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第一章『性なる力に目覚めた勇者!?』
第26話 【盾騎士】ユーマ
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ユミカと共に城を抜け出さなければならない。
簡易式の檻の中で、ユミカはすやすやと吐息を立てていた。
魔法で眠らされてるとのことだったが、本当らしい。
「ん……おねえちゃ、……パンナコッタたべたい……むにゃむにゃ」
「!?」
寝言だった。気持ちよさそうに熟睡している。
目覚めたら布団の中に居させてあげたい。
全て悪い夢だったことにしたい。
隣で倒れている騎士から檻の鍵をひったくり、ユミカを救出する。
辺りを見渡すと、騎士は全員倒れていた。例外なく床に乾ききってない水溜まりができているのは、耐えきれずに全てを放出した後なのだろう。
「あの」
声をかけられて咄嗟に振り向くと、折り重なって倒れる騎士の中で一人の少年が立っていた。下半身の鎧こそ脱いでいたが、下着は身に着けたままだった。
「もし、安全な場所をお探しでしたら、僕の姉が匿ってくれるかと」
「あなた、馬車の中にいた──」
「は、はい! 申し遅れました。僕はユーマと言います。今日で成人となったばかりの、王国騎士の新米です」
兜を脱ぐと、まだ世界を知らない、純粋な瞳をくりくりさせた童顔があった。
「信用、していいの?」
「はい。騎士達の寮長である姉は、子供が大好きで、いつまでも僕を子供扱いして可愛がってくれるんです。いつも涎を垂らしながら抱きしめてくれるんですよ」
「それってむしろ危なくない……? というか、なんで君は助けようとしてくれるの? なんだか怪しい」
他の騎士達は王様の射精禁止令によって、我慢に我慢を重ねた自慰を強いられ、最後には力尽きていた。
ヒミカの魔力にあてられて、隣の騎士のアナルに突っ込んだまま気絶している者までいる。
「僕は、その……。勇者様に会いたくて」
「はい?」
「小さい頃から、姉から勇者が世界を救う話を聞いて、いつか僕も先代勇者を守っていた王様のようになりたいと思ってました」
「あんな王様を目標としているなら、ここでお別れね」
「はい、ですから、今日でやめることにしました。勇者様が苦しんでいるのに何もできないことの方が辛かったので」
「やめるって、これからどうするの?」
「そうですね。大人しく田舎にある実家に帰るか、冒険者登録をして勇者様のように旅をしようかと思います」
「本気なの?」
「はい。この決断も勇者様のおかげです」
「パンツの下、膨らんでるんだけど」
「こ、これは失礼しました!」
ユーマが光の速さで鎧を着て何事もなかったかのように向き直る。
よく見ると、唇の端から血が出ていた。きつく歯を食いしばっていたかのような、そんな傷跡だった。
「よ、よければこちらを。僕が着ていたものですが」
汗ばんだシャツを渡された。小柄なユーマには随分と大きい。
言われて、ヒミカは全裸だったことに気づいて慌てて隠す。
「鎧の中って暑いんですよ。他の騎士は汗を吸ったり涼しかったりする高性能のインナーを着てますが、僕の実家は貧しくて姉のおさがりのシャツで済ませてます。城を出て服を調達するまで、どうか辛抱して下さい」
さらりと言うと後ろを向いてくれた。
気を使われてしまったようだ。
ヒミカは黙って、仄かに体温が感じられるシャツを羽織った。
男の子の汗のにおいに少しくらっとする。
「……して」
「え?」
「お姉さんのところに案内して。私は、魔王を探しにいく」
「分かりました。抜け道はこちらです。城から出た後も、街を出るまで僕と姉が全力で──」
「冒険者はパーティを組むのが定石でしょ。騎士なら私を守ってよ」
少し恥ずかしくて目を逸らす間際、ユーマのヒマワリのような笑顔が見えた。
「……はい! 勇者様は一生、僕がお守りします!」
「なにどさくさに紛れてプロポーズしてるの!?」
「いや! これはちが……くないかもしれないですが違います!」
「私、好きな人いるから」
「え」
「何固まってんの。早く、エスコートしてよ」
「そ、そうですね。早くしないと。王様が眼を覚ます前に」
「もう覚めておる」
「なっ……!?」
ゆらり。
陽炎のように、気絶していたはずの王様が音もなく立ち上がった。
簡易式の檻の中で、ユミカはすやすやと吐息を立てていた。
魔法で眠らされてるとのことだったが、本当らしい。
「ん……おねえちゃ、……パンナコッタたべたい……むにゃむにゃ」
「!?」
寝言だった。気持ちよさそうに熟睡している。
目覚めたら布団の中に居させてあげたい。
全て悪い夢だったことにしたい。
隣で倒れている騎士から檻の鍵をひったくり、ユミカを救出する。
辺りを見渡すと、騎士は全員倒れていた。例外なく床に乾ききってない水溜まりができているのは、耐えきれずに全てを放出した後なのだろう。
「あの」
声をかけられて咄嗟に振り向くと、折り重なって倒れる騎士の中で一人の少年が立っていた。下半身の鎧こそ脱いでいたが、下着は身に着けたままだった。
「もし、安全な場所をお探しでしたら、僕の姉が匿ってくれるかと」
「あなた、馬車の中にいた──」
「は、はい! 申し遅れました。僕はユーマと言います。今日で成人となったばかりの、王国騎士の新米です」
兜を脱ぐと、まだ世界を知らない、純粋な瞳をくりくりさせた童顔があった。
「信用、していいの?」
「はい。騎士達の寮長である姉は、子供が大好きで、いつまでも僕を子供扱いして可愛がってくれるんです。いつも涎を垂らしながら抱きしめてくれるんですよ」
「それってむしろ危なくない……? というか、なんで君は助けようとしてくれるの? なんだか怪しい」
他の騎士達は王様の射精禁止令によって、我慢に我慢を重ねた自慰を強いられ、最後には力尽きていた。
ヒミカの魔力にあてられて、隣の騎士のアナルに突っ込んだまま気絶している者までいる。
「僕は、その……。勇者様に会いたくて」
「はい?」
「小さい頃から、姉から勇者が世界を救う話を聞いて、いつか僕も先代勇者を守っていた王様のようになりたいと思ってました」
「あんな王様を目標としているなら、ここでお別れね」
「はい、ですから、今日でやめることにしました。勇者様が苦しんでいるのに何もできないことの方が辛かったので」
「やめるって、これからどうするの?」
「そうですね。大人しく田舎にある実家に帰るか、冒険者登録をして勇者様のように旅をしようかと思います」
「本気なの?」
「はい。この決断も勇者様のおかげです」
「パンツの下、膨らんでるんだけど」
「こ、これは失礼しました!」
ユーマが光の速さで鎧を着て何事もなかったかのように向き直る。
よく見ると、唇の端から血が出ていた。きつく歯を食いしばっていたかのような、そんな傷跡だった。
「よ、よければこちらを。僕が着ていたものですが」
汗ばんだシャツを渡された。小柄なユーマには随分と大きい。
言われて、ヒミカは全裸だったことに気づいて慌てて隠す。
「鎧の中って暑いんですよ。他の騎士は汗を吸ったり涼しかったりする高性能のインナーを着てますが、僕の実家は貧しくて姉のおさがりのシャツで済ませてます。城を出て服を調達するまで、どうか辛抱して下さい」
さらりと言うと後ろを向いてくれた。
気を使われてしまったようだ。
ヒミカは黙って、仄かに体温が感じられるシャツを羽織った。
男の子の汗のにおいに少しくらっとする。
「……して」
「え?」
「お姉さんのところに案内して。私は、魔王を探しにいく」
「分かりました。抜け道はこちらです。城から出た後も、街を出るまで僕と姉が全力で──」
「冒険者はパーティを組むのが定石でしょ。騎士なら私を守ってよ」
少し恥ずかしくて目を逸らす間際、ユーマのヒマワリのような笑顔が見えた。
「……はい! 勇者様は一生、僕がお守りします!」
「なにどさくさに紛れてプロポーズしてるの!?」
「いや! これはちが……くないかもしれないですが違います!」
「私、好きな人いるから」
「え」
「何固まってんの。早く、エスコートしてよ」
「そ、そうですね。早くしないと。王様が眼を覚ます前に」
「もう覚めておる」
「なっ……!?」
ゆらり。
陽炎のように、気絶していたはずの王様が音もなく立ち上がった。
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