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第二十五話 ※ヒューバート視点
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「どういうことなんだ!」
ヒューバートはヒステリックに叫んだ。
国中の新聞がテイト公爵家の醜聞を一斉に報じたのだ。十年前の事故、マギニス男爵を殺害したのはテイト公爵家であり、脅して貴族たちを黙らせていた挙句に金を奪い取っていた。そして今度はアンカーソン伯爵家を、婚約を口実に食い物にしている、とまで言われては、誰も彼もがその話題に食いつく。
事実なのだから、証拠がないと突っぱねても貴族たちは口を揃えてテイト公爵家の悪行を語るだろうし、誰もテイト公爵家を擁護しない。アンカーソン伯爵家だって、娘を傷物にしたテイト公爵家へ怒りの矛先を向けてくるだろう。テイト公爵家との婚約に浮かれていたことなど、すっかり忘れて。
それはヒューバートの婚約者ライラをも怒らせた。
ヒューバートのいた食堂に、ライラが走り込んでくる。鬼のような形相で、顔を真っ赤にさせて狂ったような声を上げる。
「何なの! ヒューバート、新聞を見た? あれは事実なの? 違うでしょう? どうにか言ってよ!」
そんなことを言われても、ヒューバートには分からない。やったのは父のテイト公爵だ、と震える声を絞り出しても、ライラの怒りが収まるわけがない。
「あの事故で私は怪我をするところだったのよ! 幸いお姉様が怪我をしたけど、私を傷物にする気だったの? 何が婚約よ、どうせ私のことは金づるとしか見てないんでしょ! あんまりだわ!」
「ライラ、待ってくれ! 違う、俺は何もしてない!」
「あんたの父親が金にがめつくて醜いことは、国中に知れ渡ってるの! もう結婚なんてしない! 家に帰るわ!」
「だから、待てって! おい!」
どこまでも、徹頭徹尾自分のことしか考えないライラは、テイト公爵家から逃げ出そうとした。アンカーソン伯爵家に戻ったところで、事態は解決どころか真実味を増す要因となって両家のさらなる醜聞を生むだけだと気付きもしない。
ライラに見捨てられ、一人食堂に残されたヒューバートのもとに、ライラと入れ替わるようにテイト公爵が姿を見せた。
顔面蒼白で、テイト公爵はヒューバートの肩を掴む。
「ヒューバート、こうなれば、お前だけが頼りだ」
ヒューバートは嫌な予感がした。しかし、運命は彼を離さない。これから転がり落ちていく坂の前で、テイト公爵は自分の息子の背中を、突き飛ばした。
「すべての罪を被ってくれ。お前を切り捨てて、テイト公爵家は生き延びる」
テイト公爵家の何もかもの悪事を、ヒューバートは被せられる。
しかし誰も不思議には思わなかった、顔は美しくてもそれを鼻にかけて傲慢だったヒューバートならやりかねない、と考えた。アンカーソン伯爵家の婚約にしても、自分をよく見せるために、怪我をした娘に情けをかけたのだろうと。
暗転していく人生は、そう長くはない。
ヒューバートは数ヶ月後、王都の隅にある安宿で遺体となって発見される。恨みを買った誰かに殺されたのだろう、そうまことしやかにささやかれた。
ヒューバートはヒステリックに叫んだ。
国中の新聞がテイト公爵家の醜聞を一斉に報じたのだ。十年前の事故、マギニス男爵を殺害したのはテイト公爵家であり、脅して貴族たちを黙らせていた挙句に金を奪い取っていた。そして今度はアンカーソン伯爵家を、婚約を口実に食い物にしている、とまで言われては、誰も彼もがその話題に食いつく。
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そんなことを言われても、ヒューバートには分からない。やったのは父のテイト公爵だ、と震える声を絞り出しても、ライラの怒りが収まるわけがない。
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「ライラ、待ってくれ! 違う、俺は何もしてない!」
「あんたの父親が金にがめつくて醜いことは、国中に知れ渡ってるの! もう結婚なんてしない! 家に帰るわ!」
「だから、待てって! おい!」
どこまでも、徹頭徹尾自分のことしか考えないライラは、テイト公爵家から逃げ出そうとした。アンカーソン伯爵家に戻ったところで、事態は解決どころか真実味を増す要因となって両家のさらなる醜聞を生むだけだと気付きもしない。
ライラに見捨てられ、一人食堂に残されたヒューバートのもとに、ライラと入れ替わるようにテイト公爵が姿を見せた。
顔面蒼白で、テイト公爵はヒューバートの肩を掴む。
「ヒューバート、こうなれば、お前だけが頼りだ」
ヒューバートは嫌な予感がした。しかし、運命は彼を離さない。これから転がり落ちていく坂の前で、テイト公爵は自分の息子の背中を、突き飛ばした。
「すべての罪を被ってくれ。お前を切り捨てて、テイト公爵家は生き延びる」
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しかし誰も不思議には思わなかった、顔は美しくてもそれを鼻にかけて傲慢だったヒューバートならやりかねない、と考えた。アンカーソン伯爵家の婚約にしても、自分をよく見せるために、怪我をした娘に情けをかけたのだろうと。
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