元が付いてしまった辺境伯家令嬢を助けてくれたのは野蛮人な公子様でした。

ルーシャオ

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第四話

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 私の左隣に座る金髪の青年の正体はさておき、私は急ぎ、簡潔にレーリチ公爵家へ来た経緯を伝えます。

「実は、今日、タドリーニ侯爵家のベネデットに婚約を破棄されました。理由は、ペトリ辺境伯領が東方の蛮族ウェンダロスの侵攻を受け、勝ち目が薄いと判断なされた国王陛下に領地の放棄を決定されたため、守れなかったためかペトリ辺境伯家も貴族の称号を剥奪されたのです。それで、貴族でなくなった私は婚約の価値がないと……そんなことは今はどうでもよくて、問題はペトリ辺境伯領です。まだ父も兄たちも、領民も戦っているはずです。彼らを助けていただきたいのです」

 ふむ、とレーリチ公爵はティーカップをぐいっと傾けて半分以上のジンジャーティーを一気飲みしました。喉が渇いておられるのでしょうか。

 レーリチ公爵は、私へ問います。

「つまり、ペトリ辺境伯家はまだウェンダロスの侵攻に抵抗を続けて戦っているのだ、と君は言いたいのかね?」
「はい! 父も兄たちも戦っています、それは間違いありません!」

 私は、必死になって力説します。今ここで熱弁を振るわなくては、誰の命も助からない。ただ真剣に、レーリチ公爵へと訴えます。

「ペトリ辺境伯家はそう簡単に負けはしません。今このときも、たとえ領地は守れずとも、きっと誰かの命を守るために戦っているでしょう。辺境の地であろうとともに暮らしてきた領民を失うなど、貴族でなくなったとしても私どもには受け入れがたいことなのです。ですのでどうか、援軍を出していただけませんか? ふりだけでもいいのです、ウェンダロスが退きさえすれば、それで」

 気付けば、私は身を乗り出してレーリチ公爵へと語りかけていました。

 しかし、レーリチ公爵は鋭い視線のまま、私を見るばかりです。何か、まだ何か言えることはないのか、私は頭を巡らせますが、それ以上私に何が言えるのでしょうか。レーリチ公爵が満足するような報酬さえも約束できないのに、歯がゆい思いです。

 レーリチ公爵は、今度は私の左隣に座る金髪の青年へと問いかけました。

「ということだが、どうする、ヴィンチェンツォエンツォ
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