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学園生活2

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「ほら、行くぞ」

それからというもの、エリオットは常に僕を気にかけてくれる。彼が近くにいてくれるようになってから、マヌエルたちは表立って絡んでくることはなくなった。

と言っても教科書を破かれたり私物を捨てられたりといった地味な嫌がらせは続いているが…

だが、エリオットにゾーイ、そしてヒューゴが一緒にいてくれればその程度のことは気にならなかった。


それに、次第にエリオットの性格がなんとなく分かってきた気がする。
彼は言葉こそキツイが、それはいつだって相手を思ってのことだ。貴族にしては珍しく上辺を取り繕うのが苦手でまっすぐな性格らしい。

「お前、もう魔法は諦めて見学してたらどうだ」

ある魔法の授業の日、ペアになれという先生の指示に困っていたところ、エリオットが僕の相手になってくれた。

まだ何一つ魔法の出現に成功していない僕にエリオットがいつものストレートな物言いでそう言った。

「うっ…やっぱり僕には無理か…次からは見学させてもらうことにしようかな」
「魔力はあるのに不思議だよな。まあお前は成績もいいし、魔法が使えなくたってできることは色々あるだろ」
「そうかな…」

今後のこと…ティアやテオが入学してきた時のことを考えれば、魔法は使えるに越したことはないのだが、やはり今回でも色無しの自分に魔法を使うことはできないらしい。

魔法も使えないままでティア達の動向を監視し、聖女や王太子から守るなど可能なのだろうか。そこまで考えてその果てしなく高いハードルに肩を落とす。

「コホンっ、あーそんなに落ち込むなよ。俺の国では貴族で魔法が使えないやつだって沢山いるぞ」

エリオットは僕が魔法を使えないことに落ち込んでいると思ったらしく、わかりにくい励ましの言葉をくれる。

「ふふっ、励ましてくれてありがとう。それにしても、魔法を使えない貴族が沢山いるって本当?」

貴族とは魔法が使える人たちだというこの国とは大きく違うウィンタール王国のあり方に興味が湧く。

「ああ、魔法は遺伝や運で発現するもので、必ずしも貴族が皆使えるわけじゃない。その代わり、魔道具の使用が普及しているんだ」
「魔道具?」
「ああ、物に魔法陣を描いて魔石を使って動かす道具だ」
「へえ!そんなのがあるんだ。なんだか面白そう」
「興味があるなら今度家に帰った時に実物と魔法陣に関する本を持ってきてやるよ」
「本当!?ありがとう。楽しみにしてるよ」

そうして僕はエリオットと距離が縮まるのを感じた。
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