り、頭の横に片手をついた。そして、もう片方の掌でミオリの頬を撫でた。
ミオリは戸惑いがちに瞳を潤ませて、ウォルフスを見上げる。
ウォルフスの指先が髪を掻き分け、ミオリの白い首筋を露わにする。全身で覆い被され、そっとくちびるを寄せられた。
「く、くすぐったいわ」
「そのうち悦くなる」
ウォルフスは寝台に肘をついていないほうの手で、夜着越しにミオリの肢体をなぞってゆく。
無骨な指先が、これ以上ないほどに繊細な手つきでミオリを愛撫する。
「ん……っ」
ミオリは初めての感覚に思わず声をあげた。
今までウォルフスに撫でられた時に感じたぬくもりは、安心して、心が安らぐものだった。だが今ミオリの肌にもたらされるのは、なんだかぞわぞわと鳥肌が立つような、ふしぎな感覚だ。
しかし、けっして嫌な感じではない。
肩を、二の腕を、脇腹をウォルフスの指先が滑ってゆく。
着衣越しだというのに、指先の指紋まで感じられるような錯覚がして、ミオリのくちびるから湿った吐息が漏れ始める。
「あっ」
ついにウォルフスの指先が胸のまろやかな円みに触れ、ミオリは体を震わせた。
やわく揉み込むように刺激されると、甘い吐息が口をついて出てしまう。
「ここ、尖ってきたぞ」
布を押し上げる胸の蕾を摘みあげ、ウォルフスが囁く。そのまま爪の先で弾かれ、ミオリはびくりと腰を跳ねさせた。
「あっあっ……、な、何……っ」
なんだか胸の尖端が切ないような、甘く焦れったい感覚に襲われるのだ。
「気持ちいいだろう? これがミオリの欲しがってたモンだ」
ウォルフスは少しの躊躇をみせたのち、夜着の紐に手をかけた。
急いてしまう心を落ち着けるように息を吐きながら、ミオリの肌を露わにしてゆく。
この行為は自身の欲望のままに行うものではなく、ミオリを慰めるためなのだ――そう自らに言い聞かせ、真っ新な少女の肌を夜の薄明かりのもとに曝いた。
すっかり勃ち上がった胸の果実にくちびるを寄せ、舌で舐め上げる。そして、もう片方の胸を掌で撫でさすり、繊細に愛撫した。
「あっ、ウォルフス……っ、わたし……」
ミオリが戸惑いの声をあげる。
「どうした」
「あそこが……濡れてきたわ。淫夢を見た時と同じなの」
ウォルフスは胸からくちびるを離し、口の端を上げて薄い笑みを浮かべた。
「そりゃ正しい反応だ。……で、お前はこういう時、どうしたらいいか知らないから今まで苦しかったんだ」
「……どうするの?」
不安げに瞳を揺らすミオリの前髪を掻き分け、そっと額にくちづける。
「今から教えてやる」
太腿をなぞり、夜着の裾をたくし上げる。両手を内腿に添え、そっと脚を開かせた。
「――……」
少女の、まだ誰にも見せたことのない秘めたる場所が露わになる。
ウォルフスは満足げに息を吐いた。
そのやわらかな処女地には透明な露が浮かび、ミオリの欲情を示している。
ウォルフスは指を伸ばし、濡れた付け根を丁寧になぞり上げた。それから花びらを指で挟み、揺らして振動を与える。
すると透明な蜜が次から次へと染み出して、ウォルフスの指に絡みついてきた。
「はぁんっ、ウォルフ、ス……っ」
甘い嬌声をあげるミオリの様子に応じて、徐々に指先に調子をつけて愛撫する。
ミオリはウォルフスに奏でられる楽器のように、さまざまな音色で鳴いた。
「なぁミオリ。何も知らないお前が淫夢を見たって言うが、その夢はどんなものだったんだ?」
愛撫する指先の動きを緩め、ウォルフスは気になっていたことを尋ねることにした。
「い、今みたいに男性がわたしに覆い被さって……」
「それで?」
ミオリは官能の吐息を吐き出しながら答えた。
「二人とも裸で……、胸を押し付け合うときゅんってするの……」
「なるほどな」
ウォルフスはにやりと軽く口角を上げた。それから上体を起こすと、自らの上衣に手をかけ脱ぎ捨てる。
なめらかな蜜色の肌に包まれた、鍛え上げられた胸筋が露わになった。
「その男が俺だったのか?」
「ずっと、わからなかったの。ぼんやりしていたし……。でも、地下通路でウォルフスが現れて気づいたの。いつも、夢でわたしを抱きしめてくれたのは、あなただったんだって」
目頭に熱を感じ、ウォルフスは硬く目を瞑った。
――駄目だ、自分まで興奮してどうする。
するとミオリが手を伸ばし、ウォルフスの胸に触れてきた。
ウォルフスはぎくりとして、身を強張らせる。
「ずっと……こうしたかったの。ウォルフスに、あなたに触れたかった。触れられたかった……」
「――」
切ない声音に載せて告げるミオリに、ウォルフスは返す言葉を失った。
「ウォルフス?」
目を閉じたままのウォルフスに向かって、ミオリが怪訝そうに声をかける。
ウォルフスは目を開くと、深く息を吐きだした。
「そういうことを言うんじゃねぇ。男は勘違いするからな」
十年以上前の出逢いは、ウォルフスの思う以上にミオリにとって大切な記憶になっていたらしい。
だが、それだけだ。
「よく……わからないわ」
「そうか。じゃあ、ただ気持ちよくなっておけ」
ふたたび秘所に指を差し入れ、愛撫を再開する。
「もう少し脚を開け」
「でも……」
「気持ちよくなりたいだろう?」
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