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第一章『性なる力に目覚めた勇者!?』

第24話 勇者覚性 ★

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 豪華絢爛の赤絨毯がみるみると黒ずんでいく。
 馬車に無理やり乗せられてから、一度もお手洗いに行っていなかった。
 我慢と緊張から解き放たれたおしっこは止まらない。

(あれ?)

 ふと背筋がぞくっとした。
 
 形容し難い、かつ既視感のある感覚。恐怖ではない。
 望まぬ相手で破瓜し、全裸で失禁までしてしまった。
 もう行くところまで行ってしまったヒミカは、今更恐怖など感じていない。

 では一体何だろう? 

(もしかして、気持ち、いい?)

 羞恥を越えた、愉悦。

(みんなの前でえっちな私を見られることが、気持ちいい?)

 かつてのヒミカなら意味不明、気の迷いと一蹴しただろう。
 けれど、確かに悦びを感じるのだ。
 
 周囲の騎士が、ヒミカと王様の性行為を見て興奮している。
 一国の最高権力である王様が、ただの田舎娘のヒミカに夢中で、白目を剥きながら腰を振っている。

(私に惑わされて、夢中になってる。それが、気持ちいいの)
 
 おもむろに臀部を突き出す。
 王様の正面にひくひくと痙攣する肉ビラが迫り、涎のようにぽたぽたと愛液が滴り落ちている。

「ほっほっほぇ。なるほどのう。しょんべんするようなだらしないおま×こに蓋をしてほしいと?」

「そうなのぉ」

 艶っぽく吐息が色づく。

「ヒミカのえっちなおつゆで綺麗な絨毯が汚れちゃうよぉ。だから、王様の逞しいおちん×んで蓋をしてくださいな」

 普段のヒミカなら到底言うはずのない、卑猥な言葉。
 嫌悪感や羞恥心はない。
 むしろ、自分が解放されていくような心地になる。

「ふひっ、ひひっ。ヒミカたんもようやく素直になったってことかのぉ。覚醒も間近ってことかぇ」

 王様は額に汗を滲ませながらヒミカの尻を鷲掴み、己の半身をヒミカの蜜壺に再び捻じ込もうとする。

「ふ、ぅん……ンっ……」

 亀頭がマン肉を擦るも、滑って侵入には至らない。
 肉ビラをぐちゅぐちゅと抉られる快感に悶えつつも、ペニスは一向に水溜まりの表面を撫でるだけだ。

「ふぅ……。ちと、ハメを外しすぎたかのぉ。視界がぐるぐる揺れているわい」

 ヒミカは首を傾げる。
 
 違和感。

(もしかして……?)

 傲慢で、自分勝手で。
 ヒミカの肉体をほしいままに貪っていた鬼畜の王が、焦っている。

(これは、魔力?)
 
 ヒミカには見えていた。
 自分の魔力が桃色の霧状に立ち込めているのを。
 
 魔力のオーラは、真綿で首を絞めるように少しずつ王様を包み込んでいく。
 さらには、ヒミカの汗、床に飛び散った体液からも霧が立ち昇っていく。

(魔力が、私の姿になった?)

 高密度の魔力が形作った、もう一人のヒミカ。
 まるで人間のように後ろから抱き着きながら、王様の耳元で息を吹きかける。

「ふィ~~。わかっとるのぉ、ヒミカたん。ワシは耳が弱いんじゃよ」

 うわごとのように何かを呟いている。
 ヒミカは何も喋っておらず、ただペニスが挿入されるのを犬のように尻を振りながら待っているだけなのに。
 
 未だに肉竿は侵入してこない。
 四つん這いのヒミカには見えないが、王様は顔が鼻まで赤くなり、酩酊状態のごとくふらついている。

「ほわっ」

 一旦仕切り直そうと後ろに下がるも、大きすぎるペニスのせいで自らバランスを崩してしまう。

「もぅ、王様? いじわるしないでください。女の子は焦らすもの、なんてもう古いですよぉ」

「う、うむ。分かっておる。分かっておるが、しかし……。どうにも視界がぐるぐるしとる。年甲斐も無く二度も射精してしまったからかのぉ」

「で・し・た・ら」

 振り向きざま妖艶に微笑む。

「代わりにヒミカが、最後の一滴まで搾り取ってあげます」

 手を伸ばし、ついに自らの手で男のペニスに触れた。

(さわっ……ちゃった)

 指先に感じる男性器は、熱した鉄棒のようだった。

(ハジメテがお爺ちゃんなんて。でも、気持ちよければもう、いいよね?)

 亀頭を膣口に添えると、ぶちゅりと粘液が跳ねる音がした。
 喉を鳴らす。


「早くおちん×んからせーしびゅーびゅー吐き出してっちゃえ♡」


 叫ぶと同時、王様に抱き着いたままの幻影のヒミカが、突き飛ばすかのように腰を押し出した。

「ひょっ!?」

「か、はっ……あンっ♡」

 肉杭に内臓を圧迫され息が詰まりそうになる。けれど一回目とは違い、すぐさま快楽が子宮から愛液と共に滲み出てくる。

「なにこれっ、さっきと全然ちがうっ!」

 気持ち悪さ、悲しさ、憎らしさ。
 全てが反転する。
 
 気持ちいい、嬉しい、愛おしい。

「欲しい。もっと、もっとおちん×ん欲しいよぉ♡」
 
 ぷつんと、一本の糸が頭の中で切れたような気がしたけど、どうでもよかった。
 一体、今まで自分は何を我慢していたのだろう、と。

「あぁん♡ しゅごい! 王様のおちん×ん、大きすぎて赤ちゃんの部屋叩かれてるっ♡」

「おほッ、ほほほぉッ。ヒミカたんはやはり名器じゃ。三〇人おった嫁でさえ一人残らず逃げたワシのちんぽに、自ら絡みついて奥へと誘ってくるんじゃあ」

 ヒミカの腰に抱き着く王様は、頭まで背中にもたれかかり、腰だけが機械的にへこへこと蠕動している。

「あは、しゅごい! ヒミカのおま×こ、王様のおちん×ん専用にカスタマイズしてます♡
一番感じるところに当たって……あンっ♡ いいっ! そこっ、もっと抉るように突いてくださいっ♡」

「いいとも、いいとも! ヒミカたんの頼みなら何でも聞くぞい! はぁ、なんだか若かりし頃に戻ったような心地じゃあ」
 
 足が地面から離れたまま、腰の動きだけで振り子のように逸物を打ち付けられる。
 
 ぐじゅぅっ! ぐじゅじゅっ! ぶしゅっ。

「あーーーっ。あ、はぁーーーーっ♡」

 粘液が湯気を立てながら噴きだし、全身を一直線に貫ぬく快感が脳天を揺さぶる。

(せっくす。せっくす気持ちいい♡ あれ、どうして私、こんな気持ちいコト、今まで我慢してたんだっけ?)

 脳裏にこびりついていたトラウマ。
 小さい頃に見た、母と見知らぬ男の性行為。
 理性を捨てて快楽に耽ることの罪悪感が、真っ白に塗りつぶされていく。
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