公爵家に引き取られることになったけど、幼馴染と離れたくないので囲い込みます

ゆう

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孤児院

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そして数日後。

エルマー神官は教会から水晶を借り受けたらしい。僕を始めとして、孤児院の子供全員に検査を受けさせることになった。

わいわいとしている他の子供達の中、1人沈んだ面持ちで検査へと向かう。

あの日ノエルを助けてからというもの体の中に何かが巡っているような気がするのだ。おそらくはこれが魔力なのだろう。


そう考えながら歩いていると礼拝堂に着いてしまった。

集められた部屋には既にみんな揃っていて、真っ先に僕が名前を呼ばれた。もともとの発端は僕の魔法使用疑惑なので、僕が最初に検査を受けるらしい。

僕は反応するであろう水晶に緊張しながら手をかざす。そして、手に温かさを感じた次の瞬間、突然眩い光があふれた。


「これは…凄いぞ!」

エルマー神官が感激したような声を上げる。僕は何が凄いのか分からずにこの後どうしたら良いのかと彼を見た。

「ふむ、属性も複数、魔力量も多い。これはかなりの逸材だ…もっと早くに気づいていれば…」

ぶつぶつと呟き続ける彼に「あの、もう離していいですか?」と声をかける。

「ああ、すまなかったね。もう分かったから大丈夫だ。やはりカインには魔力があるよ。それもかなりの才能だ。」
「そう、ですか…」

興奮気味なエルマー神官に曖昧に頷いて僕は子供達の輪へと戻った。すると、子供達は興味津々といった雰囲気で僕を取り囲む。

「カインすごい!」
「魔法使えるようになったら見せてね!」
「僕も魔法使いたいな~。」

思い思いに言葉をかけてくる彼らに「はいはい。」とおざなりな対応をする。

「カイン、凄いじゃないか!やっぱりお前には適性があったんだな。おめでとう。」

だがノエルに賞賛の言葉を送られると少し嬉しくなってしまう。
魔法なんてものを使えたら、ノエルはますます僕が彼と同じ仕事に就くのを許さないだろう。それは嫌なのだが、普段は軽口ばかりで褒められる機会など滅多にないものだから、素直な賞賛がくすぐったい。

いっそノエルには家に居てもらい、僕だけが働きに出るのも有りかと考える。一緒にいる時間は減ってしまうが、彼を他の誰かに取られる心配もなくなるだろう。

毎日家に帰れば「おかえり」と出迎えてくれる彼を想像して思わず顔がにやける。これなら魔法が使えることも悪いことばかりではなさそうだ。

そして、僕がそんな妄想に耽っている間にも他の子供達が次々と検査を行なっていく。

だが結局、この中で魔法が使えるのは僕だけだったようだ。

「これで全員だね。魔法を使えるのはカインだけだったようだけど、皆も気を落とさないように。」
「「はーい」」

落ち込んでいる子もいるが、皆概ね予想通りということもあって、そこまでの衝撃はないようだ。そして魔法の鑑定会はお開きとなった。
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