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第十四話 竜爵閣下はお怒りです(下)
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ラッセルは私の腕を掴んだまま、お屋敷への道を駆け足で辿っていきます。
ラッセルの怒りはまだ収まらず、ついには走りながらドラゴニアへ来訪した理由、本題に入りました。
「イオニス竜爵から先生に相談があったんだ。お前が嫁いで三ヶ月も経つのに自分を避けて、たびたび隠れて街に出ている、ってな。お前がそんなだから竜爵も無理に結婚式を挙げられず、様子を見ていたがついに、ってことだ」
しばし私は耳を疑いました。
——イオニス様から父へ相談、私が街に出ている、結婚式を挙げられない、様子を見ていた。
私からしてみれば、何ですかそれは、と声を大にして現状認識が噛み合っていないことを指摘したいのですが、ラッセルに言っても仕方がありません。イオニス様や父に言わねば。いえ、私だって今まで言えないことばかりしかなくって、互いに誤解を解く必要があるとは思います、はい。
ところで、それらの要素を抜き出してみても、ラッセルが来る理由にはなりそうもありません。私は首を傾げます。
「どうしてそれでラッセルが派遣されてくることに?」
「お前、竜爵を二回も吹っ飛ばしたらしいな」
「あ、はい、その、反省しました」
「お前を怖がって誰も無理に聞き出すことも、連れ帰ることもできなかったんだ! 竜爵はお前の気が済むようにと今まで放っておいてくれたんだぞ! それも堪忍袋の緒が切れたから、お前を説得なり抑え込める俺が呼ばれたんだ!」
私を三ヶ月も放っておいてくれたのですか、旦那様。いえそうではありません、私は今までそのイオニス様のご温情というべきでしょうか、それにまったく気付くどころか、ガン無視していたわけです。
それはイオニス様だってお怒りになりますし、父まで報告が行くでしょう。私もさすがにこの状況が芳しくないことを察します。
「え、あ、その……えっと……私、そんなつもりじゃ」
しどろもどろになりつつ、私は頭をぐるぐる回して何を言うべきか必死になって考えます。
じゃあどんなつもりだ、と言われても困りますが、ええと、どこから説明すべきでしょう。何を言っても言い訳にしかならず、ひょっとしてこれは離婚の危機では? とようやく深刻さを私は理解しはじめていました。
ラッセルはというと——冷たく私を突き放しました。当然です。
「言い訳は竜爵にしろ。俺にしたってしょうがないだろ」
まったくもってそのとおりです。私は口をつぐみ、お屋敷まで大急ぎで戻りました。
謝らなければ、説明しなければ、と私はまだ足掻いていたのですが、お屋敷の玄関で仁王立ちしているイオニス様を見て、こう思いました。
(あっ、これはダメそうですね。私の自業自得すぎてもう色々諦めたほうがよさそうです)
と思い、また同時にこういった感情も浮かびました。
イオニス様、魔力に遮られてあまりお姿を覚えていませんでしたが、もしかしてものすごく凛々しくて、いわゆる美男子というやつでは? ……と。
何だか私、余裕がありますね?
ラッセルの怒りはまだ収まらず、ついには走りながらドラゴニアへ来訪した理由、本題に入りました。
「イオニス竜爵から先生に相談があったんだ。お前が嫁いで三ヶ月も経つのに自分を避けて、たびたび隠れて街に出ている、ってな。お前がそんなだから竜爵も無理に結婚式を挙げられず、様子を見ていたがついに、ってことだ」
しばし私は耳を疑いました。
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私からしてみれば、何ですかそれは、と声を大にして現状認識が噛み合っていないことを指摘したいのですが、ラッセルに言っても仕方がありません。イオニス様や父に言わねば。いえ、私だって今まで言えないことばかりしかなくって、互いに誤解を解く必要があるとは思います、はい。
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しどろもどろになりつつ、私は頭をぐるぐる回して何を言うべきか必死になって考えます。
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と思い、また同時にこういった感情も浮かびました。
イオニス様、魔力に遮られてあまりお姿を覚えていませんでしたが、もしかしてものすごく凛々しくて、いわゆる美男子というやつでは? ……と。
何だか私、余裕がありますね?
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