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邂逅
六話
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ライトが照らした先にあったのは
白骨化した死体・・・・
骨の形状的に恐らく人間のものと思われる
通常人型植物の場合人間やその他
高等動物に見られる骨格が存在せず
その代替として細胞壁を進化させ
骨格の代わりにしている
周囲の状態から人であったろう
それが生きていたのはかなり古い時代で
ある事が推察され
そもそも現代において野生で
確認されていない人間もいるのかもしれないがそのほとんどは何らかの形で
木の管理下に於かれている
つまり現代の人間がこんな所で
朽ち果てて放置されているはずがない
しかし、時間の経過に反して
暗く冷たい地下にあったからか
保存状態は良さそうであり
それが逆に生々しさを助長させていて
白骨化しているのに今にも動き出しそう
であった
シマトネ「おいおい・・まじかよ」
シマトネが撮影で持っていた草フォンは
手から滑り落ち、暗い地下室に乾いた
音が響く
カツー・・・ン
椿「ねぇやだ怖いよ・・・もう帰ろう」
椿は俺の肘の辺りを掴み
怯えた様子でこちらを見上げた
フェイ「流石に洒落になりませんわ・・」
ジャリ・・ジャリ・・
気付くと目線を逸らせないまま
無意識に足は後退していた
しかし怖さはもちろんあるが
驚きの方が勝っているのかもしれない
俺は何故こんな所で独り寂しく同族が
朽ちてしまっているのか気になり始めていた
次郎「ちょっと皆んな待ってくれ。
なんでこんな所に人間の骨があるんだ?
同族だからかわからないけれど
この人が何故こんな所で死んでしまったのか・・・
理由があるのなら知りたい・・
こんな状況なのに・・・
俺はおかしいのかもしれないけど」
シマトネ「はぁ~?次郎早くこんな所出るぞ!!」
フェイ「待って!あれ何?・・・
装飾品には見えませんわ」
最初の恐怖と驚きから少し時間が経過し
辺りの様子が少しだけわかってきた
骸が背に持たれていた物は2メートル近くある大きな石の様な物で
存在感のあるそれは何か文字の様なものが羅列されていた
椿「何だろうあれ・・」
椿も少しだけ恐怖が薄れてきたのか
自然と肘から手を離して目を凝らしていた
シマトネ「あぁ?読めねーな・・
なんて書いてあるんだろう」
次郎「やっぱりかなり古いものだな・・
昔の人語か?」
フェイ「内容はわからないけど、なんとなくこの人にとって大事な物だったんじゃありません?
だって死ぬまでこれのそばに居たってことでしょう?」
シマトネ「言われてみるとそんな気がしてくるなぁ」
椿「こういうのってどこに言えばいいのかな?」
次郎「わからない・・・人の骨に間違いなさそうだし、とりあえずうちに居る施設の人にこの事を伝えてみるよ」
フェイ「ひとまず、ここに居ても私達には何も出来ませんわ。
これ以上何かあっても対処も出来ませんし、時間的にもこれ以上暗くなったら
不味いですわ。」
シマトネ「帰ろう。次郎んちのおっさんは別としてこの事は一旦俺達だけに留めておこう。」
次郎「そうだな、あんまり騒ぎにしても面倒そうだ。
それに全く事件性がない可能性もある」
椿「じゃあもう行こう。」
・・・建物を見た時身体中が激しい拒絶を示したがあれはこの人の念の様なものがそうさせたのか、単に異様な建物の光景が恐怖を煽ったのかわからない。
椿「この人は何か伝えたい事があったのかなぁ・・・」
カツ カツ カツ
小屋を出ると陽は沈みかけていて
俺達は足早に来た道を戻った
ふと気になり振り返ると、やはり目を凝らさない限り小屋は木々に囲まれてその存在を確認出来ない
昔の人間は恐怖を感じるものも娯楽の
一つとして捉えていた様だが
実際に恐怖を間近で感じるととても
気分が良いとは言えない
シマトネ「やっとキックボードの所まで戻ってこれたな」
椿「散々な目にあった・・」
フェイ「ホントですわ。これだから庶民の提案は」
シマトネ「悪かったって!今回は俺のチョイスがダメだったわ
ごめんな次郎。せっかく初めて遊びに来たのに。」
次郎「いやいいんだ。これはこれで楽しい部分はあったし、アレを見つけたのは事故みたいなもんだろ」
椿「次郎くん優しいね~」
フェイ「そういえば椿さんびっくりした時次郎の腕を掴んでたわね!
あれ可愛かったですわ!」
カァァァ
椿「もうやめてよぉ!フェイちゃん!」
色々とあったせいで特に気にしていなかったがそういえばそうだ
椿の手は温かくて、人型植物とはいえ
免疫のない女性に触れられるのは
嬉しい様な恥ずかしい様な不思議な気持ちだった
シマトネ「さぁ帰ろうぜ。」
次郎「よっと」
フェイ「はぁ・・・全く疲れましたわ」
椿「ほんとね~」
スゥゥゥゥゥゥゥゥ
ス・・・スゥイイイィィイイ
椿「あー気持ちい~やっぱ春ね~」
シマトネ「どうしたんだよ?」
椿「だって春の夜風って気持ち良くない?」
フェイ「たしかにこんな風に身体全体で風を切って走っていると気持ち良いですわね」
次郎「うん。なんかさっきまでの事が嘘だったみたいな不思議な爽やかさだな」
太陽と月が入れ替わり、時速40キロ程度で走る人気のない田舎道は味わったことのない爽快さがあってなんだか口が
綻んでしまった
まぁこんなに帰りが遅くなると思っていなかったからきっとカッさんには怒られるだろうけど
スゥイイイィィイイ・・・キッ!
シマトネ「ふぅ・・やっと到着だな!
そんじゃ色々あったけどまた明日な!」
小屋ではこわばっていたシマトネも
今はあっけらかんとしている
喉元過ぎたら忘れるタイプか
それはそれで才能だとは思うが
次郎「おう。じゃあな」
椿「次郎くんまたね!」
キィィ・
sp「お嬢様お迎えに上がりました。
しかし、こんなに遅くなる様でしたら事前に仰って頂かないと・・・
社員総出で捜索を開始するところでした。
お父様からもその事はキツく言っておけと言われてしまいました。」
フェイ「悪かったわ。お父様は怒ってますの?」
sp「いや怒っているという程ではないのですがやはり年頃の娘の帰りが遅いとなると・・」
フェイ「私の方から謝っておきますわ。
それじゃあみなさんアデュー」
ブォォォオン
次郎「帰るか・・」
ガチャッッ
次郎「ただいまー」
樫「次郎君どこまで行ってたんですか?あんまり帰りが遅いのが続くと門限を決めざるを得ませんよ?」
次郎「ごめん。今日色々あってさ」
樫「何かあったんですか?あんまり遅いから逃げ出したのかと思いましたよ。」
次郎「逃げないよ。今日街を出て北の外れの川に行ってきたんだ」
樫「北の外れ?随分遠くまで行きましたね。なにで行ったんですか?」
次郎「あぁ、電動キックボードってやつに乗って行ったんだよ」
樫「ほぉ・・聞いたことはありますね。
ちょっと乗ってみたいと思っていたんですよ。」
次郎「そうなのか?なんか意外だな・・」
樫「私乗り物は基本好きなので。
ところで北の外れに川なんてありましたかね?私の記憶では山しかなかった様な気がするんですが」
次郎「いや、山の麓から人がギリギリ通れるくらいの獣道があってそこをしばらく歩いたら、そこそこ水深が深そうな川があったよ。」
樫「そうでしたか。にしても今の時期じゃまだ冷たかったんじゃありませんか?」
次郎「うん。まだかなり冷たかったから入りはしなかったよ。
それよりあの辺に建物があったんだ。」
樫「建物?それこそまゆつばですね。
北の外れなんて辺鄙な所に建ってる建物なんてあるんですか?」
次郎「建物っていうか・・そんな大層なものじゃなくて廃墟になってる小屋があったんだ。」
樫「小屋・・ですか?それでそれがどうかしたんですか?」
次郎「早めの肝試しだ!なんて言って友達と入って行ったんだよ。そしたら床下から地下通路が出てきて」
樫「はぁ。それで?」
次郎「行ける所まで行ってみようってことになって行ったらその地下の空間に隠し扉があって。それでその中に人間の白骨死体があったんだ。」
樫「人間の?・・それ本当ですか?」
次郎「嘘なんかついたって俺に特ないだろ?」
樫「そりゃまぁそうですけど。にしても、それが本当だとしたらまだ確認されていない人間の死体という事になりますね。」
次郎「カッさんなら何かわかるかと思って・・」
樫「・・・例えば現存するピラミッド内部の物やそれに類する特殊な事例を除いてもし、施設が確認出来ていない白骨死体だとしたら私の手に余りますねぇ」
次郎「そっかぁ、でもどっちにしろどこかには報告した方がいいんだろ?」
樫「それは間違いありません。事例が特殊ですからひとまず施設の上にこの事を挙げてみます。
恐らく調査員の派遣、現場周辺の一時封鎖が妥当なラインでしょうね。」
次郎「何かしらの対処があるだけいいか。・・・人間の死体を見たのは初めてだったよ。
死んだらあんな風になるんだな。
あの人が何故あんな所に居たのか・・・
周囲の状況を踏まえてカッさんは死因は何だったと考える?」
樫「死因ですか?・・・そうですね。
まず事件性があるのかどうかですが
周囲にその方が亡くなった直接的な要因に成りえる凶器の様な物や何かはあったのですか?
まぁ時間が経ち過ぎてますので無いとは思いますが。」
次郎「事件性はどうなんだろうな~
病死や、単純に寿命の可能性もあるよね。
少なくとも周囲に凶器らしき物はなかったよ。
隠し部屋はかなりシンプルな作りで目を引く様な物と言えば、死因には直接的に関係ないだろうけど骸の背後にあった大きな石碑の様な物かな?
そこに文字が彫ってあったんだけど、
恐らく古代の人語か、何かしらの規則性に則った言葉の羅列。
現代だと人、植物に限らず世界共通言語だろ?
比較的近代の人間の言語は研究が進んでいるから娯楽程度の言葉は分かるけど
それには当てはまってない様な感じだった。
あそこに何が書いてあったのかがわかれば少しは何かわかるかもしれない。」
樫「死体の方も気になりますが、
石碑の方も調べた方が良さそうですね。
考古学の研究者も派遣出来るか聞いてみましょう。
というか遊びに行ったのにそんな事があったとは散々でしたね
疲れたでしょう?ご飯ありますんで食べて下さい。あと、今日一緒に行った友達にはひとまずこの事は他言しない様に徹底させて下さい。」
次郎「わかってる。一応皆んなそういう認識だったよ。飯食ったらすぐ寝るよ
明日も早いしな」
樫「そうですね。でも先程までの件はまぁ良いとして宿題は終わらせてあるんですか?」
次郎「あっ」
最悪だ・・・今までの人生で宿題なんてものがなかったせいかその意識がまるでなかった。
まるっきり手をつけていない忌々しいそれは机の上に無造作に置いてあり、
昨日までに終わらせていなかった自分を呪った。
白骨化した死体・・・・
骨の形状的に恐らく人間のものと思われる
通常人型植物の場合人間やその他
高等動物に見られる骨格が存在せず
その代替として細胞壁を進化させ
骨格の代わりにしている
周囲の状態から人であったろう
それが生きていたのはかなり古い時代で
ある事が推察され
そもそも現代において野生で
確認されていない人間もいるのかもしれないがそのほとんどは何らかの形で
木の管理下に於かれている
つまり現代の人間がこんな所で
朽ち果てて放置されているはずがない
しかし、時間の経過に反して
暗く冷たい地下にあったからか
保存状態は良さそうであり
それが逆に生々しさを助長させていて
白骨化しているのに今にも動き出しそう
であった
シマトネ「おいおい・・まじかよ」
シマトネが撮影で持っていた草フォンは
手から滑り落ち、暗い地下室に乾いた
音が響く
カツー・・・ン
椿「ねぇやだ怖いよ・・・もう帰ろう」
椿は俺の肘の辺りを掴み
怯えた様子でこちらを見上げた
フェイ「流石に洒落になりませんわ・・」
ジャリ・・ジャリ・・
気付くと目線を逸らせないまま
無意識に足は後退していた
しかし怖さはもちろんあるが
驚きの方が勝っているのかもしれない
俺は何故こんな所で独り寂しく同族が
朽ちてしまっているのか気になり始めていた
次郎「ちょっと皆んな待ってくれ。
なんでこんな所に人間の骨があるんだ?
同族だからかわからないけれど
この人が何故こんな所で死んでしまったのか・・・
理由があるのなら知りたい・・
こんな状況なのに・・・
俺はおかしいのかもしれないけど」
シマトネ「はぁ~?次郎早くこんな所出るぞ!!」
フェイ「待って!あれ何?・・・
装飾品には見えませんわ」
最初の恐怖と驚きから少し時間が経過し
辺りの様子が少しだけわかってきた
骸が背に持たれていた物は2メートル近くある大きな石の様な物で
存在感のあるそれは何か文字の様なものが羅列されていた
椿「何だろうあれ・・」
椿も少しだけ恐怖が薄れてきたのか
自然と肘から手を離して目を凝らしていた
シマトネ「あぁ?読めねーな・・
なんて書いてあるんだろう」
次郎「やっぱりかなり古いものだな・・
昔の人語か?」
フェイ「内容はわからないけど、なんとなくこの人にとって大事な物だったんじゃありません?
だって死ぬまでこれのそばに居たってことでしょう?」
シマトネ「言われてみるとそんな気がしてくるなぁ」
椿「こういうのってどこに言えばいいのかな?」
次郎「わからない・・・人の骨に間違いなさそうだし、とりあえずうちに居る施設の人にこの事を伝えてみるよ」
フェイ「ひとまず、ここに居ても私達には何も出来ませんわ。
これ以上何かあっても対処も出来ませんし、時間的にもこれ以上暗くなったら
不味いですわ。」
シマトネ「帰ろう。次郎んちのおっさんは別としてこの事は一旦俺達だけに留めておこう。」
次郎「そうだな、あんまり騒ぎにしても面倒そうだ。
それに全く事件性がない可能性もある」
椿「じゃあもう行こう。」
・・・建物を見た時身体中が激しい拒絶を示したがあれはこの人の念の様なものがそうさせたのか、単に異様な建物の光景が恐怖を煽ったのかわからない。
椿「この人は何か伝えたい事があったのかなぁ・・・」
カツ カツ カツ
小屋を出ると陽は沈みかけていて
俺達は足早に来た道を戻った
ふと気になり振り返ると、やはり目を凝らさない限り小屋は木々に囲まれてその存在を確認出来ない
昔の人間は恐怖を感じるものも娯楽の
一つとして捉えていた様だが
実際に恐怖を間近で感じるととても
気分が良いとは言えない
シマトネ「やっとキックボードの所まで戻ってこれたな」
椿「散々な目にあった・・」
フェイ「ホントですわ。これだから庶民の提案は」
シマトネ「悪かったって!今回は俺のチョイスがダメだったわ
ごめんな次郎。せっかく初めて遊びに来たのに。」
次郎「いやいいんだ。これはこれで楽しい部分はあったし、アレを見つけたのは事故みたいなもんだろ」
椿「次郎くん優しいね~」
フェイ「そういえば椿さんびっくりした時次郎の腕を掴んでたわね!
あれ可愛かったですわ!」
カァァァ
椿「もうやめてよぉ!フェイちゃん!」
色々とあったせいで特に気にしていなかったがそういえばそうだ
椿の手は温かくて、人型植物とはいえ
免疫のない女性に触れられるのは
嬉しい様な恥ずかしい様な不思議な気持ちだった
シマトネ「さぁ帰ろうぜ。」
次郎「よっと」
フェイ「はぁ・・・全く疲れましたわ」
椿「ほんとね~」
スゥゥゥゥゥゥゥゥ
ス・・・スゥイイイィィイイ
椿「あー気持ちい~やっぱ春ね~」
シマトネ「どうしたんだよ?」
椿「だって春の夜風って気持ち良くない?」
フェイ「たしかにこんな風に身体全体で風を切って走っていると気持ち良いですわね」
次郎「うん。なんかさっきまでの事が嘘だったみたいな不思議な爽やかさだな」
太陽と月が入れ替わり、時速40キロ程度で走る人気のない田舎道は味わったことのない爽快さがあってなんだか口が
綻んでしまった
まぁこんなに帰りが遅くなると思っていなかったからきっとカッさんには怒られるだろうけど
スゥイイイィィイイ・・・キッ!
シマトネ「ふぅ・・やっと到着だな!
そんじゃ色々あったけどまた明日な!」
小屋ではこわばっていたシマトネも
今はあっけらかんとしている
喉元過ぎたら忘れるタイプか
それはそれで才能だとは思うが
次郎「おう。じゃあな」
椿「次郎くんまたね!」
キィィ・
sp「お嬢様お迎えに上がりました。
しかし、こんなに遅くなる様でしたら事前に仰って頂かないと・・・
社員総出で捜索を開始するところでした。
お父様からもその事はキツく言っておけと言われてしまいました。」
フェイ「悪かったわ。お父様は怒ってますの?」
sp「いや怒っているという程ではないのですがやはり年頃の娘の帰りが遅いとなると・・」
フェイ「私の方から謝っておきますわ。
それじゃあみなさんアデュー」
ブォォォオン
次郎「帰るか・・」
ガチャッッ
次郎「ただいまー」
樫「次郎君どこまで行ってたんですか?あんまり帰りが遅いのが続くと門限を決めざるを得ませんよ?」
次郎「ごめん。今日色々あってさ」
樫「何かあったんですか?あんまり遅いから逃げ出したのかと思いましたよ。」
次郎「逃げないよ。今日街を出て北の外れの川に行ってきたんだ」
樫「北の外れ?随分遠くまで行きましたね。なにで行ったんですか?」
次郎「あぁ、電動キックボードってやつに乗って行ったんだよ」
樫「ほぉ・・聞いたことはありますね。
ちょっと乗ってみたいと思っていたんですよ。」
次郎「そうなのか?なんか意外だな・・」
樫「私乗り物は基本好きなので。
ところで北の外れに川なんてありましたかね?私の記憶では山しかなかった様な気がするんですが」
次郎「いや、山の麓から人がギリギリ通れるくらいの獣道があってそこをしばらく歩いたら、そこそこ水深が深そうな川があったよ。」
樫「そうでしたか。にしても今の時期じゃまだ冷たかったんじゃありませんか?」
次郎「うん。まだかなり冷たかったから入りはしなかったよ。
それよりあの辺に建物があったんだ。」
樫「建物?それこそまゆつばですね。
北の外れなんて辺鄙な所に建ってる建物なんてあるんですか?」
次郎「建物っていうか・・そんな大層なものじゃなくて廃墟になってる小屋があったんだ。」
樫「小屋・・ですか?それでそれがどうかしたんですか?」
次郎「早めの肝試しだ!なんて言って友達と入って行ったんだよ。そしたら床下から地下通路が出てきて」
樫「はぁ。それで?」
次郎「行ける所まで行ってみようってことになって行ったらその地下の空間に隠し扉があって。それでその中に人間の白骨死体があったんだ。」
樫「人間の?・・それ本当ですか?」
次郎「嘘なんかついたって俺に特ないだろ?」
樫「そりゃまぁそうですけど。にしても、それが本当だとしたらまだ確認されていない人間の死体という事になりますね。」
次郎「カッさんなら何かわかるかと思って・・」
樫「・・・例えば現存するピラミッド内部の物やそれに類する特殊な事例を除いてもし、施設が確認出来ていない白骨死体だとしたら私の手に余りますねぇ」
次郎「そっかぁ、でもどっちにしろどこかには報告した方がいいんだろ?」
樫「それは間違いありません。事例が特殊ですからひとまず施設の上にこの事を挙げてみます。
恐らく調査員の派遣、現場周辺の一時封鎖が妥当なラインでしょうね。」
次郎「何かしらの対処があるだけいいか。・・・人間の死体を見たのは初めてだったよ。
死んだらあんな風になるんだな。
あの人が何故あんな所に居たのか・・・
周囲の状況を踏まえてカッさんは死因は何だったと考える?」
樫「死因ですか?・・・そうですね。
まず事件性があるのかどうかですが
周囲にその方が亡くなった直接的な要因に成りえる凶器の様な物や何かはあったのですか?
まぁ時間が経ち過ぎてますので無いとは思いますが。」
次郎「事件性はどうなんだろうな~
病死や、単純に寿命の可能性もあるよね。
少なくとも周囲に凶器らしき物はなかったよ。
隠し部屋はかなりシンプルな作りで目を引く様な物と言えば、死因には直接的に関係ないだろうけど骸の背後にあった大きな石碑の様な物かな?
そこに文字が彫ってあったんだけど、
恐らく古代の人語か、何かしらの規則性に則った言葉の羅列。
現代だと人、植物に限らず世界共通言語だろ?
比較的近代の人間の言語は研究が進んでいるから娯楽程度の言葉は分かるけど
それには当てはまってない様な感じだった。
あそこに何が書いてあったのかがわかれば少しは何かわかるかもしれない。」
樫「死体の方も気になりますが、
石碑の方も調べた方が良さそうですね。
考古学の研究者も派遣出来るか聞いてみましょう。
というか遊びに行ったのにそんな事があったとは散々でしたね
疲れたでしょう?ご飯ありますんで食べて下さい。あと、今日一緒に行った友達にはひとまずこの事は他言しない様に徹底させて下さい。」
次郎「わかってる。一応皆んなそういう認識だったよ。飯食ったらすぐ寝るよ
明日も早いしな」
樫「そうですね。でも先程までの件はまぁ良いとして宿題は終わらせてあるんですか?」
次郎「あっ」
最悪だ・・・今までの人生で宿題なんてものがなかったせいかその意識がまるでなかった。
まるっきり手をつけていない忌々しいそれは机の上に無造作に置いてあり、
昨日までに終わらせていなかった自分を呪った。
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