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第1章 学園編入編。
秘密。
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『聞いてねぇぞ!?フィー!』
『だって、言ってないもの。それにこれは私が決めたことよ。』
有無言わさぬ表情で龍を見据える。
『フィー、ちょっと落ち着け。やっぱりお前は交渉には向かない。』
『・・・むぅ。分かってるわよ。だけど、早々に行動を起こさないと次が起こる可能性があるんだもの。』
それまで静観していたディが傍までやってきて肩を抱き寄せる。
「こっちはカード見せたんだから、そっちも持ってる情報貰えるよな?」
「・・・悪い。これなんの身分証??」
ピリピリとした空気を破ったのは、手帳に書かれている文字に首をかしげていた梓だった。
「ソフィアちゃんの身分証なのはわかるんだけど、これ何?」
「“Federal Bureau of Investigation”通称FBI。これ、特別捜査官の手帳ですよね?ソフィアさんは私達と同じ年で間違いないんですか?」
「そこは間違いないよ。私飛び級かなりしてるのよね。ディもだけど。だからこれでも一応大卒よ?」
「じゃあ、落石先生が“学力テストは問題ない”って仰ってたのは・・・。」
「・・・大学まで出てるんなら、高校生の問題なんて楽勝だろうよ」
達也君の隣でため息をつきながら龍が答えた。
「今回は事件とは関係なしに来られたんですか?」
「事件とは全く関係ないわね。大体言われたの“新人発掘してきて”だったし。巻き込まれました状態よ。」
「それでは、約束です。僕が知っている全てのデータのコピーです。」
「ありがとう。」
USBを受け取ると私はお礼を言った。
「あ、このことは他言無用でお願いね。それと情報が入ったら教えるわ。」
「フィー、“次が起こる可能性”ってどう言う意味だ?」
『そのままよ?必ず次は起こる。犯行スパンは分からないけれど神父先生の言葉からして過去に結構な頻度で起きていたんじゃない?それか、ここ数カ月で偏ってるか。どちらにせよ早急に解決しなきゃいけないでしょう?』
すっと目を細め龍を見る。
声のトーンは若干落ちるものの、そこまで暗くはしない。
“次”というのは完全に私の勘だが、私の勘は外れない。外れて欲しい時でさえ外れない。だから、頑張って先回りして防ぐ事を第一に考える。
その考えが良いと言われるけれど、危ないと必ず言われる、何に対しても危険はつきものだ。
私の班員全員が、私に対して過保護だということは自覚している。
そりゃあ年齢的に見ても“妹”か“娘”だもんな~。
事件に対しての捜査も大事だが、それと同時進行でディのケアもしなくてはダメだ。
転校してきて二日だが、この独占欲が全面に出てきたという事は、疲れが溜まっているという事。そして、精神的に情緒不安定になり始めているという事だ。
通常時はある程度セーブができているが、精神的に不安定になると色々身の危険を感じる。
『俺たちの方も何かわかれば連絡する。』
『それは助かる。それじゃあ私達は調べ物をするわ。幸い今日は授業ほとんどないから。』
手帳をポケットにしまうとそのままディと生徒会室を後にした。
『だって、言ってないもの。それにこれは私が決めたことよ。』
有無言わさぬ表情で龍を見据える。
『フィー、ちょっと落ち着け。やっぱりお前は交渉には向かない。』
『・・・むぅ。分かってるわよ。だけど、早々に行動を起こさないと次が起こる可能性があるんだもの。』
それまで静観していたディが傍までやってきて肩を抱き寄せる。
「こっちはカード見せたんだから、そっちも持ってる情報貰えるよな?」
「・・・悪い。これなんの身分証??」
ピリピリとした空気を破ったのは、手帳に書かれている文字に首をかしげていた梓だった。
「ソフィアちゃんの身分証なのはわかるんだけど、これ何?」
「“Federal Bureau of Investigation”通称FBI。これ、特別捜査官の手帳ですよね?ソフィアさんは私達と同じ年で間違いないんですか?」
「そこは間違いないよ。私飛び級かなりしてるのよね。ディもだけど。だからこれでも一応大卒よ?」
「じゃあ、落石先生が“学力テストは問題ない”って仰ってたのは・・・。」
「・・・大学まで出てるんなら、高校生の問題なんて楽勝だろうよ」
達也君の隣でため息をつきながら龍が答えた。
「今回は事件とは関係なしに来られたんですか?」
「事件とは全く関係ないわね。大体言われたの“新人発掘してきて”だったし。巻き込まれました状態よ。」
「それでは、約束です。僕が知っている全てのデータのコピーです。」
「ありがとう。」
USBを受け取ると私はお礼を言った。
「あ、このことは他言無用でお願いね。それと情報が入ったら教えるわ。」
「フィー、“次が起こる可能性”ってどう言う意味だ?」
『そのままよ?必ず次は起こる。犯行スパンは分からないけれど神父先生の言葉からして過去に結構な頻度で起きていたんじゃない?それか、ここ数カ月で偏ってるか。どちらにせよ早急に解決しなきゃいけないでしょう?』
すっと目を細め龍を見る。
声のトーンは若干落ちるものの、そこまで暗くはしない。
“次”というのは完全に私の勘だが、私の勘は外れない。外れて欲しい時でさえ外れない。だから、頑張って先回りして防ぐ事を第一に考える。
その考えが良いと言われるけれど、危ないと必ず言われる、何に対しても危険はつきものだ。
私の班員全員が、私に対して過保護だということは自覚している。
そりゃあ年齢的に見ても“妹”か“娘”だもんな~。
事件に対しての捜査も大事だが、それと同時進行でディのケアもしなくてはダメだ。
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通常時はある程度セーブができているが、精神的に不安定になると色々身の危険を感じる。
『俺たちの方も何かわかれば連絡する。』
『それは助かる。それじゃあ私達は調べ物をするわ。幸い今日は授業ほとんどないから。』
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