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番外編
君のためにできること(物理) 2
しおりを挟む金髪の男は、ヘザーの知らない人物のようだった。ただ、彼の方は剣士時代のヘザーを知っているらしい。
詳しく聞こうとしたところにヒューイがやってきて水を差したのだと、それから彼が婚約者を連れていたことも、後でヘザーから聞いた。
ヒューイのいる方からは女性の姿は全く見えなくて、それどころかヘザーは二人の男にちやほやされているようにしか映らなかった。
金髪の男──オリヴィエ・グラック──については、まあ、いい。考えてもこれ以上のことは分からないし、今後何かの催しに参加した際、顔を合わせることがあるかもしれない。
今は、ベネディクトのことだ。
ヒューイは自分の目の前の椅子に掛け、適当に書類をぱらぱらやっている男をちらりと見る。
今、ヒューイはベネディクトと二人で打ち合わせを行っているところだった。
新人騎士の研修メニューはある程度決まっているが、それでも教官によって内容に違いが出てくる。その内容が他のクラスとかけ離れたりしないように、互いの進み具合を照らし合わせているのだ。
ベネディクト・ラスキンは学生時代からの友人で、ヒューイが最も信頼する人間のうちの一人である。ヘザーのエスコートを頼んでもいいくらいに。そう思っていた。
しかし。
ヘザーをベネディクトに頼み、教官長へ挨拶へ行き、戻って来てみれば、二人は顔を寄せ合って楽しそうに笑っているではないか。
ベネディクトがヘザーを本気で口説いたりする筈がないとヒューイは知っている。だが二人の様子はヒューイが考えていたよりもずっと楽しそうで親密そうで……今後ヘザーを様々な場所へ連れて行って色々な人に合わせ、ヘザー・バークレイとなってからの人脈を作らなくてはならないのに、この程度で苛ついていてどうする。そう考えて自分を諫めている間にオリヴィエ・グラックまで加わったものだから、ついつい大人げない振る舞いをしてしまったのだ。
いや……ベネディクトに問題があるわけではない。問題があるとしたら、自分の心の狭さにあるのだろう。
「しかしよ、」
「うん?」
ふいにベネディクトが顔を上げた。
「本人にも言ったんだけどさ、ヘザーってほんとに綺麗になったな。びっくりしたぜ」
彼は感心したように一人で頷いている。
……ヘザーを見るな。彼女が減る。そう口をついて出そうになったが、ぐっと堪える。そう、この程度で苛ついていては、今後やっていけない。
「女は恋すると綺麗になるって言うもんなあ……あ! でもさあ、お前は逆に腑抜けたツラになったな!」
ベネディクトはヒューイの心中を知ってか知らずか、呑気にのたまい続ける。こめかみがピクピクし始めたのが自分でもわかった。
「ただ、俺が納得いかないのはさ……彼女の相手が、ヒューイ、お前だってことだよ」
「……どういうことだ」
「だからよ。女っつうのは、愛し愛されて綺麗になるんだって!」
と、ベネディクトはこっぱずかしい科白を吐くが、これは彼の持論らしい。
もともとの顔がどれだけ整っていようが、いくら化粧をして着飾ろうが、内面から湧き出る美しさはまた別のものなのだと言う。「自分は幸せ」だと感じることによって、ホルモンだか脳内物質だかがダバダバ溢れて、それで綺麗になるのだとか。
くだらない与太話だと思いはしたものの、ヘザーに関することなのでつい耳を傾けてしまう。
「……ってことはよ、お前さ……毎日ヘザーに『愛してる』とか『好きだ』とか囁いちゃってるてことだろ!? うわあ、信じらんねえー!!」
「……毎日囁いてなど、いない」
ヒューイは歯を食いしばった。
「じゃあ、何? 二日にいっぺん? 三日に一回? それとも、手紙とかで? うわあ、うわあ!」
ベネディクトは心臓のあたりを掻き毟りながら身をよじる。
彼の口をふさいでロープでぐるぐる巻きにした挙句、王城の一番高い塔のてっぺんから吊るしてやることができたらどんなにスッキリするだろう。
ヒューイは息を吸い込み、「職場でする話ではないだろう、不謹慎だ!」と怒鳴ろうとした。
だがそこで、扉をノックするものがいた。
「失礼します。お茶をお持ちしました」
ティーセットを乗せたワゴンを押して、メイドが二人、部屋へ入ってくる。
そういえば先ほどお茶を頼んだのだった。それがちょうど良いタイミングで出来上がったわけだ。
そこでヒューイもベネディクトも椅子に座り直し、目の前にティーカップが置かれるのを待つ。
メイドたちは黙々と作業をしている。が、なんだか雰囲気が刺々しい気がした。
メイド二人の間に、なにやら妙な空気が流れているのだ。それはヒューイやベネディクトに向けての刺々しさではなかったが、なんとなくこちらも気後れして黙ってしまう。
「なんか変な空気だったよな。ギスギスしてなかったか?」
「……ああ」
メイドたちが出て行った後、ベネディクトが小声でそう訊ねた。
「あの二人、ケンカでもしてんのかな」
「そうかもしれないな」
ケンカするのも仲良くするのも自由だが、仕事場にはそれを持ち込まないでいただきたいものだ。ヒューイはそう思いながらお茶を飲んだ。
*
時は少しだけ遡る。
フェルビア王国軍司令部所属のヒューイ・バークレイとベネディクト・ラスキンの打ち合わせの間にお茶を運ぶ……メイドたちは「その仕事、自分にやらせてくれ」「いや、是非私に」と色めき立った。
放っておけば血で血を洗う闘争に発展すると踏んだメイド長は、くじ引きでその役割を決めた。
当たりくじを引いた二人の幸運なメイドは張り切って仕度をする。ワゴンを押すその足取りも軽かった。
……途中までは。
ヒューイとベネディクトは、メイドたちにとても人気がある。
司令部所属の年若いエリートの二人だからだ。しかし結婚相手、あるいは恋人候補という無謀な理由からではない──中には報われない恋をしてしまうメイドもいるが、それはごくごく少数であった──。
「ああ、廊下の向こうの扉を開けたら、あの二人がいるなんて……ドキドキしちゃう!」
メイドの一人がほうっとため息をつく。
もう一人も、うんうんと頷いた。
「あたし……今までいろいろ『つまみ食い』はしてきたけどさあ。やっぱりあの二人は原点なのよねえ」
「やっぱりそう思う!? 私もなのよ!」
ここまでは和やかムードの会話であった。だが、
「やっぱヒュー×ベネは鉄板でしょ!」
一人がそう口にした瞬間、もう一人が足を止めた。
「……はあ? ヒュー×ベネですって? ヒューイ様が攻めってあり得ないわよ。あの方は受けでしょ。ベネ×ヒューに勝る組み合わせはないでしょ」
「何言ってるのよ。受けはベネディクト様でしょ。朗らかなイケメンの別の顔……ヒューイ様に攻められてあの端正なお顔が恥辱に歪むの……ああ! たまらないわ!」
もう一人も負けじと言い返す。
ある種の女の中では、ターゲットが女好きだろうが婚約していようが妻子持ちだろうが関係ない。
彼女らは王宮の騎士を使って妄想を繰り広げるのである。
基本的には教官同士で、イケメンだったりキャラ立ちした新人が研修を受けているときは、彼らも使って。
中でも、ヒューイとベネディクトの組み合わせは人気が高かった。
「え? お顔が恥辱に歪むのはヒューイ様でしょう? 実は腹黒のベネディクト様にじわじわと追いやられて……はじめは嫌がってたんだけど、そのうち身体だけではなく心も……っていうのが王道でしょうが!」
「……はあ? 何が王道よ。勝手に決めつけないでくれる? ってか、ヒューイ受けとかキモいんだけど!?」
「なあんですってぇ……フン!」
「……フン!」
ヒューイとベネディクトの組み合わせを原点としている者同士でも……いや、原点としている者同士だからこそ、その順番の違いには厳しい。
二人はカップリングについての意見に食い違いが生じ、袂を分かったばかりであったのだ。
以前ヒューイに同性婚疑惑が向けられたとき、他人事のように大笑いしていたベネディクトであったが、そのベネディクトすら腹黒設定まで付加され、妄想のネタにされている。
自分が彼女らの餌食にされていることを、本人たちはまったく知らない。
*
オリヴィエ・グラックたちと再会する機会はすぐに訪れた。
男爵夫人の開いたお茶会にヘザーがウィルクス夫人と参加したとき、二人も来ていたのだ。
「あっ。ヘザー・キャシディ! ヘザー・キャシディじゃないか!」
「あっ、貴方はこの前の」
オリヴィエはヘザーの姿を目に入れるや、すぐにこちらへやってきた。美しい婚約者、シンシア・マードックも一緒に。
「この前はごめんなさいね」
話の途中で場を離れたことを詫び、それから、今日こそは彼がどうして自分を知っているのか訊ねようとした。
彼はようやくお話しできる機会が巡ってきたと、嬉しそうに教えてくれた。
オリヴィエ・グラックは、異国ティエタの貴族であった。
ティエタとは、この国の北西にあるソレンソン伯爵家の領地から隣国に抜け、そこからさらに二つほど国境を越えた場所にある。
オリヴィエはグラック侯爵家の五男としてこの世に生まれたわけだが、五番目の息子が爵位や領地を継承できる可能性はないに等しく……しかし他の兄たちのように剣で身を立てられるほど、彼は強くもなかった。
「えー、お兄さんが四人もいるの!」
ヘザーは一人っ子だし、父と二人きりで生活していたから、兄弟がたくさんいる暮らしは想像が難しい。ずいぶん賑やかそうだとは考えたけれど、侯爵家の息子となると、家の中で遊んだりケンカしたりはしないのだろうか。やっぱり想像が難しい。
「それほど堅苦しくはない家だったと思うよ」
だから兄弟で騒ぐこともあったとオリヴィエは言った。
「私はティエタ人だけど……私の母の生まれは、フェルビア王国なんだ。母は、カナルヴィル出身なんだよ」
そしてグラック侯爵夫人は、子供たちを連れて故郷のカナルヴィルを訪れることがあった。男の子が五人もいるので、彼らの興味は自然と闘技場に向かう。
「ああ、それで……」
「そう。そうなんだ! 背の高い女剣士が、鮮やかに剣を振るうあの姿……! 君は本当にかっこよかったよ! 少年時代の、私のヒーローだった!」
そこでオリヴィエの兄たちはヘザーの姿に感化されて剣の修業を頑張ったが、オリヴィエだけはどうしても騎士を目指せるレベルには達しなかった。
「持ち前の運動神経が悪いのかな、どうやっても上手くはならなかったんだ」
末の息子として可愛がられはしたものの、それでも大人になったら家を出て、自分で生活していかなくてはならない。
オリヴィエはティエタの芸術学校に通い、母の国で美術商をやることに決めたのだった。
彼がティエタから持ち込んだ美術品は、この国の貴族たちに受けが良かった。
「その時まとまったお金が手に入ったからね。最近、この王都で店を構えることができたんだよ」
「へえー」
「私の店は、南城門近くの、大きな書店のところを入った通りだよ。機会があったら是非、訪ねてほしい」
「ええ、南地区の商店街ね」
壷や絵画にそれほど興味はないが、社交界では必要な知識の一つだ。どんどん見て知って、覚えなくては! と、ヘザーは力強く頷く。
「うん。そこは以前、画廊だったらしいんだけど……すぐに潰れてしまったみたいで」
「……ん?」
南地区の商店街の画廊……。ヘザーは思い出した。ニコラスが入れ込んでいた店員のいる、怪しげな画廊のことを。
ガラクタ同然の品を嘘をついて高く売りつけるという詐欺行為を働いており、騎士団が動いて摘発されたのだ。もちろん画廊は潰れ、ケチのついた土地と建物だったから、安く売りに出されていたようだ。そこをオリヴィエが買ったらしい。
オリヴィエは貴族なのだから怪しい商売ではないのだろうが、ちょっと心配になってしまう。
その画廊がどうして潰れたのか教えるべきだろうか、いや、黙っておいた方がいいのかな……などと考えているうちに、オリヴィエは知り合いに呼ばれてそちらへ行ってしまった。
ヘザーの元にはシンシアが残る。
「オリヴィエ様からいつもお話を聞いていたので、この前の夜は初めて会った気がしませんでした。ヘザー様はとても人気の剣士だったのだとか」
「えっ。いやあ、そんな……」
可愛らしく見つめ上げられて、思わずどぎまぎしてしまう。
その時ヘザーは、シンシアがこの前の夜と同じペンダントを身につけていることに気がついた。
サファイアだろうか……青い宝石の粒が、細い銀の鎖にぶら下がっている。豪奢過ぎない、控えめで上品な輝き。それは夜会用のドレスにもよく似合っていたが、昼間身に纏うドレスにもよく似合っていた。
ヘザーの視線に気づいたのだろうか、シンシアは自分の胸元を示す。
「オリヴィエ様にいただいたんです」
「そうなんだ……素敵だなって、この前から思っていたの。シンシア様によく似合っているわ」
「ありがとうございます。このペンダント……本来はオリヴィエ様のお店の商品だったのですが……」
オリヴィエは美術品の売り買いを行っているが、その中には宝石も含まれるようだ。
サファイア自体はお金を出せば手に入るものだが、このペンダントの場合、サファイアの嵌まった台座の装飾に希少な価値があった。細かく丁寧に彫られた装飾は、何世紀も前の一流の細工師が施したものらしい。
「でもこの宝石、シンシア様にぴったりだもの。オリヴィエ殿もそう思ったんじゃないかしら」
「ま、まあ……ありがとうございます」
シンシアはぽっと頬を染めた。
ヒューイとの事を問われたとき自分もこんな控えめな反応ができればよいのだが、ニヤニヤニヤニヤしてしまって、どうもだめだ。
シンシアと親しくなって、彼女の行儀作法をお手本にさせてもらった方がいいかもしれない。
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