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第2章 学園祭編。
終焉
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男の狙いは私だった。
お金で雇われて私を依頼主の元へ連れて行く。邪魔する奴は排除していいと言われていたらしい。
さーっと血の気が引いていくのがわかると同時に体が震えだす。
「おい、フィー大丈夫か?」
「いやっ!!!」
心配した龍が肩を軽く触っただけなのに、その手を思いっきり弾いてしまった。
怖い。
「ご・・・ごめ、龍・・・、大丈夫だから・・・。」
「・・・いや、顔色相当悪いぞ?」
弾かれた事に驚きはしているものの、私の様子がいつもと違う事に気がついており、心配そうに覗き込んでくる。
『……フィー』
目を手で隠されそのまま後ろへと引き寄せられると、ディの腕の中に納まった。
『平気だ。俺が傍にいる。』
耳元で優しく言われると緊張した心にじわりと暖かいものが溢れてくる。
『龍が嫌だとかじゃねぇよ、あぁなったフィーはダン以外傍に寄せ付けないし、触らせない。俺達も母さんたちでもだめだ。』
龍の肩をポンッと叩いたのはリアム。
きっと複雑そうな表情をしているのだろう。
ディの方を向きぎゅうっとディの腕に抱きしめられていると次第に落ち着いてきた。
洋服の端を握りおでこはディの胸に着けたまま大きく深呼吸をする。
すると抱きしめている腕に力がわずかにこもった。
「何やっているんですか?!人の彼氏に抱きつくなんて最低!!」
私とディの状況がかなり気に入らないのだろう、大声を出し近づいてきている。
ディから離れようにも全然力を緩めてくれる気配はない。
『面倒なのがきたわね』
ディの隣に居たギルがぽつりと呟き、ディは思いっきり舌打ちをした。
「先輩、離れてください。」
「フィーが離れる必要はねぇし、俺はフィーを離すつもりはない。何の用だ?」
「なんでです?ウィル先輩は私の彼氏でしょう?!私以外に抱きつかないでください!!」
「はっ!笑わせるなよ。”彼氏”だと言っているのはお前だけだろう?俺がいつ付き合うって?恋人になるって言った?」
全身で怒りを、不快感を表しながらディはいう。
「だって、エスコート引き受けてくれたじゃないですか!それに男子の部でも!」
「引き受けただけだろう?お前の方で歩いて俺の方で歩かないのはバランスが悪いと思ったからだ、勘違いするな。」
私を挟んで二人が言い争いをしている。
周りにいる生徒達はこちらのこの状況に興味津々だ。
ディが口調が荒いのに対しても驚いているのだろう。
仕方がない。今ディは不機嫌が爆発し、魔王様モードなのだ。
ディの口調に対してなのかはわからないがとうとう、友池は泣き出してしまった。
面倒だと、ディが大きくため息を付く。
「今更だけど、向こうで話そうか?俺達はどこでもいいけれど」
ギルの提案に対して反応を示さず、全く動かないのは”否”なのだろう。
ギルまでもがため息をつく。
ディの体から体を離そうとしたら片腕で抱き上げられた。
うん、ちゃんと筋肉ついていたんだね。
と逃避していたら、男の身柄を引き渡して戻ってきたさつきさんがやって来た。
状況がいまいちのみこめないのか困惑している。
「さつきさん、これ後頼みます。俺はフィーと家に帰る」
驚いた表情を浮かべるさつきさんに茶封筒を渡す。
中に入っていた書類に目を通したさつきさんの眉間にしわがよる。
「あぁ、あとこれも」
左胸につけていたピン飾りをはずすと手渡す。
「赤いやつ押したら聞けるから。龍、俺ら早退していいか?」
「あぁ、担任には言っておく。」
「悪いな」
「ルーク、リアム、アレクにエイヤ今日はどうもありがとう。」
龍の近くに居たルーク達にお礼を言うと、ルークに手を振りながら”ゆっくり休め”と言われた。
ギルも私とディについてくる。
教室に一度荷物を取りに戻ると、そのまま簡単に事情を加奈子に話し帰宅した。
お金で雇われて私を依頼主の元へ連れて行く。邪魔する奴は排除していいと言われていたらしい。
さーっと血の気が引いていくのがわかると同時に体が震えだす。
「おい、フィー大丈夫か?」
「いやっ!!!」
心配した龍が肩を軽く触っただけなのに、その手を思いっきり弾いてしまった。
怖い。
「ご・・・ごめ、龍・・・、大丈夫だから・・・。」
「・・・いや、顔色相当悪いぞ?」
弾かれた事に驚きはしているものの、私の様子がいつもと違う事に気がついており、心配そうに覗き込んでくる。
『……フィー』
目を手で隠されそのまま後ろへと引き寄せられると、ディの腕の中に納まった。
『平気だ。俺が傍にいる。』
耳元で優しく言われると緊張した心にじわりと暖かいものが溢れてくる。
『龍が嫌だとかじゃねぇよ、あぁなったフィーはダン以外傍に寄せ付けないし、触らせない。俺達も母さんたちでもだめだ。』
龍の肩をポンッと叩いたのはリアム。
きっと複雑そうな表情をしているのだろう。
ディの方を向きぎゅうっとディの腕に抱きしめられていると次第に落ち着いてきた。
洋服の端を握りおでこはディの胸に着けたまま大きく深呼吸をする。
すると抱きしめている腕に力がわずかにこもった。
「何やっているんですか?!人の彼氏に抱きつくなんて最低!!」
私とディの状況がかなり気に入らないのだろう、大声を出し近づいてきている。
ディから離れようにも全然力を緩めてくれる気配はない。
『面倒なのがきたわね』
ディの隣に居たギルがぽつりと呟き、ディは思いっきり舌打ちをした。
「先輩、離れてください。」
「フィーが離れる必要はねぇし、俺はフィーを離すつもりはない。何の用だ?」
「なんでです?ウィル先輩は私の彼氏でしょう?!私以外に抱きつかないでください!!」
「はっ!笑わせるなよ。”彼氏”だと言っているのはお前だけだろう?俺がいつ付き合うって?恋人になるって言った?」
全身で怒りを、不快感を表しながらディはいう。
「だって、エスコート引き受けてくれたじゃないですか!それに男子の部でも!」
「引き受けただけだろう?お前の方で歩いて俺の方で歩かないのはバランスが悪いと思ったからだ、勘違いするな。」
私を挟んで二人が言い争いをしている。
周りにいる生徒達はこちらのこの状況に興味津々だ。
ディが口調が荒いのに対しても驚いているのだろう。
仕方がない。今ディは不機嫌が爆発し、魔王様モードなのだ。
ディの口調に対してなのかはわからないがとうとう、友池は泣き出してしまった。
面倒だと、ディが大きくため息を付く。
「今更だけど、向こうで話そうか?俺達はどこでもいいけれど」
ギルの提案に対して反応を示さず、全く動かないのは”否”なのだろう。
ギルまでもがため息をつく。
ディの体から体を離そうとしたら片腕で抱き上げられた。
うん、ちゃんと筋肉ついていたんだね。
と逃避していたら、男の身柄を引き渡して戻ってきたさつきさんがやって来た。
状況がいまいちのみこめないのか困惑している。
「さつきさん、これ後頼みます。俺はフィーと家に帰る」
驚いた表情を浮かべるさつきさんに茶封筒を渡す。
中に入っていた書類に目を通したさつきさんの眉間にしわがよる。
「あぁ、あとこれも」
左胸につけていたピン飾りをはずすと手渡す。
「赤いやつ押したら聞けるから。龍、俺ら早退していいか?」
「あぁ、担任には言っておく。」
「悪いな」
「ルーク、リアム、アレクにエイヤ今日はどうもありがとう。」
龍の近くに居たルーク達にお礼を言うと、ルークに手を振りながら”ゆっくり休め”と言われた。
ギルも私とディについてくる。
教室に一度荷物を取りに戻ると、そのまま簡単に事情を加奈子に話し帰宅した。
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