85 / 95
第四章『魔王城で婚活を!?」
第85話 初めてを捧げる ★
しおりを挟む
「はっ……!?」
目が覚めると、豪華賢覧な天蓋つきベッドの天井が目に入った。
「ここは……? ホテル? それとも貴族の別荘?」
夢に見たような、身の丈に合わない贅沢でラグジュアリーな空間にヒミカは戸惑う。
大理石の床には鮮やかな刺繍の編まれたラグが敷かれ、視線を上げると宝石を散りばめたシャンデリアに目を奪われる。
成金が自慢するためのインテリアではなく、招かれた者に特別な時間を過ごしてほしいという粋が感じられた。
(そういえば、ユミカが言ってたっけ)
ヒミカがセントエルディアの騎士によって城へ連れ去られた前夜のことだ。
『ユミカね、冒険者になってお金をたくさん稼いだら、お姉ちゃんに恩返しするんだ。大きな街でホテルみたいな家を建てて、毎日ごちそうを食べられるの』
ごちそう、という言葉に釣られたのか、鼻がひくつく。
二人分の椅子が囲むテーブルの上で、まだ温かいパンとシチューがことこと湯気を立てている。
普段夜遅くに帰ってくるヒミカの為に、ユミカが作ってくれる手料理と同じ。
「もしかして、本当にユミカが? ううん、そんなはずはない! だってユミカはユーマのお姉さんのところにいるはず。これは夢……!」
「うん、そろそろ寝ぼけてないで、目覚めてほしいかな」
「ぶ、ぶぶブレド!?」
魔王ブレドがシーツから裸の胸を覗かせてこちらを覗き見ていた。
「あは、カワイイ寝癖が立ってるね」
「ユミカは!?」
「君の妹のことは知らないね。残念だけど、ココは我とヒミカの愛の巣だよ」
つんつん、と胸を突かれた。
一糸纏わぬ生まれたままの姿な、ヒミカの大きなおっぱいを。
「きゃあああああああああああなんで、なんで裸!?」
「驚くのが遅すぎないかい?」
本当に夢であってほしかった。
「うそ、私、アンタと……?」
「夕べはお楽しみでしたね」
「お楽しみ!?」
絶句。
「なーんてね。拷問部屋でヒミカは気絶したんだ。覚えてないかな? 何時間もずーっとイきっぱなしで、身体もドロドロだったんだ。我の妻にふさわしくキレイにしてあげようってドレスは脱がしちゃったけど、これは不可抗力だよね?」
ブレドが親指で背後を示すと、真紅のベラが窓際のフックにかけられていた。
魔力でコーティングされたドレスは、あれだけヒミカや魔物の体液を浴びたにも関わらず、自動修復機能によって卸したての状態に戻っていた。
「そう、それじゃ」
「待ちなよ」
ドレスを取り返すためにベッドを出ようとするも、ブレドに腕を掴まれた。
「出ていくつもりなのかい? こんな素敵な部屋と、温かい食事があるのに」
「当たり前じゃない。貧乏人だからって、こんなもので私を釣ろうって? 安くみられたものね」
「いいのかな? 対魔王決戦武具ってヤツがここにあるけど」
気絶した時に奪われたのか、ブレドは【剣扇】でパタパタと風を送っていた。
「っ返して!」
「重いね、コレ。さすがに疲れるや」
ぽい、と床に向けて放り投げられる。
拾いに行こうとするも、ブレドに腕を掴まれたままだ。
「ちょっと、なにするつもり!?」
「強情だね、ヒミカも。乙女らしく、素直に抱かれなよ」
「それ以上顔を近づけたら、舌を噛むわ」
「やってみなよ」
「このっ────っ、んっ、んんむっ!?」
激昂するヒミカの口を、ブレドの口が塞いだ。
(ああ、これだけはずっと守ってきたのに……!)
異性に対して唯一、誰にも捧げたことのない純潔が、憎むべき魔王に捧げられてしまった。
(私、初めてのキス、しちゃってる……っ!)
「ん……うむっ……んぐっ……ふ、ぅ」
舌でなぞられると、きつく閉じた唇は魔法のようにするりと緩んでしまう。
(悔しい……!)
好きでもない相手に、口づけを許したこと。
妹が住む世界を滅ぼさんとする、巨悪の存在に組み敷かれていること。
なにより──。
(感じてるのが、悔しい!)
じゅんっ!
思い出したかのように子宮が疼いて、頸管粘液が膣を潤していくのが分かってしまう。
まるで、なんでもいいから穴を満たすモノが欲しいと叫んでいるようで。
(キスって、こんな……)
魔王の舌がヒミカの口内に侵入した。
頭の奥がじわりと温かくなって、絡まった糸が解けるように思考がぼやけていく。
歯茎をなぞり、頬粘膜を舐り、舌の裏さえ吸い取られる。
濡れた舌と舌が絡み合わせ、唾液を交換する行為は、ある意味セックスよりも卑猥で。
(気持ち、いい……っ!)
瞬く間に口の中全てをマーキングされてしまった。
ようやく唇が離れると、勇者と魔王、互いの唾液が溶け合った雫がつつーっと糸を引く。
「逃げないのかい? 腕、もう離してるけど」
「あっ……!」
ヒミカは赤面して、慌ててベッドから這い出ようとする。
(身体が、動かない……っ)
「僕は何もしてないよ?」
「そんな……なら、どうして」
「分かってるんだろう? ヒミカの身体は今、我とセックスしたくてたまらないんだ」
目が覚めると、豪華賢覧な天蓋つきベッドの天井が目に入った。
「ここは……? ホテル? それとも貴族の別荘?」
夢に見たような、身の丈に合わない贅沢でラグジュアリーな空間にヒミカは戸惑う。
大理石の床には鮮やかな刺繍の編まれたラグが敷かれ、視線を上げると宝石を散りばめたシャンデリアに目を奪われる。
成金が自慢するためのインテリアではなく、招かれた者に特別な時間を過ごしてほしいという粋が感じられた。
(そういえば、ユミカが言ってたっけ)
ヒミカがセントエルディアの騎士によって城へ連れ去られた前夜のことだ。
『ユミカね、冒険者になってお金をたくさん稼いだら、お姉ちゃんに恩返しするんだ。大きな街でホテルみたいな家を建てて、毎日ごちそうを食べられるの』
ごちそう、という言葉に釣られたのか、鼻がひくつく。
二人分の椅子が囲むテーブルの上で、まだ温かいパンとシチューがことこと湯気を立てている。
普段夜遅くに帰ってくるヒミカの為に、ユミカが作ってくれる手料理と同じ。
「もしかして、本当にユミカが? ううん、そんなはずはない! だってユミカはユーマのお姉さんのところにいるはず。これは夢……!」
「うん、そろそろ寝ぼけてないで、目覚めてほしいかな」
「ぶ、ぶぶブレド!?」
魔王ブレドがシーツから裸の胸を覗かせてこちらを覗き見ていた。
「あは、カワイイ寝癖が立ってるね」
「ユミカは!?」
「君の妹のことは知らないね。残念だけど、ココは我とヒミカの愛の巣だよ」
つんつん、と胸を突かれた。
一糸纏わぬ生まれたままの姿な、ヒミカの大きなおっぱいを。
「きゃあああああああああああなんで、なんで裸!?」
「驚くのが遅すぎないかい?」
本当に夢であってほしかった。
「うそ、私、アンタと……?」
「夕べはお楽しみでしたね」
「お楽しみ!?」
絶句。
「なーんてね。拷問部屋でヒミカは気絶したんだ。覚えてないかな? 何時間もずーっとイきっぱなしで、身体もドロドロだったんだ。我の妻にふさわしくキレイにしてあげようってドレスは脱がしちゃったけど、これは不可抗力だよね?」
ブレドが親指で背後を示すと、真紅のベラが窓際のフックにかけられていた。
魔力でコーティングされたドレスは、あれだけヒミカや魔物の体液を浴びたにも関わらず、自動修復機能によって卸したての状態に戻っていた。
「そう、それじゃ」
「待ちなよ」
ドレスを取り返すためにベッドを出ようとするも、ブレドに腕を掴まれた。
「出ていくつもりなのかい? こんな素敵な部屋と、温かい食事があるのに」
「当たり前じゃない。貧乏人だからって、こんなもので私を釣ろうって? 安くみられたものね」
「いいのかな? 対魔王決戦武具ってヤツがここにあるけど」
気絶した時に奪われたのか、ブレドは【剣扇】でパタパタと風を送っていた。
「っ返して!」
「重いね、コレ。さすがに疲れるや」
ぽい、と床に向けて放り投げられる。
拾いに行こうとするも、ブレドに腕を掴まれたままだ。
「ちょっと、なにするつもり!?」
「強情だね、ヒミカも。乙女らしく、素直に抱かれなよ」
「それ以上顔を近づけたら、舌を噛むわ」
「やってみなよ」
「このっ────っ、んっ、んんむっ!?」
激昂するヒミカの口を、ブレドの口が塞いだ。
(ああ、これだけはずっと守ってきたのに……!)
異性に対して唯一、誰にも捧げたことのない純潔が、憎むべき魔王に捧げられてしまった。
(私、初めてのキス、しちゃってる……っ!)
「ん……うむっ……んぐっ……ふ、ぅ」
舌でなぞられると、きつく閉じた唇は魔法のようにするりと緩んでしまう。
(悔しい……!)
好きでもない相手に、口づけを許したこと。
妹が住む世界を滅ぼさんとする、巨悪の存在に組み敷かれていること。
なにより──。
(感じてるのが、悔しい!)
じゅんっ!
思い出したかのように子宮が疼いて、頸管粘液が膣を潤していくのが分かってしまう。
まるで、なんでもいいから穴を満たすモノが欲しいと叫んでいるようで。
(キスって、こんな……)
魔王の舌がヒミカの口内に侵入した。
頭の奥がじわりと温かくなって、絡まった糸が解けるように思考がぼやけていく。
歯茎をなぞり、頬粘膜を舐り、舌の裏さえ吸い取られる。
濡れた舌と舌が絡み合わせ、唾液を交換する行為は、ある意味セックスよりも卑猥で。
(気持ち、いい……っ!)
瞬く間に口の中全てをマーキングされてしまった。
ようやく唇が離れると、勇者と魔王、互いの唾液が溶け合った雫がつつーっと糸を引く。
「逃げないのかい? 腕、もう離してるけど」
「あっ……!」
ヒミカは赤面して、慌ててベッドから這い出ようとする。
(身体が、動かない……っ)
「僕は何もしてないよ?」
「そんな……なら、どうして」
「分かってるんだろう? ヒミカの身体は今、我とセックスしたくてたまらないんだ」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる