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第28話 奇跡の象徴
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シェイザーは目の前のシェイガーを見据える。
シェイザーは子供の頃を思い出していた。
奇跡の象徴の魔族の双子と呼ばれた。
命は紡がれていく。
父と母と別れ、祖父が色々な事を教えてくれた。
それは兄貴であるシェイガーも同じだったはず。
シェイガーは1人の女性と恋に落ちた。
その子も魔族で、命を掛けて守ると誓っていた。
シェイザーはいつも魔族の象徴と言う事もあって他の魔族から虐められていた。
いつもシェイガーが助けてくれた。
シェイザーは突如魔族の領地にやってきたサーカス団に見惚れた。
団長と出会い、サーカスの基本を教わった。
毎日毎日曲芸をした。
毎日毎日ナイフ投げをした。
綱渡りだってした。
玉乗りだって。
団長の道化の姿は最高だった。
だが、運命とは皮肉で、サーカス団の1人がシェイガーの恋人に恋をした。
その人間はシェイガーの恋人に振られ殺した。
そいつが人間である事が判明した。
さらにサーカス団全員が人間である事が判明し、殺し合いが始まった。
シェイザーは団長に事情を聞いた。
「いいか覚えておくんだ。差別とはなくならないが、失くすように努力は出来る。シェイガーに謝ってくれ、恋という大きな罠があったとは、わしらも知らなんだぁ、がははははははは」
そう言って団長は爆弾魔法を使って、団員もろとも自爆した。
生き残った団員は魔族によって殺された。
シェイザーは怒り狂った。
そしてシェイガーも怒り狂った。
シェイザーは尊敬すべき人を失くし。
シェイガーは大事な人の命を奪われた。
「俺様は、団長の意思を継ぐ、人間と会う!」
「俺様は、ミリーナの為に人間を滅ぼす!」
2人の兄弟は別な目的の為に動き出し、シェイザーは追放され、シェイガーは人間を滅ぼす旅に出た。
その2人を見送るように1人の魔族が死んだ。
それが魔王こと2人の祖父だった。
この事は極秘事項とされ、その祖父の魂の結晶をこの双子が持っている。
つまり魔王とはシェイザーとシェイガーを意味するのだった。
シェイザーの意識が過去から現在に戻り、眼の前のシェイガーに向ける。
「なぁ、爺ちゃんこんな事望んでたのかな」
「うるさああい、とっとと道をあけて、そこにいる人間どもを殺させろおおおお」
2本の魔剣と2本の魔剣。
4本揃えばそれは魔王の力。
「兄貴いいい、頼むよ、正気になってくれ」
「俺様はいつだって正気だ。この憎しみが口からとぼとぼと溢れ出る。怒りが増幅され、正気を保つ事だって簡単だぁ、さぁそこの道を開けろ、シェイザー」
「なぁ、俺様、人間の友達が出来たんだ。リークって奴でめちゃくそつえーんだよ、あっちでレベル5000の深紅のユニコーンを倒しちまったんだぜ」
「なら、そいつも殺そうか、そうすればお前も正気に戻るだろう」
「なぁ、兄貴、それだけはやっちゃいけねーことだ。それをやるっつうんなら、俺様だって手加減しねーぞ」
「手加減? はん、いつも虐められて何も出来ないお前が何を言うんだ」
「なら、見ろよ、俺様の特大パワーってやうをな」
シェイザーは右手と左手にアタッカーソードとシールドソードを展開させる。
シールドソードのオーラでボール状の物を作り出すと、その真上に乗る。
そこにいるのはどう見ても、道化だった。
魔族の魔力を上手く活用し、顔に張り付く道化の仮面。
それが無数に広がり、シェイザーは10体程に見えるようになった。
右手と左手をくねらせ、シェイザーはナイフ投げを放つ。
だがナイフではなく、アタッカーソードとシールドソードだった。
四方から飛んでくる高速のソードに。シェイガーは笑った。
「それはあれか、俺様への当てつけか、あの時の団長の技じゃねーかよ」
「そうさ、団長は色々な事を教えてくれた。それ以上にこれ以上もない、なぜなら団長は人間の国から派遣された。特別な人だったんだ」
「うるさい、うるさい、なら、どうする、そんな数本の剣で、どうするんだよ」
シェイガーの声は怒りで震えていた。
彼が大きな声に魔力を灯すと周りを吹き飛ばした。
ナイフ投げの要領で投げた2本のソードと分身したソード達も簡単に弾かれてしまう。
シェイザーはシールドのオーラの玉を高速で転がしていた。
シェイガーの真上に玉から跳躍して見せる。
次の瞬間、着地する時にはシェイガーの頭の上だった。
「舐めてんのか」
「団長は笑いとは平和と言ったんだ」
「るせー」
シェイザーはジャンプする、シェイガーの後ろに着地すると、宙返りをする。
そして走りだして、またジャンプする。
シェイガーの頭の上に着地した。
「さっきからおちょくってんのかよ」
「さっきから俺様は真面目だぞ兄貴」
シェイガーが2本の魔剣を構える。生者の体、つまり魂みたいなものを吸い込む。
だが、シェイガーのアタッカーソードとシールドソードは桁外れのようだ。
シールドのオーラの展開の仕方が違う。彼のシールド展開は肌1枚。
しかしシェイザーのシールド展開は範囲、範囲の方が仲間を守れるが動きづらい。
肌1枚だと鎧のように身に纏う事が出来るので動きやすい。
そしてシェイガーはシェイザーに向けて、アタッカーソードの本気を発動しない。
それを発動すれば、ワールドダンジョンが滅茶苦茶になるから。
そして恐らく。
「兄貴は俺様を殺そうとしていないだろ」
「殺すぞ、殺してやるぞ」
「いいや、殺せないね、ミリーナはそれを望んでいないからな」
「うるさい、ミリーナが望まぬとも俺様はお前を殺すぞ」
「いいのか、ミリーナは俺様の事を弟として認めたぞ、それを殺すって事は」
「そうか、そうだな、そうしよう、お前は無視する、その後ろの小娘から殺そう、さっきから他の冒険者にポーションを飲ませてるからな」
シェイガーがシェイザーを無視してカエデちゃんを狙おうと動き出した。
シェイザーはそれを止めようと動き出すが、そのスピードはシェイザーを遥かに上回る物だった。
「まず」
その軌道線状に高速で飛来してくる人物がいた。
シェイザーはそれを見てほっとしていた。
それは、リークだったからだ。
「なんだぁ。お前、お前があれか、リークか」
「いやー色々と聞かせてもらいましたねー、本当に面倒くさい世の中ですねーで、シェイガーさん? うちの従業員を殺すつもりですね? うちの従業員は最高なんですよ、あ、それとあなたの弟さんも従業員ですから、店長としてあなたぶちのめしますね、慰謝料も必要ですし、あなたの2本の魔剣を慰謝料としてもらい受けますね、出来なかったら、まぁ吹き飛ばしますね」
「おい、お前、うそだろ」
シェイガーの顔が真っ青になっていく。
「こ、これが人間の店長って奴の強さなのか」
シェイザーは目を疑った。
彼には鑑定スキルがあった。
リークがレベル99だという事も知っている。
それ以上上がらないことも。
だがリークの今のレベルは。
「9999だって!?」
リークのレベルは9999に到達していたのだった。
シェイザーは子供の頃を思い出していた。
奇跡の象徴の魔族の双子と呼ばれた。
命は紡がれていく。
父と母と別れ、祖父が色々な事を教えてくれた。
それは兄貴であるシェイガーも同じだったはず。
シェイガーは1人の女性と恋に落ちた。
その子も魔族で、命を掛けて守ると誓っていた。
シェイザーはいつも魔族の象徴と言う事もあって他の魔族から虐められていた。
いつもシェイガーが助けてくれた。
シェイザーは突如魔族の領地にやってきたサーカス団に見惚れた。
団長と出会い、サーカスの基本を教わった。
毎日毎日曲芸をした。
毎日毎日ナイフ投げをした。
綱渡りだってした。
玉乗りだって。
団長の道化の姿は最高だった。
だが、運命とは皮肉で、サーカス団の1人がシェイガーの恋人に恋をした。
その人間はシェイガーの恋人に振られ殺した。
そいつが人間である事が判明した。
さらにサーカス団全員が人間である事が判明し、殺し合いが始まった。
シェイザーは団長に事情を聞いた。
「いいか覚えておくんだ。差別とはなくならないが、失くすように努力は出来る。シェイガーに謝ってくれ、恋という大きな罠があったとは、わしらも知らなんだぁ、がははははははは」
そう言って団長は爆弾魔法を使って、団員もろとも自爆した。
生き残った団員は魔族によって殺された。
シェイザーは怒り狂った。
そしてシェイガーも怒り狂った。
シェイザーは尊敬すべき人を失くし。
シェイガーは大事な人の命を奪われた。
「俺様は、団長の意思を継ぐ、人間と会う!」
「俺様は、ミリーナの為に人間を滅ぼす!」
2人の兄弟は別な目的の為に動き出し、シェイザーは追放され、シェイガーは人間を滅ぼす旅に出た。
その2人を見送るように1人の魔族が死んだ。
それが魔王こと2人の祖父だった。
この事は極秘事項とされ、その祖父の魂の結晶をこの双子が持っている。
つまり魔王とはシェイザーとシェイガーを意味するのだった。
シェイザーの意識が過去から現在に戻り、眼の前のシェイガーに向ける。
「なぁ、爺ちゃんこんな事望んでたのかな」
「うるさああい、とっとと道をあけて、そこにいる人間どもを殺させろおおおお」
2本の魔剣と2本の魔剣。
4本揃えばそれは魔王の力。
「兄貴いいい、頼むよ、正気になってくれ」
「俺様はいつだって正気だ。この憎しみが口からとぼとぼと溢れ出る。怒りが増幅され、正気を保つ事だって簡単だぁ、さぁそこの道を開けろ、シェイザー」
「なぁ、俺様、人間の友達が出来たんだ。リークって奴でめちゃくそつえーんだよ、あっちでレベル5000の深紅のユニコーンを倒しちまったんだぜ」
「なら、そいつも殺そうか、そうすればお前も正気に戻るだろう」
「なぁ、兄貴、それだけはやっちゃいけねーことだ。それをやるっつうんなら、俺様だって手加減しねーぞ」
「手加減? はん、いつも虐められて何も出来ないお前が何を言うんだ」
「なら、見ろよ、俺様の特大パワーってやうをな」
シェイザーは右手と左手にアタッカーソードとシールドソードを展開させる。
シールドソードのオーラでボール状の物を作り出すと、その真上に乗る。
そこにいるのはどう見ても、道化だった。
魔族の魔力を上手く活用し、顔に張り付く道化の仮面。
それが無数に広がり、シェイザーは10体程に見えるようになった。
右手と左手をくねらせ、シェイザーはナイフ投げを放つ。
だがナイフではなく、アタッカーソードとシールドソードだった。
四方から飛んでくる高速のソードに。シェイガーは笑った。
「それはあれか、俺様への当てつけか、あの時の団長の技じゃねーかよ」
「そうさ、団長は色々な事を教えてくれた。それ以上にこれ以上もない、なぜなら団長は人間の国から派遣された。特別な人だったんだ」
「うるさい、うるさい、なら、どうする、そんな数本の剣で、どうするんだよ」
シェイガーの声は怒りで震えていた。
彼が大きな声に魔力を灯すと周りを吹き飛ばした。
ナイフ投げの要領で投げた2本のソードと分身したソード達も簡単に弾かれてしまう。
シェイザーはシールドのオーラの玉を高速で転がしていた。
シェイガーの真上に玉から跳躍して見せる。
次の瞬間、着地する時にはシェイガーの頭の上だった。
「舐めてんのか」
「団長は笑いとは平和と言ったんだ」
「るせー」
シェイザーはジャンプする、シェイガーの後ろに着地すると、宙返りをする。
そして走りだして、またジャンプする。
シェイガーの頭の上に着地した。
「さっきからおちょくってんのかよ」
「さっきから俺様は真面目だぞ兄貴」
シェイガーが2本の魔剣を構える。生者の体、つまり魂みたいなものを吸い込む。
だが、シェイガーのアタッカーソードとシールドソードは桁外れのようだ。
シールドのオーラの展開の仕方が違う。彼のシールド展開は肌1枚。
しかしシェイザーのシールド展開は範囲、範囲の方が仲間を守れるが動きづらい。
肌1枚だと鎧のように身に纏う事が出来るので動きやすい。
そしてシェイガーはシェイザーに向けて、アタッカーソードの本気を発動しない。
それを発動すれば、ワールドダンジョンが滅茶苦茶になるから。
そして恐らく。
「兄貴は俺様を殺そうとしていないだろ」
「殺すぞ、殺してやるぞ」
「いいや、殺せないね、ミリーナはそれを望んでいないからな」
「うるさい、ミリーナが望まぬとも俺様はお前を殺すぞ」
「いいのか、ミリーナは俺様の事を弟として認めたぞ、それを殺すって事は」
「そうか、そうだな、そうしよう、お前は無視する、その後ろの小娘から殺そう、さっきから他の冒険者にポーションを飲ませてるからな」
シェイガーがシェイザーを無視してカエデちゃんを狙おうと動き出した。
シェイザーはそれを止めようと動き出すが、そのスピードはシェイザーを遥かに上回る物だった。
「まず」
その軌道線状に高速で飛来してくる人物がいた。
シェイザーはそれを見てほっとしていた。
それは、リークだったからだ。
「なんだぁ。お前、お前があれか、リークか」
「いやー色々と聞かせてもらいましたねー、本当に面倒くさい世の中ですねーで、シェイガーさん? うちの従業員を殺すつもりですね? うちの従業員は最高なんですよ、あ、それとあなたの弟さんも従業員ですから、店長としてあなたぶちのめしますね、慰謝料も必要ですし、あなたの2本の魔剣を慰謝料としてもらい受けますね、出来なかったら、まぁ吹き飛ばしますね」
「おい、お前、うそだろ」
シェイガーの顔が真っ青になっていく。
「こ、これが人間の店長って奴の強さなのか」
シェイザーは目を疑った。
彼には鑑定スキルがあった。
リークがレベル99だという事も知っている。
それ以上上がらないことも。
だがリークの今のレベルは。
「9999だって!?」
リークのレベルは9999に到達していたのだった。
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