70 / 74
第三章『魅了H。駆出し淫魔は大悪魔に誘惑され、黒い天使は嫉妬する』
第七十話「何回シても緊張する」
しおりを挟む
「挿入れるよ……」
「うん……ってもう同じこと三回言ってるし」
両足を広げたシトラスの正面で固まる僕。
屈んだ状態のペニスは、一直線にシトラスの秘部に向かって隆起していた。
僕は押さえつけるようにペニスを掴み、ゆっくりと蜜の滴る泉へと踏み込んでいく。
どうしてだろう。
挿入はもう何度もしているハズなのに、初めての時みたいに緊張する。
シトラスが初めてだから、入り口が小さくて挿入(はい)らないかもしれないからか。
それとも、心の底の底から、本気で好きと思えた相手だからだろうか。
「緊張してるの?」
「う、うん」
「もう、一番緊張してるのは私なんだからね」
「はい、その通りです……。でも、どうしてだろう、自分でもよくわからないんだ」
やばい。
さすがにこの間は不自然だ。
白けてしまうし、僕のペニスを萎えてしまう。
なにより、そんなことになったら、シトラスを傷つけてしまうかもしれない。
ああ、どうして。
何が不安なんだ、僕は。
何が……。
「私は、宋真から離れたりしないよ?」
ぐちゃぐちゃに絡み合った思考の糸を切り飛ばすような一閃。
シトラスは起き上がると、僕に抱き着き、衝撃で背中からベッドに倒れ込む。
「宋真は迷ってるんだよ。【魅了魔法】で、女の子といつだって自由にエッチできる。でも、『それで終わり』で済ましていいのかなって」
「……! そう、かも」
自分でも分からなかった問を完璧に答えて見せた。
そうだ。
僕は、戸惑っていた。
【魅了魔法】で、僕は好きだった倉林さんとセックスできた。
けど、倉林さんは僕の事を好きじゃなかった。
果たして、片思いをしてたあの頃と今、どちらが幸せだったのか。
ミカエリや紫織とセックスできた。そればかりか、僕に対して並々ならぬ好意を寄せている。
それはとっても嬉しいけど、何か騙しているような気分になってしまう。
それは多分、【魅了魔法】の力であって、僕の実力じゃないから。
つまり、だ。
魔法がなかったら。
いや、魔法が消えてしまったら。
僕とシトラスのこの関係も、壊れてしまうのではないか?
「なくなったりしないよ」
心を見透かしたかのように、シトラスは迷うことなく告げる。
「私の鼓動、聞こえる?」
対面座位で抱き着くシトラス。
胸と胸がくっつきあい、互いの鼓動が伝わってくる。
「【魅了魔法】も、私も、確かにここに在るんだよ。勝手に消えたりしない。後は、宋真がそれを信じるかどうかだよ」
「僕が……?」
「うん。私の言葉と、宋真の不安。宋真が信じる方が、現実になる。私と初めて会った時のこと、もう一度思い出して。私と宋真が出会ったのは、ただの偶然?」
「偶然、だけど……」
思い出す。
初めてシトラスと会った時。まだシトラスを知らなかった時。
僕は、どうしてシトラスと会えたんだ?
あの時は自暴自棄になっていた。
氷川先輩に侮辱され、倉林さんに軽蔑されて。
人生楽しいことなんて何一つなくて。
誰よりも性欲が強いのに童貞で。
だから、死ぬまでに一度でいいから、セックスしてみたい。そう──。
「そう、思ったんだ」
ハっとする。
「わかった?」
「うん、わかったよ。僕は、シトラスに導かれて、【魅了魔法】があったからこうしているんじゃない。僕が、強く信じたんだ」
「そう。そして、私の存在は、宋真の思い込みじゃなくて現実だから。だったら、後は宋真の気持ち次第だよ」
「……ごめん。僕、シトラスが、その内勝手にいなくなるんじゃないかって、不安だったんだ。また一人になるのが、何もできない自分になるのが怖かったんだ」
「でも、今の宋真には私がいるし、なんでもできる。今も、これからも。それじゃダメ?」
「ダメじゃない」
「けど、不安なんだよね」
僕はこくりと頷いた。
「だったら、私が確かめさせてあげる」
シトラスは、すっかり萎んでしまった僕のペニスを手に取ると、小さな口で包み込んでいった。
「うん……ってもう同じこと三回言ってるし」
両足を広げたシトラスの正面で固まる僕。
屈んだ状態のペニスは、一直線にシトラスの秘部に向かって隆起していた。
僕は押さえつけるようにペニスを掴み、ゆっくりと蜜の滴る泉へと踏み込んでいく。
どうしてだろう。
挿入はもう何度もしているハズなのに、初めての時みたいに緊張する。
シトラスが初めてだから、入り口が小さくて挿入(はい)らないかもしれないからか。
それとも、心の底の底から、本気で好きと思えた相手だからだろうか。
「緊張してるの?」
「う、うん」
「もう、一番緊張してるのは私なんだからね」
「はい、その通りです……。でも、どうしてだろう、自分でもよくわからないんだ」
やばい。
さすがにこの間は不自然だ。
白けてしまうし、僕のペニスを萎えてしまう。
なにより、そんなことになったら、シトラスを傷つけてしまうかもしれない。
ああ、どうして。
何が不安なんだ、僕は。
何が……。
「私は、宋真から離れたりしないよ?」
ぐちゃぐちゃに絡み合った思考の糸を切り飛ばすような一閃。
シトラスは起き上がると、僕に抱き着き、衝撃で背中からベッドに倒れ込む。
「宋真は迷ってるんだよ。【魅了魔法】で、女の子といつだって自由にエッチできる。でも、『それで終わり』で済ましていいのかなって」
「……! そう、かも」
自分でも分からなかった問を完璧に答えて見せた。
そうだ。
僕は、戸惑っていた。
【魅了魔法】で、僕は好きだった倉林さんとセックスできた。
けど、倉林さんは僕の事を好きじゃなかった。
果たして、片思いをしてたあの頃と今、どちらが幸せだったのか。
ミカエリや紫織とセックスできた。そればかりか、僕に対して並々ならぬ好意を寄せている。
それはとっても嬉しいけど、何か騙しているような気分になってしまう。
それは多分、【魅了魔法】の力であって、僕の実力じゃないから。
つまり、だ。
魔法がなかったら。
いや、魔法が消えてしまったら。
僕とシトラスのこの関係も、壊れてしまうのではないか?
「なくなったりしないよ」
心を見透かしたかのように、シトラスは迷うことなく告げる。
「私の鼓動、聞こえる?」
対面座位で抱き着くシトラス。
胸と胸がくっつきあい、互いの鼓動が伝わってくる。
「【魅了魔法】も、私も、確かにここに在るんだよ。勝手に消えたりしない。後は、宋真がそれを信じるかどうかだよ」
「僕が……?」
「うん。私の言葉と、宋真の不安。宋真が信じる方が、現実になる。私と初めて会った時のこと、もう一度思い出して。私と宋真が出会ったのは、ただの偶然?」
「偶然、だけど……」
思い出す。
初めてシトラスと会った時。まだシトラスを知らなかった時。
僕は、どうしてシトラスと会えたんだ?
あの時は自暴自棄になっていた。
氷川先輩に侮辱され、倉林さんに軽蔑されて。
人生楽しいことなんて何一つなくて。
誰よりも性欲が強いのに童貞で。
だから、死ぬまでに一度でいいから、セックスしてみたい。そう──。
「そう、思ったんだ」
ハっとする。
「わかった?」
「うん、わかったよ。僕は、シトラスに導かれて、【魅了魔法】があったからこうしているんじゃない。僕が、強く信じたんだ」
「そう。そして、私の存在は、宋真の思い込みじゃなくて現実だから。だったら、後は宋真の気持ち次第だよ」
「……ごめん。僕、シトラスが、その内勝手にいなくなるんじゃないかって、不安だったんだ。また一人になるのが、何もできない自分になるのが怖かったんだ」
「でも、今の宋真には私がいるし、なんでもできる。今も、これからも。それじゃダメ?」
「ダメじゃない」
「けど、不安なんだよね」
僕はこくりと頷いた。
「だったら、私が確かめさせてあげる」
シトラスは、すっかり萎んでしまった僕のペニスを手に取ると、小さな口で包み込んでいった。
0
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる