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本編
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結局、お父様の元へ向かったのは午後だった。
「全員来たな」
そう言って俺たちを見渡した彼は、三通の手紙を出した。
「これは招待状?」
「ああ、王太子の誕生日パーティーへの招待状だ」
「あの王太子の…」
ついさっき誕生日パーティーを終えたと思ったらまた別のパーティーか、とため息が出そうになる。しかも相手はあの苦手な王太子だ。
なぜ俺のことを嫌っていながら招待状を送ってくるのか疑問だ。
「…王都にいるほとんどの貴族を招待しているらしい」
俺の心を知ってか知らずかお父様が事情を話す。
「まさかヘンリーまで招待されるとはね」
「いや、俺はもともとこのパーティーに出るつもりで来たんだ」
「もともと?」
「ああ、王太子とは知り合いでな…」
めずらしく歯切れの悪い彼を不思議に思いつつお父様の言葉の続きを待つ。
「それで、このパーティーは…」
「当然皆出席するように」
「はぁ…ですよね」
俺は半ば諦めの気持ちで頷いた。
「ああ、失礼は許されない。だから各々必要な準備をするように」
「「「はい」」」
そうして、その呼び出しは解散となった。
ーーー
「さて、どうしようか。僕とテイトで一緒に行く?」
部屋を出た後、カインがそう提案してくる。俺には一緒に行ってくれる人などいないので、カインが嫌がれば1人で参加するところだ。
「まあ…カインが良いなら…」
カインに迷惑をかけることが気にならないではないが、彼にとっても今更なのだろう。
「あー、カインは探せば一緒に行く人は見つかるのか?」
するとヘンリーが口を挟んだ。
「そうですね。一応探せば見つかると思います」
「それならテイトは俺と行かないか?」
「え、でも…俺と一緒だとヘンリーも変に注目を浴びるぞ」
「別に構わないさ。1人で参加するのも心細いしな」
そう言われ、俺とカインは顔を見合わせた。
「確かに他国の貴族を1人で参加させるのは気がひけるね」
「でも俺とは無いだろ。カインとヘンリーで参加したらどうだ?俺は1人でも平気だ」
すると今度は2人が微妙な顔をした。
「ダメ。テイトを1人では参加させられない。ヘンリー、お願いしても?もしかすると君も嫌な思いをするかもしれないけど…」
「ああ、頑張るよ。それに頼んでる立場だ、評判が気になるなんてことはないから安心してくれ」
「ヘンリーが良いなら俺は構わないが…多分、1人で参加した方が快適だったと後悔することになるぞ」
「ふふっ、その時はその時だ。どうせ近々国に帰るんだし一時のことさ」
そんなわけで結局俺とヘンリーで一緒に参加することとなった。カインは今から空いている令嬢を探すらしい。
かなり急だが、これでも見つかるのがカインのすごいところだ。
「それじゃあお揃いの服を仕立てに行くか?」
自分とカインの人気度の差に今更ながら落ち込んでいると、ヘンリーがそんな提案をしてきた。
「別に婚約者じゃないし、お揃いじゃなくても…」
「でもせっかくならアイザックのやつに見せつけて驚かせてやるのも楽しそうだろ?」
「それは…」
俺とヘンリーが婚約者のような揃いの衣装で登場したら、ザックは何か反応を見せるだろうか。それは少し気になった。
「まあ、少しは…」
そうして、俺たちはあまり良くない思惑から似たデザインの服を仕立てに行くこととなった。
そしてお互いの胸にはそれぞれの瞳の色の宝石をあしらう。
これなら誰が見ても関係を勘繰りたくなるだろう。あまり注目を浴びるのは本意ではないが、ザックとは終わったように見せかけるにもこれは良い手に思えた。
そして、言い出しっぺは自分なのでとヘンリーがその服を買ってくれ、その日は帰路へと着いた。
「全員来たな」
そう言って俺たちを見渡した彼は、三通の手紙を出した。
「これは招待状?」
「ああ、王太子の誕生日パーティーへの招待状だ」
「あの王太子の…」
ついさっき誕生日パーティーを終えたと思ったらまた別のパーティーか、とため息が出そうになる。しかも相手はあの苦手な王太子だ。
なぜ俺のことを嫌っていながら招待状を送ってくるのか疑問だ。
「…王都にいるほとんどの貴族を招待しているらしい」
俺の心を知ってか知らずかお父様が事情を話す。
「まさかヘンリーまで招待されるとはね」
「いや、俺はもともとこのパーティーに出るつもりで来たんだ」
「もともと?」
「ああ、王太子とは知り合いでな…」
めずらしく歯切れの悪い彼を不思議に思いつつお父様の言葉の続きを待つ。
「それで、このパーティーは…」
「当然皆出席するように」
「はぁ…ですよね」
俺は半ば諦めの気持ちで頷いた。
「ああ、失礼は許されない。だから各々必要な準備をするように」
「「「はい」」」
そうして、その呼び出しは解散となった。
ーーー
「さて、どうしようか。僕とテイトで一緒に行く?」
部屋を出た後、カインがそう提案してくる。俺には一緒に行ってくれる人などいないので、カインが嫌がれば1人で参加するところだ。
「まあ…カインが良いなら…」
カインに迷惑をかけることが気にならないではないが、彼にとっても今更なのだろう。
「あー、カインは探せば一緒に行く人は見つかるのか?」
するとヘンリーが口を挟んだ。
「そうですね。一応探せば見つかると思います」
「それならテイトは俺と行かないか?」
「え、でも…俺と一緒だとヘンリーも変に注目を浴びるぞ」
「別に構わないさ。1人で参加するのも心細いしな」
そう言われ、俺とカインは顔を見合わせた。
「確かに他国の貴族を1人で参加させるのは気がひけるね」
「でも俺とは無いだろ。カインとヘンリーで参加したらどうだ?俺は1人でも平気だ」
すると今度は2人が微妙な顔をした。
「ダメ。テイトを1人では参加させられない。ヘンリー、お願いしても?もしかすると君も嫌な思いをするかもしれないけど…」
「ああ、頑張るよ。それに頼んでる立場だ、評判が気になるなんてことはないから安心してくれ」
「ヘンリーが良いなら俺は構わないが…多分、1人で参加した方が快適だったと後悔することになるぞ」
「ふふっ、その時はその時だ。どうせ近々国に帰るんだし一時のことさ」
そんなわけで結局俺とヘンリーで一緒に参加することとなった。カインは今から空いている令嬢を探すらしい。
かなり急だが、これでも見つかるのがカインのすごいところだ。
「それじゃあお揃いの服を仕立てに行くか?」
自分とカインの人気度の差に今更ながら落ち込んでいると、ヘンリーがそんな提案をしてきた。
「別に婚約者じゃないし、お揃いじゃなくても…」
「でもせっかくならアイザックのやつに見せつけて驚かせてやるのも楽しそうだろ?」
「それは…」
俺とヘンリーが婚約者のような揃いの衣装で登場したら、ザックは何か反応を見せるだろうか。それは少し気になった。
「まあ、少しは…」
そうして、俺たちはあまり良くない思惑から似たデザインの服を仕立てに行くこととなった。
そしてお互いの胸にはそれぞれの瞳の色の宝石をあしらう。
これなら誰が見ても関係を勘繰りたくなるだろう。あまり注目を浴びるのは本意ではないが、ザックとは終わったように見せかけるにもこれは良い手に思えた。
そして、言い出しっぺは自分なのでとヘンリーがその服を買ってくれ、その日は帰路へと着いた。
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