君が届かなくなる前に。

谷山佳与

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第1章 王太子殿下の婚約者候補

お茶会。

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創立記念パーティの翌日、私は王城来ていた。
王太子妃候補の三人で集まってのお茶会と言う名の情報交換で、ちゃんと建国祭用のドレスのフィッティングなどもあった。
特に私はほぼ学院から外に出ることはなく、王妃様からの呼び出しで外に出るくらいだ。
まぁ、お忍びで街へ出かけることはあるけれども、必ずライが一緒に付いてくる。
ライが一緒ということは、見えない所で護衛の方が何人かいらっしゃるということだ。
それは、もう慣れたものだが、姿が見えないので息抜きと称して仕事を終わらせた週末などによく行っている。

「レティは卒業するのに必要な単位を取得したって本当?」

そう聞いてきたのは、濃いブルーの髪にアクアマリンの様な綺麗な瞳を持ちメリハリボディのお姫様、ヴィクトリア・フォン・エスティル侯爵令嬢である。

「えぇ。建国祭の後どうなるかわかりませんし、お兄様達が単位を取得したのなら好き動けるし、たまには王都の屋敷に戻ってくるようおっしゃってますし、どうしようかと考えているところですわ。」
「お二人とも王城の方が会えますでしょうに。」

そう不思議そうに聞いてきたのは、銀の髪のストレートの髪にグレーの瞳でを持つのはリリーシア・フォン・アトラス侯爵令嬢。私の5才年上だ。
六侯爵家はなかなか女の子が生まれない。
生まれる確立が非常に少なく、生まれてきた女の子は順番で王族へと嫁ぐようになっている。
近い年齢で令嬢が三人も生まれたのは非常に珍しいと言われているし、六侯爵家の中で娘というのは非常に溺愛の対象となる。
そのただでさえ溺愛の対象となるのに、私はその中でも最年少で、非常に溺愛されていると自分自身でも自覚はしているのだ。

「お兄様達に会いに行くとお父様がうるさくて。」
「・・そうですわね。私たちは一緒の屋敷に住んでいるからまだいいですけれど、レティは寮生活でしたわね。」
「なので、卒業してもいいかと考えたのですけれど、私とライが持っている仕事を誰に引き継ぐかといことになりまして、後任が決まり引継ぎが終わるまでは難しい状況ですわ。」

困ったような表情を作り、紅茶へ口を付ける。
それでも、今日はお父様や、お兄様たちに会いには行くつもりだ。
そこで、少しでもラズ様にお会いできれば嬉しいと思う。
正式にラズ様の候補が決まるまでは、近くにいたいと思ってしまうのは、初恋だからだと思う。
きっとラズ様の正妃様はリリーお姉さまだろうと思っているので私はライ…、になりますわね。ルイ様という可能性もありますが、ルイ様は王弟殿下でありますし、やはり同じ年のライのような気がします。そんな対象には思えませんけれども。

「レティ、今日ラズはレオと一緒に執務室に篭っているのですって、後で一緒に行かない?」
「えぇ、もちろん。リリーお姉さまは?どうされますか?」
「私はルイ様に精霊の事でお尋ねしたいことがありますので、ルイ様の執務室へ行きますわ。」
「じゃあ、決まりね。途中まで一緒に行きましょう?」
「もちろんですわ。」

紅茶とお菓子を食べ終えたところでそれぞれの目的地へ向かうことにした。
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