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⑥
しおりを挟む暫く無言が続き、激しい呼吸音だけが響く。
これで終わりだ。
この一夜を殿下は決して忘れる事は出来ないだろう。目的は達成された。俺は力の抜けた足を叱咤し、力を失ったものを抜こうとした。
「えっ?ーーーっん!」
しかしそれを拒むように後頭部へ腕を回されたかと思うと、次の瞬間には殿下と口づけを交わしていた。
「な、ん」
いや、口づけなんて生やさしいものではない。無意識に抗議を上げようと開いた唇に、容赦なく殿下の舌が侵入してくる。
上顎をくすぐられ、歯列をなぞられた後、大胆に舌を絡め取られる。
「ん、っふ、うぅっ!」
先程まで優位を保っていたのが嘘のように、冷静だったはずの思考が溶かされた。
頭部を抑える手と反対の手で背中を下から上までなぞられ、ぞくぞくとした快感が背筋を駆け抜ける。大胆に開いた背中から掌が侵入し、無防備だった乳首を親指で押し込まれる。
「は、うっ、んっん!」
口づけに意識が向いていた為、予想外の場所からの刺激に腰が大袈裟なほど跳ねる。そこでようやく自分の中に収まっていたそれが再び力を取り戻している事に気が付いた。
「ーーーっは、う!」
不意にずるりと喉奥まで伸ばされていた舌が引き抜かれ、唇が解放される。ほっと息つく暇もないまま、俺の身体はベッドへと押し倒された。
その際一度抜けたものを直ぐ奥深くまで挿入され、堪える余裕もないまま声を上げる。
「ッ!ーーーっ、ふ」
自分では大きな声を上げたつもりだったが、実際に溢れたのは吐息にも似たか細い悲鳴だった。
先程まで俺が上に乗っていたのに、今では殿下に覆い被さられている状態だ。優位性などとっくに失われている。
いつのまに解けたのか、殿下の足を縛っていたはずの紐はベッドの脇に追いやられていた。
殿下の手により膝が大きく割られ、より深い場所まで犯される。
ずん、と腹の奥まで満たされて一瞬視界が弾けるが、再び絡められた舌に今度は呼吸が苦しくなる。
「っふ、うっうぅ!」
「はあっ、リオンッ」
視界がぼやけるほどの近距離に殿下の顔がある。口づけをしてるんだから当然だ。それでも殿下のギラギラと光を放つ翠玉だけははっきりと見て取れた。
「ふ、ふふっ」
ーーーとんだ獣を飼っている。
この国じゃ殿下はさぞかし生き難かっただろう。骨の髄まで食い尽くされそうな様子に俺はなんだか笑いが込み上げてきた。
「殿下、っく、ジェフリー殿下!」
「リオン!」
揺さぶられながら必死に腕を殿下の首に回すと、口内を蹂躙する舌に自らのそれを絡めていく。
ぐん、と内側からの圧迫が増したのを実感し、殊更奥深くを穿たれ息を詰める。
「んっ、ーーーッ」
「ッ!」
視界が白く弾ける。
互いに同じタイミングで絶頂を極めたらしい。意識が薄まるのを自覚しながら、最後の力を振り絞り俺は殿下の唇に己のそれを軽く重ねた。
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