世界緑化大戦

百舌鳥

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邂逅

五話

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カチャ・・カチャ・・・

シマトネ「お~い着替え終わったかぁ?」

椿「うっさいなぁ!あんまこっち来ないでよね!」

次郎「あっちで待ってようぜ」

川辺に辿り着いた俺達は早速着替えて
遊ぶことにした

俺達は最初から下は水着で来ていたので
上を脱ぐだけで良かったが、
女性陣はまだ時間がかかりそうだった

シマトネ「先に川に入っちまうか!
・・・・冷っっった‼︎」

次郎「あんまり急に入ると心臓麻痺するぞ。準備体操もしっかりやっとけよ」

まぁそうは言っても人型植物の心臓が
どうなっているのか詳しく知らないけどな

そんな事を言いながら足先を川の中に浸けてみると暖かい気温に反して
水温はたしかに想像より冷たかった。

次郎「まじで冷てーな。あんまり入る気にならないんだが」

ふとシマトネの方を見るとさっきまで
冷たいとか言って足先をチョンチョン
していただけのくせに
しっかり泳いでいた。

シマトネ「お~い!早く来いよ~」

あれだけ泳げているところを見ると
見た目より意外と水深は深そうだ

次郎「俺は川辺で遊ぶくらいでいいよ!」

椿「お待たせ~!どうどう?」

フェイ「私の水着を見れるだなんて光栄に思いなさい!私の水着姿は金の延べ棒100本分の価値はありますわ!」

シマトネ「ぉおお」

次郎「ゴクッッゥ」

2人ともあんまり綺麗だったもんだから
つい生唾を飲み込んでしまった。

というか施設では人間に限らず女性の
水着姿なんて見た事がなかったもんだからこの光景は健全な少年の目にはあまりに毒であった

椿「ちょっとぉ!なんかいいなさいよ!」

次郎「あっぁあ!2人ともすごく綺麗だ」

フェイ「当たり前ね!今度はもう少し気を利かせたセリフを考えておきなさい!」

椿「私達は持ってきたビーチチェアでゆっくりしてるわ!」

フェイ「日焼け止めは持ってきた?」

椿「あ~!忘れちゃったぁ!」

フェイ「私のを貸してあげますわ!」

椿「ありがとう!フェイちゃん!」

シマトネ「なんだお前ら入らねーのか?」

フェイ「貴方みたいにはしゃぐ程子供じゃありませんの!それに今そんなに遊んだら帰りがクタクタですわ。」

シマトネ「なんだよ~」

次郎「まぁおれもちょっと入る程度かな?そんなに泳げないし・・・」

シマトネ「なんだ次郎カナヅチか?」

次郎「施設で泳ぎなんてしたことないんだよ」

シマトネ「それもそうかぁ」


バシャバシャ・・・バチャ・・バシャバシャバシャ・・・

椿「あいつホント体力あるわねぇ
いつまで泳いでんのかしら」

フェイ「馬鹿なだけですわ」

シマトネ「・・・・あ、れなんだ?
お~い!お~い!なんかアッチに見えないか?」

次郎「はぁ?あっち?」

シマトネが指を刺すを方向を見てみる

次郎「何もないじゃん」

シマトネ「いやもっと良く見てみろよ!」

再度シマトネが指を刺す方向を目を凝らして見てみる

ん・・・・?

建・・物・・?

ゾク・・ゾクゾク・・・・

ブワァァァァァ

それが視界に入った瞬間
身体中に鳥肌がたった・・

ホラー映画にある様な
山陰の中にある小屋だろうか?

周辺の景色に若干溶け込みかけていたがやはり建築物のように見える・・・

壁面を蔦が覆い過ぎていて一瞬わからなくなるが自然の景色に完全には溶け込みきれていない違和感を誰に伝えるでもなく異様に放っていた。

胸の中心を風が通り抜けていくようなゾワッとする悪寒。

瞬間周囲の音が凪いだ気がして
この場から逃げ出したくなる
そんな感覚に強烈に襲われる。

次郎「あれは廃墟か何かか?・・」

椿「えぇ~どれどれ?わかんなくない?」

フェイ「椿さん多分あそこですわ。
ぱっと見だと分かりづらいですけど・・確かに古い廃墟に見えますわね。」

シマトネ「こんな山の中に誰か住んでるってのか?」

次郎「それにしちゃ誰かが暮らしている形跡がなさすぎる」

椿「こんな山の中でわざわざ暮らす人いないんじゃない?昔は使われていたのかもしれないけど・・・」

鳥肌が引かない・・

先程までの楽しかった気分が吹き飛んでしまったかのようだ

みんなは何も感じないのだろうか

椿「次郎くん大丈夫?
顔色悪いよ?もしかしてああいうの苦手なの?」

次郎「いや、なんとなく近づきたくない雰囲気なんだ。」

シマトネ「気持ちはわからんでもないなぁ~・・・でもせっかくだしちょっと行ってみない?早めの肝試しというか」

椿「誰か居たらどうすんのよ?
ここじゃなにかあっても助け呼べないわよ!」

シマトネ「ヤバそうだったら直ぐ引き揚げるからさ!」

フェイ「私は怖いものなんてありませんから構いませんわ!」

椿「えぇ~フェイちゃん本気~?
嫌だよね?次郎君?」

次郎「あ、あぁ。出来れば」


シマトネ「大丈夫大丈夫!ホントちょっとだけだから!」

なんとなく身体中の感覚が「帰れ!」と言っている気がする。

だがそれと同時に怖いもの見たさの
好奇心と周りの雰囲気が既に行くムードになってしまっている。

時刻は午後3時を周るかどうかぐらいの時間だろうか・・・

陽は真上から傾き始めた頃で、一定の明るさが油絵の様に固まった情景の異様さを助長させている。

バシャバシャ

シマトネ「こっちは向こう岸まで浅いから歩いて渡れるぞ!」

次郎「マジで行くの?」

シマトネ「まぁまぁ、ヤバそうだったらすぐ戻ればいいんじゃね?」

椿「しょうがないなぁ、ちょっとだけ行ってみる?」

俺達は川の浅い所を縦一列で渡る事にした

こちらの川辺と違い、向こう岸はすぐに
せり上がる様な土砂で出来ていて
足元が滑る

シマトネ「冷て~足元滑りやすいから気を付けろよー」

椿「きゃ!ホントに滑る!」

フェイ「椿さん気をつけて。1人がコケたらみんな倒れちゃうわ。」


木々がまばらにある林の少し奧、
不気味な存在感を放ちながらも周囲だけ木陰だからかこの時間帯なのに
なんだか薄暗さを感じる。

シマトネ「近づいてみると思ったより大きいな」

次郎「不気味だな・・・」

椿「ねぇ誰から入る?」

フェイ「そもそも入り口の蔦がすごいからまずこれを取らなきゃ入れなさそうですわ」

壁面やドアを覆う蔦はしばらくの間
ここが誰かの居住地ではなかった事を
表している

建物の入り口の蔦を取るだけでも骨が折れそうだ

ガサッッガサガサ

シマトネ「っしょっと・・これなら大丈夫だろ。てゆーかお前らも手伝えよ!」

椿「言い出しっぺはアンタでしょ?」

フェイ「私がそんな事やるわけがありませんわ。」

次郎「にしても正直やっぱ怖いな」

シマトネ「しょーがねーから俺が最初に行くぜ!ちゃんと付いてこいよ」

キィィイイィ・・・ギィ

扉が立てる音は長い間油を注されていないことを感じさせ、中の空気はどんよりと澱んでいる様な気がした

シマトネ「お~怖!てか埃くせ~」

椿「うわ~中こんな感じなんだ~これって民家なのかなぁ?あんまり生活感がない様な」

シマトネ「そりゃこんだけ古けりゃ生活感なんてないだろ!」

フェイ「そもそもいつの建物なのか分かりませんわ、もしかしたら歴史的建造物かも」

シマトネ「まさか~そんな大したものなさそうだぜ?」

次郎「いや外壁がコンクリートっぽいから昔の人間時代の建物の可能性は高いな」

フェイ「見た目より奥行きがありそうね・・・きゃ!」

サッササァ・・ガサ

椿「うわぁ!ねずみやばい!」

シマトネ「やばっまじここ衛生面悪過ぎじゃね?」

次郎「誰も住まなくなって相当時間経ってそうだしこうなるよな」

フェイ「最悪ですわ。」

ファッサァア

椿「ぎゃーー!・・・なんだぁ蜘蛛の巣かぁ」

ビククゥ‼︎‼︎

シマトネ「びっくりさせんなよ!気失うかと思ったわ!」

コンッッ

フェイ「いったぁ」

ガッ

キィー・・・・・・ギィー

次郎「ん?・・なんだこれ?」

椿「えぇ・・何よこれ・・」

シマトネ「地下・・なのか?」


フェイがつまずいた床の木目がそのまま持ち上がり、人一人分が通れる地下への通路が現れた・・

暗い地下への通路は光が届いてなく酸素も薄いのだろう。

劣化があまりなく地上とのチグハグさが奇妙に感じられる。

シマトネ「・・・行ってみるか?」

次郎「えぇ」

フェイ「少しだけ興味が出てきましたわ」

次郎「あまり気は進まないけど・・
気味悪くないか?」

椿「それは確かに!・・
レジャーなんて気分じゃなくなっちゃった」


シマトネ「まぁまぁちょっと行ってみてヤバそうだったら引き返そうぜ」

フェイ「せっかくですから
草フォンで動画を撮って後でsnsに投稿するのも面白そうじゃありません?」

シマトネ「え・・フェイの癖に・・・
ナイスアイデアじゃ~んん!!!」

フェイ「うざいからその口閉じてくださる?」

椿「しょうがないから取り敢えず入ってみる?ていうか誰か明かり持ってる?」

次郎「草フォンのライトでいいんじゃない?」

椿「確かに!」

フェイ「ほら早く撮りなさいよ」

シマトネ「俺かよ。いいけどさ」

ギィ・・ギィ・ギィ・・・

次郎「うっ・・けむいな」

シマトネ「以外と奥行きがありそうだぞ」

フェイ「ねぇ、上より地下の方が生活感があると思わない?」

椿「あー確かに!埃を被ってるけど誰かがいたっぽいね」

シマトネ「こんな所にか?」

椿「それはなんでかわからないけど・・」

次郎「いや怖っ。本当に先に進むのか?」

フェイ「そうねぇ、空気もよろしくないし行けるとこまで行ってさっさと帰りましょうか」

シマトネ「まだ撮り始めたばかりだぜ?」

椿「まぁ今の時点で結構遅い時間だしね」

キィ・・キィ・・キィ・

シマトネ「おいおい、こんなに奥が続くのか?」

カタっ

フェイ「待って、この壁扉じゃない?」

次郎「本当だ・・壁にカモフラージュしているけど埃のせいで逆にくっきり浮き出ているな」

シマトネ「なぁこれ動画撮るよりLiveの方が良かったんじゃね?」

椿「もぉシマトネうるさい!」

シマトネ「・・扱い悪くねぇか」

ギィー・・・

次郎「ここは特に暗いな・・」

フェイ「あら、今光が当たった場所何かありませんでした?」

シマトネ「どれどれ」

椿「ひっ!!」

次郎「どうした!?」

椿「あっあれ見て!」

シマトネ「なんだぁ?」

悪寒の正体がわかった気がした

そんなものある方だと思ったことはないが第六感だったのだろうか?

それは物も言わずにこちらを見据えていて
見ようによっては誰かを待っていたかの様にさえ感じさせた・
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