寵童の初恋~後宮で恋をする~【完結】

きよにゃ

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仲直り★

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「あぁ、さっぱりした!」

 湯やサウナに入り、俺たちはすっかり綺麗になった。

「疲れたから仮眠したい」とケイルが言うので、旅行者が使う宿屋の寝台に寝転がる。
「そういえば、ケイルと知り合った頃にも一緒に風呂に入ったな」

 隣の寝台に同意を求めると、「懐かしいね」と微笑まれる。ふわりと漂ってくる石鹸の匂いに、色気を感じてしまった。風呂上がりの気怠い感じが艶っぽいのだ。

 ――さっき、路地で抱きしめられたときと同じだ。変な気持ちになる。ケイルが欲しいなんて、思ってしまう。

「ジャミル、すこしいいかな。今回の件で、僕も反省した。きみを縛りすぎると、逆効果なんだって分かったから。……きみに合った仕事、考えなくちゃね」
「……いいのか!? ありがとう」

 乗り出すと、殊勝な顔をしたケイルが頷く。

「ジャミルがのびのびと暮らすことが望みだったのに、嫉妬が先立って、王と同じような生活を強いていた。ごめんね、ヤキモチ妬きの男で」
「そんなことない。お前は俺の自慢だ!」

 恥ずかしいことを言ったと照れていると、やおらケイルが起き上がった。

「……今のはかなり効いた。仮眠するつもりだったけど、せっかくだからえっちなことしちゃおうかな」

 寝台の上に座り、キスの合間に服を脱がされる。

「こうするの、久しぶりだね」

 服をすこし捲っては首筋や胸の先端を吸うので、なかなか進まない。

「ん、はっ、はぁっ」

 平らな胸にあるささやかな膨らみを含まれただけで俺の息は簡単に上がってしまった。快感に顔を歪める俺を時々確認しながら、乳首を吸い上げたり、甘噛みしたりする。

「感じてくれてるんだね、ジャミル。ここ、もう硬くなってきた……」

 脚のあいだのものに手を伸ばされ、こすりあげられる。久しぶりなのもあって、恥ずかしいくらいに先端が濡れてしまっている。

「ん、ケイル……」

 先走りを陰茎全体に広げられ、いやらしい気持ちになってくる。硬いマメのある掌でこすり上げられる感触がよくて、腰が揺れてしまう。――射精しそうだ。
 裏筋を指の先で撫でられる。息が荒くなってゆく。もう出そうだ。そう思ったとき、根元を指で縛められた。

「なっ、なにするんだ。離せよ!」
「前だけもいいけど、後ろでイクと気持ちいいから。僕が挿れるまで待ってて。ね?」

 そう言った割には、「久しぶりだから」と後孔をほぐすのに時間を掛けられた。マメのある指が侵入してくる。

「も、いいから。早く挿れろよ。あ、ひっ。そこ、やぁぁ……」

 前立腺を撫でられて、変な声を出してしまった。ケイルの硬くなったマメが当たると、抑えられなくなる。

「ここ、そんなにいい?」

 トントン、と軽く腸壁を叩かれ、体じゅうの神経がそこに集まったかのように感じた。

「あ、あっ。んん―っ!」

 出る。そう思ったけど、ケイルが前を堰き止めているから、後ろだけの快感で腰を波立たせ、俺は一回目の絶頂を迎えてしまった。

「はぁっ、はっ……」

 息を整えていると、ゴクリと唾を飲む音がした。

「気持ちよさそう……。僕もジャミルの中に入りたい」
「ま、待て。今は……」

 感じすぎるからダメだ、と言おうとしたのに、奴は構わず前から押し入ってきた。

「ふぁっ、ああっ!」
「なんてかわいく乱れるの、ジャミル? ギリギリまで挿入しないでおこうと思ってたのに、我慢できなくなったじゃない」
「し、知らない、それより、前を外してくれ……!」

「そうだったね」と、あっさり解放されたが、今度は覆い被さりながら、腰を前後に揺さぶりだした。
 ヌチュッ、チュプッと、耳を覆いたくなるような水音が部屋に響く。
 はじめのうちは浅かった抽挿が、陰茎の先端ギリギリまで引き出すものに変わってゆく。ケイルのものを抜かれると同時に、俺の体温も奪われるのか、体に怖気が走る。

「あ、あっ、だめだっ。それ、やだぁ……っ」

 抜き差しされるたびに、ゾクゾクして背筋が粟立ってしまう。ケイルの背にしがみつき、俺は「感じすぎていやだ」という意味の言葉を切れ切れに訴えた。

「突くのはダメ? じゃあ、これは?」

 今度は円を描くようにグラインドされた。一瞬、目がチカチカしてしまった。太腿から腰にかけて、鳥肌が立つ。……気持ちいい。

「あぁ……、いやぁ……んんッ」

 いやじゃないのに、口から否定の言葉が出て行く。ブンブンと顔を振って、快楽を誤魔化した。

「枕が涎だらけだ。……いやじゃないね?」

 一瞬、ほんの一瞬だけケイルが腰の動きを止めた。ドクドクと脈打つ肉が存在感を示す。頭上で真面目な顔をするから、俺も快感に苛まれながら頷く。

「や、じゃない……。気持ちいいのに、いやって口から出るんだ」
「よかった。少し心配だった。ジャミル、好きだよ。愛してる……」

 ズン、と奥まで繋がりを深められると同時に、ケイルが唇を求めてきた。ゆっくり動きながら、俺たちは繋がり合う。

「ここも……好きだよね?」

 胸の尖りを痛いほどに摘ままれ、俺の顔はだらしなく緩んでしまった。

「んっ。す、好きだ……あ、ぁっ」
「さっきの、ぐりぐり回すのもう一度しようか。中が蕩けてて気持ちよかった」

 キスしたまま、腰をグラインドしてくる。体の中の感じるところをかき回され、筋肉が弛緩する。

「好き、好きだ……。もっと、ケイルっ」

 どちらのものともしれない体液が接合部を濡らしている。先走りはそんなに出るものじゃないから、俺の腸液だろう。

「中がキュッて締まった。よっぽどイイんだね。もっと良くしてあげる……」

 奥から、長い幹を引き抜かれ、勢いをつけて挿入される。腰に全神経が集中する。

「あっ、あぁっ!」
「喘ぐジャミルもかわいいね。好きだよ……」

 俺の中を掻き回しながら甘い言葉を吐く。相変わらずの性欲大魔神だ。俺が感じるところを、ふたたび集中的に攻められるうちに、ゾクリと背筋に冷たいものが走った。

「はあっ、ダメだ、なにか来る。待って、少し待ってくれ」
「ごめん、もう出したい。……イクよ」
「やだ、ぁあッ!」

 チカチカと目裏に星が瞬く。奥までケイルが入り込んだ勢いで、俺は達してしまった。

「ああ――っ!」

 長い間我慢していた吐精が果たされ、解放感に呆然となった。同時に中がキュウッと切なく締まり、それに促されるようにしてケイルのものが膨れあがり、爆発した。


 互いに出すものを出して、寝台でぼうっとしていると、ケイルが肩を抱いてくる。

「帰ったら、一緒に皆に謝ろうね。きみ付きのネリなんて、真っ青になっていたから」
「悪いことをしたな。そんな騒ぎになるなんて思わなかった。俺はあの屋敷で受け入れられてないと思ってた」
「乳母やも、最後にジャミル様を見送ったのは自分なのにって、えらくしょげていたよ」
「えっ?」

 あの鉄面皮が!? と、耳を疑った。

「乳母やは元々感情が顔に出にくいからね。僕も小さいとき、嫌われていると思って尋ねたことがある」
「そうだったのか……」
「きみの立場をいい加減にしていた僕にも、責任がある。屋敷に着いたら、使用人の皆に一生添い遂げるつもりだって、伝えておく」
「ありがとう。俺、ちゃんと仕事を持ちたい。立派に働いているお前に釣り合いたいんだ」
「ジャミル」

 チュッ、と音がして頬が濡れた。キスされたのだ。

「かわいいこと言うから、また勃っちゃったじゃない。まだ夜明けまで時間がたっぷりある。一晩中愛してあげるね」

 腰に、逞しく育ったものがゴリッとあたった。
 ――忘れてた。こいつの精力は底なしだったんだ。

「ま、待て。ちょっと休憩しないと無理だ。少し待ってくれ」
「じゃあ、キスしてるあいだだけ。今夜の『いや』とか『ダメ』は、全部『いい、もっと』って変換するからね?」

 濃厚な口づけに口を塞がれ、早くも酸欠になる。その後励みすぎたせいで汗まみれになった俺たちは、ふたたび公衆浴場の世話になるのだった。
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