【完結】下級悪魔は魔王様の役に立ちたかった

ゆう

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ディニス編

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ウェスが市井に降ってからというもの、私はソロンを通してウェスの様子を確認していた。

「ウェスは元気にやっています」
「近所の住人にウェスによくしてほしいと頼んでおきました」

ソロンからは定期的にそのような報告が上がっていて、私はウェスが穏やかに暮らしていることにホッとする。

だが先週のウェスは何をしていかだとか、最近彼が好きなものはあるかと尋ねると「そこまでは…」と答えに詰まるソロンに、私は不満を感じていた。


「そろそろ魔族達のほとぼりも冷めただろう。近々、直接ウェスに会いに行ってくる」

報告で聞いていてもウェスのことが心配だった私はソロンとレヴォンにそう話した。

「なっ、何を仰っているのです!勇者達も間近に迫っているというのに…」
「だからこそこれから忙しくなるだろう。その前にウェスに会いに行きたいんだ。それに…冷たく当たったことについても謝って誤解を解きたい」

私の言葉にソロンは渋い顔をし、レヴォンは呆れたような顔をした。

「まあ、良いのでは?変装して住人達にディニス様だとバレないようにしていただければ」
「しかし…」

仕方がないという風に認めてくれたレヴォンに対し、ソロンは否定的だ。

「ああ、もちろん変装はする。あの子が元気でやっているのをこの目で確かめたいんだ。だから、その間のことは頼んだぞ」
「畏まりました」
「…はぁ、畏まりました」

私は別に意見を求めているわけではない。だから彼に会いに行く間、城のことを2人に任せるとだけ伝えてこの話を終わりにしようとした。

「ディニス様。いつ頃会いに行かれるおつもりですか?事前に準備などもありますので…」

そう思っていたが、ソロンが再び口を開いた。

「ああ、そうだな。ちょうど1週間後なら空いていたはずだ。その時に会いに行こうと思う」
「1週間後ですか…わかりました」

丸一日空けるわけでもなし、そこまで準備することもないと思うのだが…そう違和感を感じつつも、私はウェスに会いに行けるということに浮き足だって深くは考えなかった。

そして、なにやら深刻そうに考え込みながら退室したソロンを見送った。



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