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学園生活2
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そして二学期が始まった。
「今日は転入してきた生徒を2人紹介する。ウッドセン侯爵家のテオドアとアリスティアだ」
ジュード先生が2人を紹介し、それぞれ挨拶をする。彼らは難なくSクラスに配属されたようだ。
「2人はお前達より2歳年下だが、飛び級して学園に入学してきたんだ。同じ学年だが、妹弟のように仲良くするように」
先生の言葉に周りが驚きの声を上げる中、2人と目が合った僕は控えめに微笑んだ。
そうして賑やかな新学期が始まった。
「ゾーイ嬢、それからジョシュ、お久しぶりですね」
ティアとテオが僕らの席へやってきてゾーイと僕に挨拶をする。
彼らとゾーイは幼い頃からの友人で、その関係で僕とも面識があるといった設定だ。
弟妹にジョシュと呼ばれるのは不思議な感じだが、この設定なら話をしても不自然ではない。
「まあ、まさかお二人が飛び級して学園に入られるなんて夢にも思いませんでしたわ」
「ええ、何もその年まで待つ必要はないかと思いまして、思い切りましたの。ゾーイ嬢とは幼い頃からの付き合いとはいえ、驚かせてしまいましたね」
「いいえ、嬉しい驚きですから大丈夫ですわ。お二人とも優秀ですのね」
ゾーイとティアはまるで台本を読むように打ち合わせた通りの会話を大声で繰り広げる。これで僕たちの関係はなんとなく伝わっただろう。
そう思っていると後ろで袖を引っ張られた。
「ねぇ、ジョシュア。あの子達と知り合いなの?」
「ヒューゴ?ああ、ゾーイ嬢との繋がりで少し、ね」
「彼女、アリスティア嬢っていうのか…すごく美人だね」
「え?ああ。そうだね」
うっとりとティアを見つめるヒューゴに友達ながら複雑な気持ちになる。
「あのさ、良かったら僕も紹介してくれないかな…?」
彼にそう頼まれたが、ティアを紹介するのは何だか嫌だ。そう思ってしまった僕は「ごめん…僕じゃ難しいからゾーイ嬢に頼んでくれる?」と逃げた。
「そっか、分かったよ…今度ゾーイ嬢にお願いしてみる」
するとヒューゴは残念そうにそう言って席へと戻って行った。その様子に申し訳なくなるが、兄心なのか彼にあまりティアに近づかないでほしいと思ってしまっている自分がいた。
「ジョシュ、元気にしていた?」
「ジョシュ、久々に会えて嬉しいよ」
その後、ティアとテオがやたらと僕の名前を呼んで話しかけてくる。
「ええ、元気にしておりました。こちらこそお会いできて嬉しいです」
僕は慇懃に答えたが、その様子を見た周りの生徒達はなかなかに驚いているようだだった。
「あの子、ウッドセン侯爵家の方達と面識あるんだ」
「オーデン公爵子息にアダムス伯爵令嬢といい、平民のくせにすごい人脈だな」
「私ですら侯爵家の方なんて恐れ多くて話しかけられないのに…」
そして驚いているのはその生徒達だけではなかった。
「なぁマヌエル、ちょっと不味くないか?」
「何がだよ」
「まさか侯爵家と知り合いだなんて、今までのことがバレたら…」
「はっ、侯爵家が知り合いってだけで平民を助けるわけないだろ?」
「そうかな…随分仲良さそうだけど…」
「ふんっ、権力に媚びるのは上手いみたいだな。だがそんなの関係ないさ」
話の途中、ティアとテオが凍えるような視線で一方を睨んでいたが、それに気付いたのはゾーイだけだった。
「今日は転入してきた生徒を2人紹介する。ウッドセン侯爵家のテオドアとアリスティアだ」
ジュード先生が2人を紹介し、それぞれ挨拶をする。彼らは難なくSクラスに配属されたようだ。
「2人はお前達より2歳年下だが、飛び級して学園に入学してきたんだ。同じ学年だが、妹弟のように仲良くするように」
先生の言葉に周りが驚きの声を上げる中、2人と目が合った僕は控えめに微笑んだ。
そうして賑やかな新学期が始まった。
「ゾーイ嬢、それからジョシュ、お久しぶりですね」
ティアとテオが僕らの席へやってきてゾーイと僕に挨拶をする。
彼らとゾーイは幼い頃からの友人で、その関係で僕とも面識があるといった設定だ。
弟妹にジョシュと呼ばれるのは不思議な感じだが、この設定なら話をしても不自然ではない。
「まあ、まさかお二人が飛び級して学園に入られるなんて夢にも思いませんでしたわ」
「ええ、何もその年まで待つ必要はないかと思いまして、思い切りましたの。ゾーイ嬢とは幼い頃からの付き合いとはいえ、驚かせてしまいましたね」
「いいえ、嬉しい驚きですから大丈夫ですわ。お二人とも優秀ですのね」
ゾーイとティアはまるで台本を読むように打ち合わせた通りの会話を大声で繰り広げる。これで僕たちの関係はなんとなく伝わっただろう。
そう思っていると後ろで袖を引っ張られた。
「ねぇ、ジョシュア。あの子達と知り合いなの?」
「ヒューゴ?ああ、ゾーイ嬢との繋がりで少し、ね」
「彼女、アリスティア嬢っていうのか…すごく美人だね」
「え?ああ。そうだね」
うっとりとティアを見つめるヒューゴに友達ながら複雑な気持ちになる。
「あのさ、良かったら僕も紹介してくれないかな…?」
彼にそう頼まれたが、ティアを紹介するのは何だか嫌だ。そう思ってしまった僕は「ごめん…僕じゃ難しいからゾーイ嬢に頼んでくれる?」と逃げた。
「そっか、分かったよ…今度ゾーイ嬢にお願いしてみる」
するとヒューゴは残念そうにそう言って席へと戻って行った。その様子に申し訳なくなるが、兄心なのか彼にあまりティアに近づかないでほしいと思ってしまっている自分がいた。
「ジョシュ、元気にしていた?」
「ジョシュ、久々に会えて嬉しいよ」
その後、ティアとテオがやたらと僕の名前を呼んで話しかけてくる。
「ええ、元気にしておりました。こちらこそお会いできて嬉しいです」
僕は慇懃に答えたが、その様子を見た周りの生徒達はなかなかに驚いているようだだった。
「あの子、ウッドセン侯爵家の方達と面識あるんだ」
「オーデン公爵子息にアダムス伯爵令嬢といい、平民のくせにすごい人脈だな」
「私ですら侯爵家の方なんて恐れ多くて話しかけられないのに…」
そして驚いているのはその生徒達だけではなかった。
「なぁマヌエル、ちょっと不味くないか?」
「何がだよ」
「まさか侯爵家と知り合いだなんて、今までのことがバレたら…」
「はっ、侯爵家が知り合いってだけで平民を助けるわけないだろ?」
「そうかな…随分仲良さそうだけど…」
「ふんっ、権力に媚びるのは上手いみたいだな。だがそんなの関係ないさ」
話の途中、ティアとテオが凍えるような視線で一方を睨んでいたが、それに気付いたのはゾーイだけだった。
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