infinite love

谷山佳与

文字の大きさ
上 下
49 / 77
第2章 学園祭編。

エスコートについて 2。

しおりを挟む
大学部へ行く為昇降口を出たところでばったり龍と会った。

「フィー、さっき教室に来ていただろう?二時間くらい前。」
「あ、うんでも達也君に聞いたから大丈夫だよ?それに今からお願いしに行くところだし」
「・・・誰にするんだ?」

少し困った表情をした龍に首をかしげる。

「え?ギルバートだよ?」
「ギル・・・って誰だ?」
「お仕事仲間」

お仕事仲間・・・・*といえばあぁと納得する。
そういえば大学部の方にゲストで来ていたなと。

「時間ないから今から「フィー!!!!」」

言葉をつなげる前に龍に力いっぱい引き寄せられ庇う様に抱きしめられた。と同時に

ガシャン!!!

と陶器の割る音がした。
隙間から音のする方を見れば割れた鉢植えが1つあった。
内心舌打ちをしながらも校舎を見上げる。
三階部分に鉢植えがいくつか置いてあるが落ちそうな雰囲気ではない。
左右の廊下を見るも、下から見える範囲で不審な動きをするような人物はいない。
もちろん龍のファンも。
龍の声に何人か何があったんだと見ている。
あの警告の手紙をもらっているからこれは、人為的なものだろう。

「大丈夫か?」
「あ?うん。ちょっとびっくりしたけど怪我もしてないし大丈夫。ありがとう」

離れようと思ったとき明るい声が龍の後ろから聞こえてきた。

『あら~。ソフィお姫様すみに置けないわね。私というものがありながら』

その声に龍の腕から離れて声の主ギルの元へと走っていった。

『ちょっと、助けてもらっただけだよ~。それよりギルにお願いがあるんだけれど?』
『あらお姫様のお願いならなんだって聞いてあげちゃうわ』
『私とミスコンに出てくれない?条件にあてはまるのギルしかいなくて。』
『エスコートね。任せて!張り切ってしちゃうから』

両手をぎゅっと握ると笑顔で了承を得ることができた。

『あの、フィー?この人がギルバートさん??』
『そうだよ。ギル幼馴染の龍也。この高等部の現生徒会長だよ』
『はじめまして。私の・・・お姫様がお世話になっているみたいで』
『いえ、こちらこそフィーとは仲良くさせてもらってます』

表面上はにこやかな笑みを浮かべているんだけど握手を交わす二人のあいだにはピリピリとした空気が流れる。
それより私はいつギルのものになったのだろうか?
些細な事を気にしつつも一度ロッカーに荷物を取りに行く。
正確には手紙だ。
あんな事があったあとだ必ず何かしら手紙が入っているはず。
ロッカーを開くと案の定大量の手紙が入っていた。
暇人どもめ!!
内心悪態を付きながらも手紙を回収する。
からかってくるかと思ったギルの反応はなく、見上げると眉間にしわを寄せ何かを考えている表情をしていた。

『どうかした?』
『いいえ?これ仕分けするんでしょう?手伝うわ。』

そう言ってロッカーに入っていた手紙の半分を持ってくれた。
ペーパーナイフを持ち出すとそのまま会場へと一先ず向かうことにした。
早く行かないとディが心配するに決まっている。

会場につき、ステージ衣装を選ぶことにした。テーマが“デート”なら普段しているカップルコーデで十分だ。
シンプルなデザインを選ぶと手紙の開封作業を開始した。

『多少の嫉妬は可愛いと思うわ。むしろして欲しいくらい。だけどここまで来ると正直男としては引くわ~』

会場の一角に設けられた個人の控え室でギルと開封した手紙を仕分けしていく
全て開いたあとその中で特に気になるものが2つ入っていた。
封筒には入っていない。
新聞の切り抜きを使った手紙。

『“コンテストに出場するな”と“16時に体育館裏に来い”か、典型的というかなんというか』
『どちらもとりあえずスルーかしら?コンテストには出るし、呼び出しには応じない。』

不必要な手紙はゴミ箱に捨てる。
勿論中身がわからない様に袋に入れてだ。
コンテストが始まるまで、少し考えることにした。
あのこだと確信が欲しい。
ゆっくりと私は目をとじた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...