君が届かなくなる前に。

谷山佳与

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第3章 勇気を持って一歩踏み出せば

凛々しくありたいとどこかで願ってる3。

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卒業式の後ある噂が流れた。
王太子殿下とエレノアール侯爵令嬢は、女神フレイアに祝福されているのではないか、と。
原因は、ダンスの最中に花びらが舞ったことだ。
あれは、幻影魔法ではなかったらしい。
緘口令がしかれてない平民の卒業生から、話が流れ現在王都ではその話題で持ち切りだ。
そこに、紐づいてエレノアール侯爵令嬢は魔力は無いが何らかの影響で、持っていないが女神フレイアの祝福を持っているのではないかという、遠からず正解の様な噂が流れている。

「噂って広まるの早のね。」

と、しみじみ思いながら王都内にある屋敷にかえるため、馬車に揺られながら寮を出る直前に聞かされた噂に対して正直な感想を漏らす。
まぁ、変な噂では無いので放置しててもいいと思う。
何より明日には全容がわかるのだから。

「レティーシア様の噂でしょうが、あまり気にする必要はございませんよ。」

と、向かい側に座っていたマリーが答える。
確かに害のあるものではないけれども、噂になるのはやはり、あまり気持ちのいいものでは無い。

「まぁそうなのだけれどねぇ。」

できれば平穏無事にすごしたいのだが、候爵家ましてや王族に嫁ぐに辺りある程度注目されるのは仕方がないだろうと考え直せば、明日の準備で忙しくなるであろう午後に備えて仮眠を取ることを決めた。

しばらくして馬車が停った感覚に目を覚ますと、兄様達が二人で出迎えてくれた。

「おかえりレティ」
「ただいま帰りました。レオ兄様、アル兄様。お二人でお出迎えって珍しいですわね。今執務中なのでは?」
「いや、そうなのだが、ラズがなぁ」
「どうかなさいましたの?」
「珍しくテンション上がりすぎて、魔力酔いを起こして仕事にならないから、執務は強制終了。最近忙しいのもあったし、早急に必要な書類は終わってるから、解散してきた。」
「そうでしたの。」
「アル兄様も?」
「いや。俺はレティの幻影魔法を解けば、今日の仕事は終わり。それよりも中に入ろう。父さんたち帰りを待ってたし」
「そうですわね」

二人にエスコートをされながら屋敷に入れば、久々に会う使用人達に出迎えられた。
一度両親に挨拶に言ったあと、幻影魔法を解除しアフタヌーンティーを取ることにした。
お母様も遅れてやってきて、明日の最終的なドレスのフィッティングや、ラズ様とライからお誕生日に貰ったアクセサリーや小物を合わせながら調整を行なった。
幻影魔法を解いた後、使用人達は驚いてはいたが、それでも”よかった”と安堵したような表情を浮べ、我が事のように喜んでくれた。
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