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第4章 愛は光に眠る宝石のよう
笑顔の魔法4。
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学院のある西地区より、中央地区へ移動してきた私達は、丁度お昼時ともあり先に軽食を食べることにした。
行きつけだったカフェのお店の前には長蛇の列が出来ていたので、お持ち帰りでサンドウィッチと紅茶ケーキを購入し近くの公園で食べることにした。
「この後は本店に行って、城でいいか?」
「えぇ。シニオン商会の本店でしたらなんでも揃うでしょうし、大丈夫かと。ライは?」
「俺も本店で見つかりそうだから大丈夫だ。」
「でしたら、決まりですね。」
サンドウィッチを食べ終え、紅茶を飲んでいるところで、視界の橋にハニーブロンドの髪の女性が映った。
お兄様と同じ色だわ。
と、感想を抱きながらそちらを向けると、前方より如何にもゴロツキの様な男性二人と方がぶつかり持っていたカップを落としてしまった。
紅茶のカップをベンチに置くと、構わずそちらへ向かっていた。
「も、申し訳・・・・。」
「誤って済むとでも?」
女性の腕を掴もうとした、ゴロツキの腕から庇うよう女性の肩を軽く叩く。
「お待たせしましたわ。」
「なんだ?お嬢ちゃん。」
「私、お姉さまと待ち合わせをしておりましたの。貴方がたこそ、お姉さまに何のご用ですの?」
にっこり微笑み、少しずつ距離を離す。
「俺たちはそちらの”お姉さま”の方に、紅茶をぶちかけられたんだが?」
「かけられた?ぶつかって、たまたまかかってしまったのでしょう?私見てましたわよ?それにお姉さまは謝られてました。謝罪を受け入れる以外に何がご要望ですの?」
「っち」と舌打ちしたゴロツキは、懐に収めていたのだろう、小型のナイフをチラつかせる。
「俺たちとしては上玉のお嬢ちゃんでもいいんだが?」
「お断りしますわ。」
気配でライがすぐ傍まで来ていることを感じると、女性を後ろへ軽く突き飛ばすと同時に、振りかざされた相手のナイフを寄け腕を取ると、そのまま相手の勢いを利用し投げ飛ばす。
背中から地面へ落ちた相手は息を詰まらせ、ナイフが手から離れたので、ナイフを後方へ蹴る。もう一人居た男を見れば拳を振り上げこちらへ間合いを詰める。
そちらも、腕を取ろうとしたところで後方へ抱き寄せられ、片手で拳を受け止められた。
「・・・レティ、俺が居るのに何やってんだ?」
「穏便に済ませようとしました。」
「どこが。」
受け止めていた拳に多少力を込めると、パキッと乾いた音がした。
「ぎゃぁああああ!」
「折りましたの?!」
「折れたの!大体、レティが突っ込まなければ良かっただけだろう?!」
「だから初めは穏便に済まそうとしたんじゃありませんの!」
折るつもりはなかったのか、予想外に折れてしまった事に少し驚いた表情をした。
痛みから地面に蹲る男を余所に口論を続ける。
その後騒ぎを聞きつけた公園の警備がやってきて、男二人を渡すと事情を聞かれそうになったが、そこは護衛として付いてきて居た騎士団の人が代わりに行ってくれた。
絡まれた女性は大丈夫かと、後ろを振り向けば女性の姿はなかった。
その後、昼食のゴミをきちんとゴミ箱に片付けると、しっかりとライに腕を握られ、不機嫌な表情のままシニオン商会の本店へと直行した。
お店に付いてからも、離れること無く、ピッタリとくっついて居た。
「すみません。ピアスの取り置きをお願いをしていたのですが。」
と、店員さんに伝えればすぐに分かったようですぐに準備をしてくれた。
現在もライは少し不機嫌ながらも、買い物には付き合ってくれていて私があげたカフス付きのピアスはしてくれている。
ライのカフス部分は、ライラックの花模様が描かれている。
ラズ様は何がいいだろうか?と持ってきてもらた、カフスの柄をみる。
現在ある柄は、バラ、ライラック、すずらんの三種類。
石の色は好きなものを選べるらしい。
「どれがいいと思う?」
「・・・バラが妥当じゃないか?」
「おそ「デザインは同じでも柄被りは断る。」」
「では、このバラのカフスに、インカローズとアメジストを一つづつ、付けていただけますか?」
「かしこまりました。贈り物ですか?」
「あ、はい。お願い致します。他も見て来てもいいでしょうか?」
「はい。その間にご準備しておきますね。」
と、ラッピングを頼み、他も見てくるとライに断り、店内を回る。
相変わらず不機嫌そうではあるが、そこまで怒っていないだろう。
なにせ、お城に強制送還されていないから。
私的には、ラズ様に他の物も個人的にプレゼントしたいので、他の装飾品を探す。
カフスとタイピンは前回プレゼントした。
今回は婚約者として、何かプレゼントしたいなと思っているのだ。
ライの言うとおり、お揃いになるのがちょっと悔しいけれど、ふと目に入ったのは小さな天然石がついた対の小さなリングだった。
金の台座にちょこんと乗る天然石はアクアマリン。デザインもシンプルなのでそのリングを眺めていると店員の方から「お試しでお出ししているんです」と言われた。
話を聞くと銀細工職人が旅の商人より”左手の薬指は心臓につながる静脈があり「愛のパワーが流れている」と、お互いの愛を誓うために左手の薬指にリングをする国がある。”という話を聞いて試しに作ったらしい。
確か、東の王国にそのような風習のある国があったなということを思い出し、ちょうど良いと思い購入することに決めた。
リングのサイズは魔力で変更可能らしいので、その点はラズ様に頼もうと決めた。
行きつけだったカフェのお店の前には長蛇の列が出来ていたので、お持ち帰りでサンドウィッチと紅茶ケーキを購入し近くの公園で食べることにした。
「この後は本店に行って、城でいいか?」
「えぇ。シニオン商会の本店でしたらなんでも揃うでしょうし、大丈夫かと。ライは?」
「俺も本店で見つかりそうだから大丈夫だ。」
「でしたら、決まりですね。」
サンドウィッチを食べ終え、紅茶を飲んでいるところで、視界の橋にハニーブロンドの髪の女性が映った。
お兄様と同じ色だわ。
と、感想を抱きながらそちらを向けると、前方より如何にもゴロツキの様な男性二人と方がぶつかり持っていたカップを落としてしまった。
紅茶のカップをベンチに置くと、構わずそちらへ向かっていた。
「も、申し訳・・・・。」
「誤って済むとでも?」
女性の腕を掴もうとした、ゴロツキの腕から庇うよう女性の肩を軽く叩く。
「お待たせしましたわ。」
「なんだ?お嬢ちゃん。」
「私、お姉さまと待ち合わせをしておりましたの。貴方がたこそ、お姉さまに何のご用ですの?」
にっこり微笑み、少しずつ距離を離す。
「俺たちはそちらの”お姉さま”の方に、紅茶をぶちかけられたんだが?」
「かけられた?ぶつかって、たまたまかかってしまったのでしょう?私見てましたわよ?それにお姉さまは謝られてました。謝罪を受け入れる以外に何がご要望ですの?」
「っち」と舌打ちしたゴロツキは、懐に収めていたのだろう、小型のナイフをチラつかせる。
「俺たちとしては上玉のお嬢ちゃんでもいいんだが?」
「お断りしますわ。」
気配でライがすぐ傍まで来ていることを感じると、女性を後ろへ軽く突き飛ばすと同時に、振りかざされた相手のナイフを寄け腕を取ると、そのまま相手の勢いを利用し投げ飛ばす。
背中から地面へ落ちた相手は息を詰まらせ、ナイフが手から離れたので、ナイフを後方へ蹴る。もう一人居た男を見れば拳を振り上げこちらへ間合いを詰める。
そちらも、腕を取ろうとしたところで後方へ抱き寄せられ、片手で拳を受け止められた。
「・・・レティ、俺が居るのに何やってんだ?」
「穏便に済ませようとしました。」
「どこが。」
受け止めていた拳に多少力を込めると、パキッと乾いた音がした。
「ぎゃぁああああ!」
「折りましたの?!」
「折れたの!大体、レティが突っ込まなければ良かっただけだろう?!」
「だから初めは穏便に済まそうとしたんじゃありませんの!」
折るつもりはなかったのか、予想外に折れてしまった事に少し驚いた表情をした。
痛みから地面に蹲る男を余所に口論を続ける。
その後騒ぎを聞きつけた公園の警備がやってきて、男二人を渡すと事情を聞かれそうになったが、そこは護衛として付いてきて居た騎士団の人が代わりに行ってくれた。
絡まれた女性は大丈夫かと、後ろを振り向けば女性の姿はなかった。
その後、昼食のゴミをきちんとゴミ箱に片付けると、しっかりとライに腕を握られ、不機嫌な表情のままシニオン商会の本店へと直行した。
お店に付いてからも、離れること無く、ピッタリとくっついて居た。
「すみません。ピアスの取り置きをお願いをしていたのですが。」
と、店員さんに伝えればすぐに分かったようですぐに準備をしてくれた。
現在もライは少し不機嫌ながらも、買い物には付き合ってくれていて私があげたカフス付きのピアスはしてくれている。
ライのカフス部分は、ライラックの花模様が描かれている。
ラズ様は何がいいだろうか?と持ってきてもらた、カフスの柄をみる。
現在ある柄は、バラ、ライラック、すずらんの三種類。
石の色は好きなものを選べるらしい。
「どれがいいと思う?」
「・・・バラが妥当じゃないか?」
「おそ「デザインは同じでも柄被りは断る。」」
「では、このバラのカフスに、インカローズとアメジストを一つづつ、付けていただけますか?」
「かしこまりました。贈り物ですか?」
「あ、はい。お願い致します。他も見て来てもいいでしょうか?」
「はい。その間にご準備しておきますね。」
と、ラッピングを頼み、他も見てくるとライに断り、店内を回る。
相変わらず不機嫌そうではあるが、そこまで怒っていないだろう。
なにせ、お城に強制送還されていないから。
私的には、ラズ様に他の物も個人的にプレゼントしたいので、他の装飾品を探す。
カフスとタイピンは前回プレゼントした。
今回は婚約者として、何かプレゼントしたいなと思っているのだ。
ライの言うとおり、お揃いになるのがちょっと悔しいけれど、ふと目に入ったのは小さな天然石がついた対の小さなリングだった。
金の台座にちょこんと乗る天然石はアクアマリン。デザインもシンプルなのでそのリングを眺めていると店員の方から「お試しでお出ししているんです」と言われた。
話を聞くと銀細工職人が旅の商人より”左手の薬指は心臓につながる静脈があり「愛のパワーが流れている」と、お互いの愛を誓うために左手の薬指にリングをする国がある。”という話を聞いて試しに作ったらしい。
確か、東の王国にそのような風習のある国があったなということを思い出し、ちょうど良いと思い購入することに決めた。
リングのサイズは魔力で変更可能らしいので、その点はラズ様に頼もうと決めた。
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主人公は隣国のお姫様ですがライラックのお話です。ご興味のあるかたはよろしくお願いいたします君がずっと好きでした。
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