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第三章『魅了H。駆出し淫魔は大悪魔に誘惑され、黒い天使は嫉妬する』
第五十話「性交と快楽と好意の果てに」(★)
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くちゅっ。……ぴちゃっ……じゅるっ。
キスというより、互いの唾液を混ぜ合い、感触を楽しむような背徳的快楽。
脳が快楽で満たされて、思考がとろとろになったところで、倉林さんは舌なめずりをした。
「私も、先輩とのセックス、好きですよ?」
「そ、そう。僕、も……」
────あれ?
「じゃあもう一回戦、シちゃいましょうよぉ。ほら、見えます? 先輩がたぁーっぷり射精した、せーえきが溢れちゃうトコ……」
ベッドの上でM字開脚する倉林さん。
指で大陰唇を広げると、着床しそこねた僕の精液が、だらぁーっと膣口から零れ、シーツを汚していく。
まるで湯気でも立ち込めているかのように生々しい、性の匂い。
思考とは関係なしに、愚息が勝手におまんこに吸い込まれていく。
「あああンっ! 大きいのキたぁっ! んふふっ。正常位って、恋人みたいでいいですよねぇ」
腰を振りながら、倉林さんを見下ろす。
そこには、ペニスのストロークに幸せそうな顔をして、おっぱいを揺らす倉林さんの姿が。
『恋人みたい』か……。
ああ、そういうことか。
僕は気づいてしまった。
倉林さんは。
「ひっ、うううんっ! もっとっ! もっとぐりぐりしてぇ! お腹の内側、気持ちいいトコが圧迫され……んはあっ」
これだけ僕のペニスを感じていても。
文字通り身体を重ね合っても。
「好きぃっ! セックス好きなのぉっ! 気持ちいいのさえあれば……ああんっ、んっ。もう、後はなぁんにもいらないっ! あっ、ああンっ」
倉林さんは、僕じゃない。
僕とのセックスが好きなだけだった。
「あ、はぁっ……先輩も、私とのセックス、気持ちいいですかぁ?」
「もちろんだよ。アニメキャラみたいに、身長が低いところも、大振りのおっぱいに隠れた陥没乳首も、僕の形をすっかり覚えたこのおまんこも、全部気持ちいい。
なんだろう、この気持ち。
初めは、倉林さんとセックスしただけで、それこそ『死んでいい』とさえ思えたのに。
猛り狂う僕の愚息は気持ちよければ満足する。
けど、いつの間にか胸に空いた空虚な心は、どれだけ倉林さんとセックスしても空っぽだった。
好きと気持ちいいは、似て非なるものだと、初めて知った。
「あああキたっ! またぁ! ふぁ~ってするのクるっ! 先輩っ! 全部奥で射精してくださいね! びゅく~っって。情けないくらい腰突き入れてくださいっ!」
「くっ……ああっ」
魔法で強化されたペニスが震える。
子孫繁栄の本能に従い、ゼリーのような粘液を奥深くで解き放つ。
「あ、あああああっ! ああんっ、ひうううっ、あんっ……おっ……おおっ」
いつの間にか倉林さんは、僕の背中に足をぐっと絡めて、僕の身体の動きを封じていた。
僕は快楽から逃れられず、最奥で種付けプレスを繰り返す。
ああ、気持ちいい。
なんでオナニーと違って、射精する場所が違うだけでこんなにも気持ちいいのか。
最初は、僕と倉林さんの相性がぴったりだからだと思っていた。
でも、多分違う。
これは単なる本能。
人間が何億回ものセックスを通して子孫にプログラミングしてきた、生理現象だ。
「まぁ、もう、どうでもいいか」
「? 何か言いました? 先輩」
「いいや? それより、まだ僕は収まりつきそうにないんだけど」
魅了魔法レベル3:【大絶倫】を発動すると、半日射精しても勃起したままだ。
「私もぉ。もっともっと、これからもずぅ~っと、先輩とどろどろになるまで溶けちゃいたいですぅ。私のカラダ、先輩の好きなようにシてくださいっ」
僕と倉林さんは休憩する間も惜しむように唇を貪りあう。
ああ、きっと、セフレを作るって、こんな感覚なんだな。
童貞の時には理解できなかったけど、今ならわかる。
とにかく今は、ただ気持ちよければそれでいいや。
再び、ギシギシとベッドが軋む音が響き渡った──。
~◆~
明朝。朝五時。
一晩中、狂ったようにセックスしまくった僕。
全身を精液でべとべとのまま、ベッドの上で失神している彼女を置いて、ふらふらになりながら朝帰りをした。
倉林さんの家と僕の家は近いから、これからもお互いの性欲を満たすために往復することになるだろう。
僕と倉林さんの関係は、それでいい。
もうそれ以上、望まない。
「はぁ……さすがに【大絶倫(ストレングス)大絶倫】を使った後は疲れる……。性欲と言うより、単に栄養と、疲労が……」
筋肉を無理に膨張させ、絶倫を手に入れるその力。
代償として、【生命魔力】を消費していると気づいたのは、昨夜だった。
まあ、何回も膣内射精を通して精製された分と、割合的にはトントンだけど。
「またシトラスに無理させちゃったかな……」
僕がセックスして感じる快楽は全てシトラスに共有される。
ベッドにダイブしようとしたら、全力でオナニーしているシトラスに占領されている光景にはもう慣れた。
「ただいま……」
玄関の扉を開けて、自室のドアを開ける。
「あれ? 居ない……」
あえぎ声の一つなく、部屋は静寂に満ちていた。
そして机の上の置手紙を見つける。
どくん……。
僕の心臓が嫌な音を立てる。
幼稚な乱筆で、こう書いてあった。
『魔界に行ってくる』
「そんな! シトラス!」
勢いよく窓を開けて空を仰ぐ。
しかし、徹夜セックス明けの身体には眩しすぎる朝の陽ざしが降り注ぐだけだ。
「……そもそも、魔界がどこにあるのかなんて知らないしな」
天国が空の上にあるとするなら……魔界は地下?
じゃあどこか地底と繋がる穴を探せば……。
そんなことより、シトラスだ。
どうして居なくなった? 何か不満があった? 悪魔として力を取り戻したから?
もう僕は必要ない……?
「ダメだ。頭働かない」
冷静になれ。
僕は仕事柄様々な本を読んでいる。
その中には当然、不安や焦りと言ったメンタル対処法についての本も含まれている。
「よし、とりあえず朝シャワーだ。体温を上げて血流を促進。体温身体ベトベトだしね」
さっぱりとして、澄み切った頭でもう一度考えよう。
僕は廊下で勢いよく全裸になると、浴槽のドアを開ける。
「あれ? 電気つけっぱなし……」
僕は目の前の光景に、ペニスが一瞬で萎えるくらいの衝撃を受けた。
「まったく……。いつまで経っても帰ってこないと思いましたら……。いい御身分ですね」
シトラスと同じ背丈。
白髪のロングヘア。
陶器のような白い肌に、天使の輪っか。
「み、みみみミカエリ!? どうしてここに……?」
そういえば、倉林さんと会ってた時、姿を見かけなかったけど……。
「わ、私も恥ずかしいのですから、早く入ってきてくれませんこと?」
「あ、はい」
恥ずかしいのに入ってきてもいいのか。
ぐずぐずに濁った思考は、さらに混沌を極めるのだった。
キスというより、互いの唾液を混ぜ合い、感触を楽しむような背徳的快楽。
脳が快楽で満たされて、思考がとろとろになったところで、倉林さんは舌なめずりをした。
「私も、先輩とのセックス、好きですよ?」
「そ、そう。僕、も……」
────あれ?
「じゃあもう一回戦、シちゃいましょうよぉ。ほら、見えます? 先輩がたぁーっぷり射精した、せーえきが溢れちゃうトコ……」
ベッドの上でM字開脚する倉林さん。
指で大陰唇を広げると、着床しそこねた僕の精液が、だらぁーっと膣口から零れ、シーツを汚していく。
まるで湯気でも立ち込めているかのように生々しい、性の匂い。
思考とは関係なしに、愚息が勝手におまんこに吸い込まれていく。
「あああンっ! 大きいのキたぁっ! んふふっ。正常位って、恋人みたいでいいですよねぇ」
腰を振りながら、倉林さんを見下ろす。
そこには、ペニスのストロークに幸せそうな顔をして、おっぱいを揺らす倉林さんの姿が。
『恋人みたい』か……。
ああ、そういうことか。
僕は気づいてしまった。
倉林さんは。
「ひっ、うううんっ! もっとっ! もっとぐりぐりしてぇ! お腹の内側、気持ちいいトコが圧迫され……んはあっ」
これだけ僕のペニスを感じていても。
文字通り身体を重ね合っても。
「好きぃっ! セックス好きなのぉっ! 気持ちいいのさえあれば……ああんっ、んっ。もう、後はなぁんにもいらないっ! あっ、ああンっ」
倉林さんは、僕じゃない。
僕とのセックスが好きなだけだった。
「あ、はぁっ……先輩も、私とのセックス、気持ちいいですかぁ?」
「もちろんだよ。アニメキャラみたいに、身長が低いところも、大振りのおっぱいに隠れた陥没乳首も、僕の形をすっかり覚えたこのおまんこも、全部気持ちいい。
なんだろう、この気持ち。
初めは、倉林さんとセックスしただけで、それこそ『死んでいい』とさえ思えたのに。
猛り狂う僕の愚息は気持ちよければ満足する。
けど、いつの間にか胸に空いた空虚な心は、どれだけ倉林さんとセックスしても空っぽだった。
好きと気持ちいいは、似て非なるものだと、初めて知った。
「あああキたっ! またぁ! ふぁ~ってするのクるっ! 先輩っ! 全部奥で射精してくださいね! びゅく~っって。情けないくらい腰突き入れてくださいっ!」
「くっ……ああっ」
魔法で強化されたペニスが震える。
子孫繁栄の本能に従い、ゼリーのような粘液を奥深くで解き放つ。
「あ、あああああっ! ああんっ、ひうううっ、あんっ……おっ……おおっ」
いつの間にか倉林さんは、僕の背中に足をぐっと絡めて、僕の身体の動きを封じていた。
僕は快楽から逃れられず、最奥で種付けプレスを繰り返す。
ああ、気持ちいい。
なんでオナニーと違って、射精する場所が違うだけでこんなにも気持ちいいのか。
最初は、僕と倉林さんの相性がぴったりだからだと思っていた。
でも、多分違う。
これは単なる本能。
人間が何億回ものセックスを通して子孫にプログラミングしてきた、生理現象だ。
「まぁ、もう、どうでもいいか」
「? 何か言いました? 先輩」
「いいや? それより、まだ僕は収まりつきそうにないんだけど」
魅了魔法レベル3:【大絶倫】を発動すると、半日射精しても勃起したままだ。
「私もぉ。もっともっと、これからもずぅ~っと、先輩とどろどろになるまで溶けちゃいたいですぅ。私のカラダ、先輩の好きなようにシてくださいっ」
僕と倉林さんは休憩する間も惜しむように唇を貪りあう。
ああ、きっと、セフレを作るって、こんな感覚なんだな。
童貞の時には理解できなかったけど、今ならわかる。
とにかく今は、ただ気持ちよければそれでいいや。
再び、ギシギシとベッドが軋む音が響き渡った──。
~◆~
明朝。朝五時。
一晩中、狂ったようにセックスしまくった僕。
全身を精液でべとべとのまま、ベッドの上で失神している彼女を置いて、ふらふらになりながら朝帰りをした。
倉林さんの家と僕の家は近いから、これからもお互いの性欲を満たすために往復することになるだろう。
僕と倉林さんの関係は、それでいい。
もうそれ以上、望まない。
「はぁ……さすがに【大絶倫(ストレングス)大絶倫】を使った後は疲れる……。性欲と言うより、単に栄養と、疲労が……」
筋肉を無理に膨張させ、絶倫を手に入れるその力。
代償として、【生命魔力】を消費していると気づいたのは、昨夜だった。
まあ、何回も膣内射精を通して精製された分と、割合的にはトントンだけど。
「またシトラスに無理させちゃったかな……」
僕がセックスして感じる快楽は全てシトラスに共有される。
ベッドにダイブしようとしたら、全力でオナニーしているシトラスに占領されている光景にはもう慣れた。
「ただいま……」
玄関の扉を開けて、自室のドアを開ける。
「あれ? 居ない……」
あえぎ声の一つなく、部屋は静寂に満ちていた。
そして机の上の置手紙を見つける。
どくん……。
僕の心臓が嫌な音を立てる。
幼稚な乱筆で、こう書いてあった。
『魔界に行ってくる』
「そんな! シトラス!」
勢いよく窓を開けて空を仰ぐ。
しかし、徹夜セックス明けの身体には眩しすぎる朝の陽ざしが降り注ぐだけだ。
「……そもそも、魔界がどこにあるのかなんて知らないしな」
天国が空の上にあるとするなら……魔界は地下?
じゃあどこか地底と繋がる穴を探せば……。
そんなことより、シトラスだ。
どうして居なくなった? 何か不満があった? 悪魔として力を取り戻したから?
もう僕は必要ない……?
「ダメだ。頭働かない」
冷静になれ。
僕は仕事柄様々な本を読んでいる。
その中には当然、不安や焦りと言ったメンタル対処法についての本も含まれている。
「よし、とりあえず朝シャワーだ。体温を上げて血流を促進。体温身体ベトベトだしね」
さっぱりとして、澄み切った頭でもう一度考えよう。
僕は廊下で勢いよく全裸になると、浴槽のドアを開ける。
「あれ? 電気つけっぱなし……」
僕は目の前の光景に、ペニスが一瞬で萎えるくらいの衝撃を受けた。
「まったく……。いつまで経っても帰ってこないと思いましたら……。いい御身分ですね」
シトラスと同じ背丈。
白髪のロングヘア。
陶器のような白い肌に、天使の輪っか。
「み、みみみミカエリ!? どうしてここに……?」
そういえば、倉林さんと会ってた時、姿を見かけなかったけど……。
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