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番外編
愛と平和と秘密の薬 3
しおりを挟む「わあ、広い庭!」
「ヘザー様、ご覧になってください。温室もあります」
「ほんとだー」
マーシャル子爵の別荘はとんでもなく立派なものであった。庭はちょっとした公園にすら見える。
シンシアと二人で庭を見物している間も、招待客の馬車が続々と到着していた。
ヒューイはいつ来るのだろう。ヘザーは目を凝らしてバークレイ家の馬車を探した。バークレイ家で使っている馬車は二台あり、そのどちらもそれほど新しいものではない。しかしシンプルで丈夫で、流行りに関係なく使えるものだった。とてもヒューイらしい馬車だとヘザーは思っている。
「あ……オリヴィエ様の馬車……」
大きな馬車からシンシアの婚約者、オリヴィエ・グラックが降りてくるところが見えた。シンシアが口元をほころばせる。
「彼のところに行って来たら?」
「良いのですか? でも、ヘザー様は……」
「私も、そのうちヒューイが来ると思うから」
そういうと、シンシアは嬉しそうにオリヴィエの元へ急ぎ足で向かう。オリヴィエも婚約者の姿を見つけ、二人で微笑み合っているのがヘザーにも分かった。本当に綺麗で可愛らしい恋人たちだ。
自分も、ヒューイが到着したら一緒にオリヴィエのところに挨拶に行こう……と考えていると、バークレイ家の馬車がやってきた。
急いで彼のところに向かった。
「ヒューイ!」
馬車から出てきたヒューイに手を振りながら近づいていくと、彼はゆっくりと顔を上げる。
「ヘザー……もう到着していたのか」
「うん。一時間くらい前に」
「そうか……」
なんだかヒューイに覇気がない。
「どうしたの? なんか元気ないけど……ひょっとして、馬車に酔った?」
「いや、そういう事ではないが……」
じゃあどういうことなんだろう。訊ねたかったが、ぐったりしているヒューイを問い詰めるのも憚られた。
こんなヒューイは初めて見た気がする。身体の調子がおかしいとかでなければ、精神的なものだろうか。けれどもヘザーの知る限り、ヒューイは気持ちの切り替えがしっかりと出来る、心がとても強い人だ。
すごく心配になった。
「あ、あの……」
「悪い。少し休んでからでいいか……?」
彼は元気のない声でぼそりとそう告げると、割り当てられた部屋に向かっていった。
ウィルクス夫人の目がないのをいいことに、ヒューイにぐいぐい迫ってイチャコラしようという意気込みも、少しずつ萎んでいく。
夫婦になるにあたって、ヒューイの支えになりたいとヘザーは思っているが……今の自分は、彼にとってはかえって負担となる存在みたいではないか?
ヘザーの元気までなくなりそうだった。
ヘザーもまた自分の使う部屋へ向かい、荷物の入ったトランクを開けた。
皺になり易そうな服をワードローブの中に吊るしたりして着替えの整理をしていると、
「ねえ、君さあ」
いきなり部屋に入って来る者がいる。
別荘の使用人がこんなに失礼なことをするわけがない。狼藉者は一体誰だと振り向くと、そこにはイリオスがいるではないか。彼も招待されていたのだ。
「あ……!」
「こないだの夜会でサインしてあげた子だよね。君も来てたんだあ」
イリオスは図々しくもヘザーの使う寝台に腰をかけた。
「ちょ、ちょっと!」
「……俺の、ファンなんだろ?」
彼は寝台の上に片手を付き、ちょっと角度を決めて、「ファンなんだろ」のところでヘザーを見上げるようにぱっと上向いた。それはなんとなく演技がかっていたのでヘザーは気づいた。イリオスはこの角度で見せる顔に自信があるのだろうな、と。さすが役者だ。
「なんだったら、俺の今度の舞台……最前列のチケットを手配してあげようか?」
イリオスの舞台の最前列のチケット……多分すごく高いのだろうなと思う。
でも特にイリオスに興味ある訳じゃないんだけどな……などと考えていると、彼は首を傾げた。
「あれ? 反応薄いな。もしかして、びっくりしちゃって声も出ないとか?」
彼の中ではヘザーが自分のファンだという事が決定しているらしい。どこまで図々しい男だ。……だがあの夜会で、イリオスが登場した途端に女性たちが騒ぎだしたことを思い出す。どこへ行ってもあんな風だから、世の中の女性はみんな自分のファンなのだと思ってしまうのだろうか。
「あ、あのー……サインは、人に頼まれてたやつで」
なんとなくその場のノリでもらいに行ったサインだったが、家に帰ってアイリーンに見せると、彼女は大騒ぎした。イリオスのサインだ! と。だから彼女にあげてしまったのだ。
あの夜会にイリオスが来るなんて知らなかったし、はじめから頼まれていたわけではないけれど、そういうことにしておいた方が、角が立たないような気がしてそう答えた。
「え? なんだあ。そうなの?」
ヘザーが自分のファンではなかったと知って、イリオスはあからさまにがっかりした表情を見せる。
どこまでが本気でどこまでが演技なのだろう。なんといっても彼は役者だし……そう考えてヘザーはイリオスを観察していたわけだが、彼は見惚れていると思ったらしい。
「じゃ、改めて君の分のサイン書いてあげるよ」
「えっ?」
「紙とペンない? 俺のサイン、欲しいだろ?」
「いや、あの、うーん……」
さっきからものすごい自信である。大人しく貰っておけば良いのだろうが、サインを貰うことにしたらこの男はますます調子に乗りそうで、それもなんだか癪だ。
ヘザーが言葉を濁しているうちにイリオスはきょろきょろと辺りを見渡し、最後に寝台の上に開きっぱなしになっているトランクのところで視線を留めた。
女性の荷物をじろじろ見るなんて、本当に失礼な奴だ。
ヘザーは寝台を回り込み、無言でトランクを閉めようとし、そこで手首を掴まれた。
「あのさ、これ……何?」
イリオスはトランクの中にもう片方の手を突っ込み、荷物の隙間から覗いていた小瓶を手に取った。
「あ! それは……!」
「俺さあ、この瓶、なんか見たことあるんだよなあ」
なんと彼は、ヘザーがこっそり持ってきていた避妊薬を見つけてしまったのだ。
小瓶の中で揺れる液体とヘザーの顔を見比べ、にやにやと笑う。この時の彼は素の表情に思えた。
「これ……避妊薬でしょ? 君ってこういうの持ち歩く人だったんだ」
薬を用意したヒューイの話では割と普通に出回っているものらしいから、知っている人も多いのだろう。
「ま、待って。それは、それは……えーと、ただの香油よ。変な言いがかりはやめて」
「いやいや、この瓶の……ほら、ここの縁の模様。避妊薬の専用瓶だよ」
「え……」
「この中身が香油だとすると、君は使い終った避妊薬の瓶にわざわざ香油を移し替えて使ってるってことになるな。へーえ……」
「……。」
確かに瓶には模様が入っているが、専用のものだったのか……。
違う瓶に移し替えておけば香油の言い訳が通ったかもしれないが、ヒューイには「中身がいくら少なくなっても、もっと小さな瓶に移し替えようとしたりするな」と言われている。そういうことをするとばい菌が入るかもしれない、粘膜に使うものだから中身をあまり外気に触れさせるな、と。
イリオスは小瓶をぽんとお手玉し、ヘザーが取り返そうとすると、それをさっと握って後ろに隠してしまった。
「なるほど。君はここの別荘で、男漁りをするつもりだったんだあ。へーえ」
「ち、違うわよ! 返して!」
「あれ? しかもこれ、使いかけじゃん? うっわあ~」
「返せぇええ」
イリオスが小瓶を宙に翳した瞬間に奪い返そうとしたが、ひょいとかわされてしまった。
「男漁りじゃなきゃ、何? もしかして俺と使いたい?」
「違うーっ」
いつの間にかイリオスの中では、ヘザーは男好きの淫乱ということになってしまっている。それは違う! いや、淫乱かもしれないが、それはヒューイだけが対象であって!!
しかし、ヒューイと使うために持ってきたなんてコイツに知れたら……ヒューイが婚前交渉を行いまくりだとか言い触らされるかもしれない。
それに……さっきの、やけに覇気のないヒューイのことを思い出した。ヘザーがイチャイチャする気満々で薬を持っていると今日のヒューイが知ったら……彼は、ヘザーのことを面倒とか邪魔だとか思ってしまうのではないか。
なんで避妊薬なんか持ってきちゃったんだろう。
なんでトランクを開けっぱなしにしちゃったんだろう。
……そもそもこいつが図々しく部屋に入ってきたのが悪いんだ!
「いいから返してっ」
こうなったら、取り返すためには決闘もやぶさかではない。ヘザーはなんとか薬を取り戻そうと、イリオスに詰め寄った。
*
昨日は本当に散々だった。ここまで精神的に乱れたのは初めてかもしれない。
精神的に疲れると、睡眠にも支障が出るものだ。
昨夜は遅くにベッドに入ったが、ウトウトする度に「グレンが(転んでラッキーのリードを放してしまったため、自由になったラッキーが)マフィンちゃんを妊娠させた」と、ヒステリックに叫んでいるあの夫人とおろおろする父、涙ぐむグレンの姿が思い浮かんで、ハッと目を覚ましてしまうのだった。
移動中の馬車の中でも上手く眠れず、ふらふらした状態のまま子爵の別荘に到着した。
先に到着していたヘザーが迎えにやって来たが、彼女の相手をする余裕がその時のヒューイにはなかった。
別荘の使用人にハーブのお茶を運んでもらい、ようやく少しだけ落ち着いたところだ。
ヘザーはヒューイの様子に気付いていて、体調が悪いのかと聞いてきたが……彼女にも心配をかけてしまった。ヘザーのところへ行って、少し話をしてみよう。
そう考えてヘザーの居室へ向かった。
「なっ……何よそれー!」
「ま、嫌ならいいんだけどさあ……」
近くまで行くと、部屋の中からヘザーの声がした。それから、男の声も続いた。
この声、最近聞いたことがある。誰の声だったか……。
ヘザーの部屋は扉が開いていて、その中でヘザーが男と向かい合っているのが見える。
「……ヘザー?」
声をかけると、ヘザーと男が振り向いた。豊富な黒い髪が揺れる。
そこで、男は役者のイリオスだと分かった。彼もまたこの別荘に呼ばれていたらしい。
イリオスはヒューイに気付くと、「あれは誰?」とでも聞きたそうにヘザーを見る。
「私の……婚約者よ」
「へえ。婚約してるんだ。あ、どうも。ご存知でしょうけど、役者のイリオスです」
「……騎士のヒューイ・バークレイです」
自己紹介しつつも、ヘザーの様子が気になって仕方がない。
扉は半分ほど開いていたとはいえ、何故他の男を部屋に入れた? それにどうして気まずそうにしているんだ?
そのうえ、イリオスは退散間際にヘザーの耳元で呟いた。
「じゃ……そういうことで、よろしく頼むよ」
「え、ちょっと……」
ヘザーは彼を引き止めようとしたが、ヒューイの視線を受けてやはり気まずそうに手を下ろす。
ヒューイは扉から廊下を覗き、イリオスが遠ざかったのを確認してからヘザーに向き直った。
「彼と何をしていたんだ」
「あ、あの……ほら、サイン貰おうと思って」
「……以前の夜会で貰っただろう」
「あれは、アイリーンにあげちゃったの。それで彼女の友達も欲しいそうだから、もう一枚お願いしたくて」
本当だろうか。ヒューイは考えた。
普通のレディは使用人の友人にまで融通を利かせたりしないものだが……まあ、ヘザーの性格的におかしいことではない。
しかしヒューイに聞こえてきた二人の会話。仲良く騒いでいるようにも聞こえたし、言い争い寸前といった風にも聞こえた。
「それで、書いてもらったのか?」
ヘザーは肩を竦めた。
「ううん、断られちゃった……」
ヒューイはじっとヘザーの様子を観察する。
彼女は目が合うと、ぱっと俯いた。
どうもおかしい……ヘザーの話は本当なのだろうか?
「いくら彼が人気役者とはいえ、部屋に招くのは感心しないな」
「……ご、ごめんなさい。もう、しないから」
ヒューイの咎めるような口調に、ヘザーが肩を落とす。
彼女は知らないだろうが、イリオスはかなりの遊び人だ。しかも、ヘザーと寝たいと口にしていた。
「何も、されていないんだろうな」
「えっ。う、うん」
さっき相手をしてやれなかった分のフォローをしに来たはずなのに、どうしてこんなことになっているのだろう。
面白くない気持ちを追い出す様に大きなため息を吐く。
「そういえば、ウィルクス夫人は」
「あ。来てないの。旦那さんの叔父さんが亡くなったらしくて」
「そうなのか……」
今回はお目付け役の夫人がいない。となると、ヘザーはぐいぐい迫ってくるはずなのだが、その様子もない。
まさかイリオスの方が好きになったとか言うんじゃないだろうな……。
「ね、ねえ。貴方は大丈夫なの? さっき、具合悪そうだったけど」
怖い顔をしてしまったらしい。ヘザーがちょっと怯えたように、遠慮がちに訊いてくる。
「ん? ああ……」
前日の精神的な疲れが抜けなかったが、なんとか落ち着きつつある……筈だったのに、今はイライラむかむかしている。
それにウィルクス夫人がいないのがかなり痛い。自分が見ていない時に、イリオスがヘザーにちょっかいを出すかもしれないのだから。
やっぱりヘザーの様子がおかしいと確信したのは、夕食の時だ。
食堂には長いテーブルが三列に並べられ、招待客はそこでディナーに舌鼓を打っていた。
ヒューイの隣にヘザー、その隣にシンシア・マードック、さらに隣にオリヴィエ・グラックが座っている。
ヘザーはたまにシンシアと言葉を交わすものの終始俯きがちで、食事もあまり進んでいない。
具合が悪いのはヘザーの方ではないかと、ヒューイは心配になってきた。
食事を切り上げて部屋に戻るか、医師を呼んでもらった方がいいだろうか。そう打診しようとした時、ヘザーが持っていたナイフとフォークを置いた。
やはり具合が悪いのだ。
「ヘザー、もし……」
そして彼女の顔を覗き込もうとしたヒューイは息をのむ。
ヘザーが顔を顰めたかと思ったら、寄り目になったり、顎を突き出したり、鼻の穴を膨らませたり……要は、子供が睨めっこをするような表情を宙に向かって作っていたからだ。
しまいに彼女は手を使って頬を引っ張ったりもした。
「おい、ヘザー?」
だが、彼女は返事をせず、ひたすら百面相を続けている。
「あの、ヘザー……様……?」
隣のシンシアも気づいて戸惑っているが、やっぱりヘザーはお構いなしだ。
異様な空気は周囲の招待客にも伝わり、ヘザーを見やっては隣の人間とひそひそクスクス笑っている者もいる。
ヘザーはどうしてしまったんだ……。
やはり医師を呼んでもらって、アタマの診察をしてもらった方がいいかもしれない。
ヒューイが使用人を呼び止めようとした途端、彼女は百面相を止め、ナイフとフォークを握り直して食事を再開した。
いったい何だったんだ……。
ヘザーはすまし顔で肉を切り分けている。さっきの様子が嘘のようだ。
だがシンシアやオリヴィエ、それに周囲の人間たちも怪訝そうにヘザーを見ては首を傾げていることからして、ヒューイだけが目にした幻という訳ではないのだろう。
*
「ちゃんとやったわよ。返して」
食事が終わると、ヘザーはイリオスを廊下の隅に引っ張っていき、そして薬の小瓶を返せと迫った。
彼はお腹を押さえて笑っている。
「いやあ。まさか、本当にやってくれるとはなあ!」
「貴方がやれって言ったんじゃない!」
『この小瓶を返してほしかったら、夕食時に顔芸をやれ』
イリオスはそんな条件を出してきたのだ。
「見た? 君を見るみんなの顔! 最高だったよな」
「いいからはやく返して!」
「いやあ、君、ほんっと面白いわあ」
イリオスはヘザーの目の前に小瓶を翳し、中身をゆらゆらと傾けて見せる。
ヘザーがそれを奪おうとすると、
「おっと」
そう言って、また隠してしまった。
「ちょっとお!」
ヘザーは運動神経には自信があったが、イリオスもまた運動能力が高い。役者は肺活量を鍛えるため、体形を保つための運動をするというし、舞台では踊ることもある。身のこなしはヘザーと同等か、それ以上のようだった。
無理やり奪おうとすれば取っ組み合いになって、周囲の人間が何事かと思うだろう。
だから子猫がじゃれるように、軽く、表面的にしか動けない。イリオスの隙をついて奪うのは難しかった。
彼はへらへらと笑いながら、ピアノの音がする一室を覗き込んだ。
女性がピアノを弾いて、それを椅子に座って聴いている者、ちょっとしたスペースで踊っている者、居眠りしている人もいた。奥にはシンシアとオリヴィエがいる。
イリオスはヘザーを振り返った。
「あの部屋の真ん中に行ってさあ、靴脱いで、こうやって足のにおい嗅いできて」
「……!」
足首を持って前方に身体を屈め、そうやってにおいを嗅げと、イリオスは身振り手振りで示した。
「ふ、ふざけないでよー!」
キチガイを見る目に耐えたばかりなのに、さらにキチガイになれとこの男は言うつもりか。冗談じゃない。
「え、やってくんないの? じゃあ、この薬、どうしようかなあ。えーと、男を漁るために持ち歩いてるんだっけ? それとも、あの騎士の彼とヤりまくるためだっけ?」
「……。」
どうしよう、どうするべきなんだろう。
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「やってくれないなら、俺から君の彼に、この瓶を返すことにしちゃおうかな」
「うっ……」
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しかも内緒で持ってきたものだ。面白くない気持ちを通り越して、彼はヘザーに嫌悪感や不信感を抱くだろう。
「わ、わかったわよ。やればいいんでしょう!? 今度こそ、絶対返してよね」
「そうこなくっちゃ」
ヘザーは覚悟を決めて部屋の入り口に立った。
薬を取り戻したら……イリオス、絶対殺す。そう思いながら。
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