47 / 84
第2章 目覚めと、自覚と、狙う者編
藤の一族。
しおりを挟む
安倍邸に戻ってきた私達3人は、遅い時刻にも関わらず晴明様の部屋へと招かれた。
帰宅早々式が飛んできたのもあるが、時親様が帰宅途中晴明様にお伺いを立てていたらしい。
たまたま、書物を読んでいる途中だったらしく、すぐさま案内された状況になった。
「して、何があった?」
台所からお茶を人数分入れてきた私は、お茶を配ると時親様と章平様の後ろに座った。
「都に住む雑鬼達が、仲間が何人かやられたと、いい、半ば強引にとある寂れた屋敷に行ったのですが、ざっと見た感じ何もなく、気配も普通の廃屋だったのですが、姫さんがとある術を使われまして。その、藤の一族が関わっている可能性があります。」
章平さまが先程の状況を説明をする。
これは晴明様にも一度確認をしていただいた方がよさそうだなと、感じた私は手のひらに収まるサイズの水色の石を取り出した。
「実際に見てもらったほうが良いかと思います。」
皆の前に石を置くと素早く印を結ぶ。
ふっと息を吹きかける様にすれば、淡い光を放った石は天井に先ほどの屋敷で見た、記憶を再生する。
この術自体は私のオリジナルで、実家の書庫にある歴代当主様達の術とかを参考に、朱桜と琥珀に手伝ってもらって作り出したものなので、私以外の人間が使えるかどうかは分からないけれども、分家のはっきりと視える術者は使えたのよね。再生は、一族の人間なら誰でも出来るけど。
ぼんやりと、再び流れ出した映像を見上げながら、先ほど気になった少年を追いながら感じた違和感を探す。
どこで会ったことのある様な既視感は、夢で見たのか現実で見たのか。
膨大な記憶の山から糸口となる記憶を探る。
「・・・これは、確かに藤一族の姫君じゃな。藤一族の姫が嫁いでおるとなると、皇族か?上位貴族の家か。それが寂れているとなると勢力争いで、滅んだ家か。妃捺様、こちらは私でも使用できますかな?」
「えと、この絵を流すことをでしょうか?それとも術自体でしょうか?」
「ひとまずは、この絵を流す方ですな。」
「問題はないかと存じます。私の霊力で反応するようになっておりますので、私の霊力の一番初めは晴明様ですから、触れれば再生出来ますわ。」
「では、術を使うとなるのは?」
「そうですね。この術は私独自の術となりますが、霊力があれば使用できるかと。視ることが出来ても使用できない者もいましたが、基本的には大丈夫ではないでしょうか?」
実際にこの術を教えたのは、兄二人と妹。あと分家の兄さま方だ。
兄様方は使用できた。七海は、記憶させることができなかった。
分家の兄様達は、長時間の記録はダメだった。
どこが境界線か分からないけれども、晴明様と章平様は余裕だろうと思ったし、時親さまもその場で視る分はできる可能性が高い。霊力はあるのだし。
「術に関しましては、今度お時間あるときにでも説明はさせていただきます。それで藤の一族というのは、藤原の一族でしょうか?」
先程から出ている『藤の一族』という条件から、この時代の勢力図を展開すれば、ほぼ藤原一族の占領だった気がする。
私の疑問はそこで、まぁ分家の可能性もあるけれども、九割その一族で間違いないのかな?
三人の反応を見てもそうだろうな。と私は思った。
帰宅早々式が飛んできたのもあるが、時親様が帰宅途中晴明様にお伺いを立てていたらしい。
たまたま、書物を読んでいる途中だったらしく、すぐさま案内された状況になった。
「して、何があった?」
台所からお茶を人数分入れてきた私は、お茶を配ると時親様と章平様の後ろに座った。
「都に住む雑鬼達が、仲間が何人かやられたと、いい、半ば強引にとある寂れた屋敷に行ったのですが、ざっと見た感じ何もなく、気配も普通の廃屋だったのですが、姫さんがとある術を使われまして。その、藤の一族が関わっている可能性があります。」
章平さまが先程の状況を説明をする。
これは晴明様にも一度確認をしていただいた方がよさそうだなと、感じた私は手のひらに収まるサイズの水色の石を取り出した。
「実際に見てもらったほうが良いかと思います。」
皆の前に石を置くと素早く印を結ぶ。
ふっと息を吹きかける様にすれば、淡い光を放った石は天井に先ほどの屋敷で見た、記憶を再生する。
この術自体は私のオリジナルで、実家の書庫にある歴代当主様達の術とかを参考に、朱桜と琥珀に手伝ってもらって作り出したものなので、私以外の人間が使えるかどうかは分からないけれども、分家のはっきりと視える術者は使えたのよね。再生は、一族の人間なら誰でも出来るけど。
ぼんやりと、再び流れ出した映像を見上げながら、先ほど気になった少年を追いながら感じた違和感を探す。
どこで会ったことのある様な既視感は、夢で見たのか現実で見たのか。
膨大な記憶の山から糸口となる記憶を探る。
「・・・これは、確かに藤一族の姫君じゃな。藤一族の姫が嫁いでおるとなると、皇族か?上位貴族の家か。それが寂れているとなると勢力争いで、滅んだ家か。妃捺様、こちらは私でも使用できますかな?」
「えと、この絵を流すことをでしょうか?それとも術自体でしょうか?」
「ひとまずは、この絵を流す方ですな。」
「問題はないかと存じます。私の霊力で反応するようになっておりますので、私の霊力の一番初めは晴明様ですから、触れれば再生出来ますわ。」
「では、術を使うとなるのは?」
「そうですね。この術は私独自の術となりますが、霊力があれば使用できるかと。視ることが出来ても使用できない者もいましたが、基本的には大丈夫ではないでしょうか?」
実際にこの術を教えたのは、兄二人と妹。あと分家の兄さま方だ。
兄様方は使用できた。七海は、記憶させることができなかった。
分家の兄様達は、長時間の記録はダメだった。
どこが境界線か分からないけれども、晴明様と章平様は余裕だろうと思ったし、時親さまもその場で視る分はできる可能性が高い。霊力はあるのだし。
「術に関しましては、今度お時間あるときにでも説明はさせていただきます。それで藤の一族というのは、藤原の一族でしょうか?」
先程から出ている『藤の一族』という条件から、この時代の勢力図を展開すれば、ほぼ藤原一族の占領だった気がする。
私の疑問はそこで、まぁ分家の可能性もあるけれども、九割その一族で間違いないのかな?
三人の反応を見てもそうだろうな。と私は思った。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる