infinite love

谷山佳与

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第1章 学園編入編。

校内案内。

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そのあと普通に授業を受けることができ、気がつけば放課後。
カバンにペンケースとルーズリーフだけしまうと、タイミング良く龍がやってきた。

「学校案内。」
「あ、そうだったね。それで?龍だけなの?」
「ほかは、まだ仕事が残ってるからな。」
「そうなんだ。それじゃ、二人とも行こうか。」
「ん?あぁ。」

カバンを背にからうと、ディの腕を引っ張る。

「・・・・・」
「・・・?何??」
「それは、二人の通常運行なのか?」
「通常?手をつなぐのが?え?何?龍も繋ぎたいの?」
「相変わらずだな・・。」

はぁと軽くため息をつかれ、ディとは反対の手を握られる。
うん。
なんだか目立つ?
しかし二人とも離す気はなさそうなのでそのままにすることにした。

龍からは簡単に学院を案内され、多くの生徒が待ち合わせに使用するというカフェテリアにやってきた。
各々軽食と飲み物を頼むと、龍が地図を広げると今案内された場所を説明してくれた。

「今いるのがここ。中央カフェテリア。別名“アンジェ”で、高等部の校舎がここ。このカフェテリアを中心に幼稚舎から時計回りにそれぞれの学部の主な校舎が建っているんだ。
その校舎の間に体育館や運動場、実習棟や研究棟があって、第一図書館の隣に立っているマンションが男女の学生寮。右が女子寮で左が男子寮。とりあえずそれぞれのエントランスまでは男女関係なしに入ることはできるが、部屋へは立入禁止だ。ちなみに図書館は小さいものも入れれば第五図書館まであるが、一番種類蔵書があるのは第一だな。設立当初からの学園新聞とか保管してある。」
「さすがマンモス校。大きいね~門から出れば居住区で病院とかあるんだ。寮には高等部から強制?」
「ん?あぁそうだな。居住区に住んでるのは幼稚舎~中等部の家族と生徒で、基本学園バスが出ている。」
「そうなんだね。ちょっと聞きたいんだけど、第一図書館の蔵書とか過去の新聞とかはデータ化されてるの??」
「どこまでされているかは知らないが、基本PCでデータ入力されているはずだ。詳しくは司書に聞いてくれ」
「分かった。」

地図をじっと見ながら、各建物を頭の中に記憶する。
周りからは超がつくほど方向音痴だと言われているが、とりあえず主だった建物の位置を把握しておけば迷子になったとしても大丈夫だろう。
というより、このカフェテリアを待ち合わせ場所にしたらいいのかもしれない。
龍の説明を一通り聞いたあと、ディが食べ終わるのをまつ。

「しかし、良く食べるな。」
「ディはすごく甘いの大好きだからね~。それで太らないから女の敵よ。」
「ごちそうさまでした。」

満足そうに最後のケーキを平らげたディは、食器を返却にお店の方まで歩いて行った。
その後ろ姿を観察していると、大学部と思えるお姉様方が何人も振り返っていた。

「留学生がそんなに珍しいの?」
「留学生がっていうより、あの容姿だからじゃないか?フィーもそうだが、十分モテる部類に入ると思うがな、俺は。」
「ん~、そうかな??」
「自覚がないならいい。それより、フィー達は寮に入る手続きしてないだろう?外に部屋借りたのか?」
「あ、うん。だから、一度校舎に戻らなきゃ。事務所に鍵を預けておきますって言われたから。」
「そうか、じゃあそこまで送る。」
「ありがとう。」

ディが戻ってきたタイミングで席を立つと、事務所へと向かって歩きだした。
高等部には事務所が二箇所あり、総合事務所と簡易の郵便とかの仕分けを行うだけの事務所がある。
今回は総合事務所の方らしいので、三人は再度校舎の中へ入った。
校内を案内してもらっているとき同様、手を繋いで廊下を歩く。
大体すれ違う人達は私たち三人を見ると驚く。
ご機嫌に校内案内をする皇帝と、不機嫌ながらも説明を聞くディと、二人にはさまれ手を繋いだ女子生徒。
はじめは違和感があったが、ある程度時間が経ってしまうと人間なれるもんだな~と思ってしまう。
何にって、好奇の目に。
手を繋ぐ事に対して私は抵抗が無い、というよりアメリカでも良く手を繋いでいたのでこれが私の通常なのだ。
つなぐ相手は決まっていたけれど。
そして何人目かわからない生徒とすれ違った直後それは人気の少ない廊下に響き渡った。

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