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第1章 学園編入編。
番外編 皇帝のつぶやき
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俺がその噂を聞いたのは、交換留学生がやって来る前日の夕方だった。
その日も朝からbrillioの仕事が忙しく、出席日数と単位が足りている授業は全て欠席した。
そもそも必要な単位は一学期に全て習得しているので、後は出席日数的な問題なのだが、生徒会長である俺はある程度免除があるから助かる。
情報の発信源は、我が生徒会の参謀である日向達央だ。
「今回の交換留学生は男女一人ずつですよ。二人とも聖パウロの学校では首席と次席みたいです。」
「名前は?」
「女子生徒がソフィア・ジュディ・スチュアートさん。男子生徒がダニエル・ディ・ウィリアムくんです。」
ソフィアの名前に反応を示し、顔をあげる。
早々に同姓同名などいないだろうと、思いながらも俺の頭の中には一人の少女の姿を思い出す。
最後に会ったのは俺が10歳の時だ。
おふくろの転勤でアメリカから日本へ帰国する空港で会って以来だ。
思い出すだけで口元が少し緩む。
「珍しいですね?皇帝が交換留学生に興味に示すなんて。」
「ちょっとな。それより、寮で会えばいいんじゃないか?前日なんだからもう来ているんじゃないか?」
「いえ、彼女達は外にマンションを借りているみたいですね。到着は二人の都合であすの早朝になるんだとか。なので明日朝一で教室に会いに行こうと思います。」
「わかった。」
達也に突っ込まれるものの、明日教室に会いに行くのだと告げられると、残りの仕事も一気に終わらせた。
翌日、HRが終わる頃を見計らって交換留学生が転入したクラスへと顔を出しに行った。
教室の入口でまず声を掛けたのは副会長である梓。
隣に達也。俺はというと二人から少し離れた所に立っていた。
梓の声に全員が入口の方を見る。
遠目からでも、黒に近いブロンドを持つ女子生徒を見つけた。
その子が振り返った時には、名前を呼んでいた。
『フィー!』
俺が名前を呼べばフィーは嬉しそうに笑い席から立ち上がった。
フィーの笑顔につられ俺も口元が緩む。
そのままフィーに抱きつかれ、さらに抱き寄せると、両頬にキスをする。
フィーもぎゅっと抱きしめ返してくれた。
そして、フィーとの再会を邪魔をした奴が居た。
もう一人の交換留学生、ダニエル・ディ・ウィリアム。
『てめぇは誰だ?』
殺気と共にフィーに気安く触るなと言わんばかりの空気を醸し出している。
正直気に入らない。
フィーの隣はずっと俺の場所だった。
それは今も昔も変わらないはずなのに、今フィーの隣にいるのはあいつで、フィーもかなり気を許している。
傍から見れば恋人同士に見える。
それくらい仲がいい。
だが、幼馴染なのは俺でフィーの態度からしてまだあいつの気持ちに気づいていない。
ならば、当然俺にもチャンスはあるはずだ。
まずは離れていた8年分の微妙な距離を埋めようとしよう。
半年は時間がある。
欲しいと願ったものは全力で奪いに行くのが俺なんだ。
覚悟しておいてくれよ?愛しいお姫様?
その日も朝からbrillioの仕事が忙しく、出席日数と単位が足りている授業は全て欠席した。
そもそも必要な単位は一学期に全て習得しているので、後は出席日数的な問題なのだが、生徒会長である俺はある程度免除があるから助かる。
情報の発信源は、我が生徒会の参謀である日向達央だ。
「今回の交換留学生は男女一人ずつですよ。二人とも聖パウロの学校では首席と次席みたいです。」
「名前は?」
「女子生徒がソフィア・ジュディ・スチュアートさん。男子生徒がダニエル・ディ・ウィリアムくんです。」
ソフィアの名前に反応を示し、顔をあげる。
早々に同姓同名などいないだろうと、思いながらも俺の頭の中には一人の少女の姿を思い出す。
最後に会ったのは俺が10歳の時だ。
おふくろの転勤でアメリカから日本へ帰国する空港で会って以来だ。
思い出すだけで口元が少し緩む。
「珍しいですね?皇帝が交換留学生に興味に示すなんて。」
「ちょっとな。それより、寮で会えばいいんじゃないか?前日なんだからもう来ているんじゃないか?」
「いえ、彼女達は外にマンションを借りているみたいですね。到着は二人の都合であすの早朝になるんだとか。なので明日朝一で教室に会いに行こうと思います。」
「わかった。」
達也に突っ込まれるものの、明日教室に会いに行くのだと告げられると、残りの仕事も一気に終わらせた。
翌日、HRが終わる頃を見計らって交換留学生が転入したクラスへと顔を出しに行った。
教室の入口でまず声を掛けたのは副会長である梓。
隣に達也。俺はというと二人から少し離れた所に立っていた。
梓の声に全員が入口の方を見る。
遠目からでも、黒に近いブロンドを持つ女子生徒を見つけた。
その子が振り返った時には、名前を呼んでいた。
『フィー!』
俺が名前を呼べばフィーは嬉しそうに笑い席から立ち上がった。
フィーの笑顔につられ俺も口元が緩む。
そのままフィーに抱きつかれ、さらに抱き寄せると、両頬にキスをする。
フィーもぎゅっと抱きしめ返してくれた。
そして、フィーとの再会を邪魔をした奴が居た。
もう一人の交換留学生、ダニエル・ディ・ウィリアム。
『てめぇは誰だ?』
殺気と共にフィーに気安く触るなと言わんばかりの空気を醸し出している。
正直気に入らない。
フィーの隣はずっと俺の場所だった。
それは今も昔も変わらないはずなのに、今フィーの隣にいるのはあいつで、フィーもかなり気を許している。
傍から見れば恋人同士に見える。
それくらい仲がいい。
だが、幼馴染なのは俺でフィーの態度からしてまだあいつの気持ちに気づいていない。
ならば、当然俺にもチャンスはあるはずだ。
まずは離れていた8年分の微妙な距離を埋めようとしよう。
半年は時間がある。
欲しいと願ったものは全力で奪いに行くのが俺なんだ。
覚悟しておいてくれよ?愛しいお姫様?
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