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幽霊屋敷
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幸いなことに今日は学校が休みだ。私はこの家にある図書室へとやっていていた。
引っ越してから誰も入っていないのか、埃がずいぶん溜まっている。
今日私がここへ来たのは、アンソニーという人物のことを調べるためだ。
ついでに他にもいるというゴーストの手がかりも掴めたらと思ったけど、あまり欲張るのはやめよう。そう思って書棚にある貴族名鑑や家系図に目を通していく。
そういえば、彼の家名を聞いていなかったので、調査はかなり難航した。この家で働いていたというからあまり爵位の高い家の出ではなそうだけど・・・
彼の名前をなかなか見つけられずに本棚へと戻る。すると、下段の一角に使用人の日誌のようなものが収納されているのを見つけた。
それを数冊広げてみると、アンソニー・ダイアーという人物の署名がある日報が見つかった。これが彼だろうか。
男性とは思えない綺麗な字が並ぶ日報を読んでいく。どうやらこのアンソニーは、この家に住んでいたモーリス伯爵家に仕えていたらしい。
日報の内容は当たり障りのないもので、彼を知る手がかりにはあまりならなかった。ただ、所々に反省文のような文書が挟まっている。
(あの人、モーリス伯爵という人に何度か叱られていたみたい。)
まあ、あの不遜な態度で支えていたのだとしたらそれも当然だわ。
私は自分でも性格が悪いと思ったが、飄々としている彼が叱られながら反省文を書かされている様を想像するのは楽しかった。
だが書かれている内容がよく分からない。
"私は断じて旦那様が疑われているような関係は築いていないと誓います。"
そんな文章が複数の反省文に見られる。一体何をして叱られていたのかしら。
「ふぅ、今日はこの辺にしておこう。」
日誌を閉じた私はその表紙に書かれた日付に気づく。
XXXX年4月。
(・・・今より80年も前だわ。彼は80年前の人ということなの?)
そういえばモーリス伯爵家なんてものも聞いたことがない。もしかしすると、既に取り潰しになっている家なのかしら。
そんな事を考えながら、日誌だけを残し他の本を棚に戻す。
「それにしても・・・」
(この図書室、なんていうか蔵書の幅が広いわね。)
教養のための書籍も有れば、小さい女の子が好みそうな絵本、はたまた魔術書のような書籍もある。
全てモーリス伯爵が集めた物なのかしら。あるいはその後に住んだ人たちが加えていったものかもしれない。
彼も"僕たち"と言っていたし、他にもゴーストはいるのだろう。
今まで目の前に現れたゴーストは彼1人だが、他は一体どんな人たちなのだろう。
(あまり怖くない人たちだと良いのだけれど。)
そう思いながら私は自室へと戻った。
引っ越してから誰も入っていないのか、埃がずいぶん溜まっている。
今日私がここへ来たのは、アンソニーという人物のことを調べるためだ。
ついでに他にもいるというゴーストの手がかりも掴めたらと思ったけど、あまり欲張るのはやめよう。そう思って書棚にある貴族名鑑や家系図に目を通していく。
そういえば、彼の家名を聞いていなかったので、調査はかなり難航した。この家で働いていたというからあまり爵位の高い家の出ではなそうだけど・・・
彼の名前をなかなか見つけられずに本棚へと戻る。すると、下段の一角に使用人の日誌のようなものが収納されているのを見つけた。
それを数冊広げてみると、アンソニー・ダイアーという人物の署名がある日報が見つかった。これが彼だろうか。
男性とは思えない綺麗な字が並ぶ日報を読んでいく。どうやらこのアンソニーは、この家に住んでいたモーリス伯爵家に仕えていたらしい。
日報の内容は当たり障りのないもので、彼を知る手がかりにはあまりならなかった。ただ、所々に反省文のような文書が挟まっている。
(あの人、モーリス伯爵という人に何度か叱られていたみたい。)
まあ、あの不遜な態度で支えていたのだとしたらそれも当然だわ。
私は自分でも性格が悪いと思ったが、飄々としている彼が叱られながら反省文を書かされている様を想像するのは楽しかった。
だが書かれている内容がよく分からない。
"私は断じて旦那様が疑われているような関係は築いていないと誓います。"
そんな文章が複数の反省文に見られる。一体何をして叱られていたのかしら。
「ふぅ、今日はこの辺にしておこう。」
日誌を閉じた私はその表紙に書かれた日付に気づく。
XXXX年4月。
(・・・今より80年も前だわ。彼は80年前の人ということなの?)
そういえばモーリス伯爵家なんてものも聞いたことがない。もしかしすると、既に取り潰しになっている家なのかしら。
そんな事を考えながら、日誌だけを残し他の本を棚に戻す。
「それにしても・・・」
(この図書室、なんていうか蔵書の幅が広いわね。)
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全てモーリス伯爵が集めた物なのかしら。あるいはその後に住んだ人たちが加えていったものかもしれない。
彼も"僕たち"と言っていたし、他にもゴーストはいるのだろう。
今まで目の前に現れたゴーストは彼1人だが、他は一体どんな人たちなのだろう。
(あまり怖くない人たちだと良いのだけれど。)
そう思いながら私は自室へと戻った。
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