【完結】【R-18】三十歳童貞を貫いて魅了魔法を習得。先輩に復讐H、好きな子と即ハメして決意する。「それは、僕自身が淫魔になることだ」

湊零

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第二章『告白H。職場のかわいい新社会人に膣内射精したい』

第二十九話「喧嘩」

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 一九時。

「倉林さんとセックスして、仕事は定時で帰れる。ああ。生きてるって感じだなぁ」

 僕──日高宋真は、定時帰り後の時間で、趣味の読書を謳歌していた。

「文芸やSFもいいけど、仕事終わりは官能小説に限る」

 自室の本棚に敷き詰められた本の中から、一冊を取り出し、ベッドに寝転がった。
 この前シトラスが僕の名前を呼びながらオナニーしていたベッドで。

 タイトルは『気になる隣のOLから、『残業しながらセックスしよ?』と言われたので』だ。

 内容はもちろん、こんな感じだ。

 倉林さんのような可愛いヒロインが、ある日突然セックスに興味があることを主人公に打ち明ける。
 その日から、ヒロインとエッチな残業の日々が始まって……という感じ。

 今時ありがちなジャンル。

 けれど今の僕にとって、興奮度は三倍。

「この晴美っていう巨乳ヒロイン、倉林さんとそっくりなんだよね」

 主人公が残業中、突然ヒロインから抱き着かれ、豊満な巨乳を押し付けられる。

『誰もいないですし、今日も秘密の残業、シたいです、先輩──っ』

 ズボンの中で僕の息子が起き上がる。
 登場人物と自分を重ねられるからだ。

「倉林さんと付き合えたら、晴れて堂々とセックスできるわけか。その内、遊園地の帰りにラブホに泊まったりして。そのまま……ごくり」

 恋に悩む乙女のように悶える僕。
 普段なら五秒後には『何してんだ、僕』ってなるけど、今はどうでもいい。
 
 そこへ、玄関が開く音がしたと思ったら、シトラスが帰ってきた。

「シトラス! どこ行ってたの? 先に帰ってたかと思ったよ」

「……すまぬ。少し、用事があってな」

「身体は大丈夫? ミカエリが放った光線がシトラスを貫いた時、とても不安で──」

「ああ。先も言ったが、致命傷は避けた。大したことはない。フフ、セックスして忘れたかと思ったら、ちゃんと覚えてる所、宋真の優しさが光るな」

「シトラス、見てたの? あ、感覚共有してるもんね。そうなんだよ! 僕、あの倉林さんとシたよ、セックス。ゴム有りだけど」

「そうか。それはよかったな」

「シトラスと出会ってからどんどんエッチなことができて、幸せだ……ってシトラス? なんか元気ない?」

 部屋に入ってくるなり、シトラスは空中で体育座りをしながらゆっくり回転している。
 何か思い詰めているようだ。
 口調こそいつもの大悪魔モードだけど、なんというか覇気がない。

「う、ウム。そ、宋真が好きな倉林聡美について、大事な話があるんだが──」

「大事な話? うんうんっ、僕もいつかまたチャンスが来たら告白しようと思うんだ。『大事な話があるんだ』って。倉林さんは僕に処女を捧げてくれたんだし、きっと両想いのハズだから大丈夫だよね?」

「聞け、宋真」

「え?」

 空中でピタリと静止すると、シトラスは思い切ったように口を開いた。

「宋真の好きな倉林だがな。……木山とかいう男とセックスしていた」

「……へ?」

 突然の告白に、僕は耳を疑った。
 倉林さんが、なんだって?
 うまく聞こえなかったなぁ。

「倉林さんが、僕じゃなくて他の男と? いやいやそれはあり得ないよ」

 僕はおかしくて笑ってしまう。

「木山君は倉林さんのOJT担当で、僕とはあまり話しことはないけど、そういう関係じゃない」

「……証拠はあるのか?」

「証拠って……特にないけど」

「宋真。悪いことは言わん。傷が深くなる前に、倉林のことは忘れて他の女とセックスしろ。相手がいないなら新たに仕事を探せ。今の我ではミカエリにも太刀打ちできないし、丁度いい頃合いだ」

「ちょっちょっと勝手なこと言わないでよ、シトラス。やっと僕にも人並みの幸せが来そうって時なのに、どうしてそんなテキトーなこと言うのさ」

「テキトーではない、我は見たのだ!」

「じゃあシトラスの方こそ、証拠はあるの?」

「……それは」

 ばつが悪そうに視線を逸らすシトラス。
 さっきから倉林さんから僕を遠ざけようとしてくる。

 一体何なんだ。
 さっきまでの幸せな妄想をぶち壊された気分になって、少し苛立ってしまった。

「もうこの話はおしまい。僕は好きで図書館司書になったんだし、シトラスには悪いけど、今は倉林さんのことしか頭にないから」

「そんな。では我の【生命魔力マナ】はどうなるのだ?」

「心配しなくたって、僕と倉林さんが付き合えばいくらでもセックスできると思うよ。あ、でも膣内射精なかだしを許してくれるかはわからないけど──」

「ふざけるな。そんな悠長に待たなくても良いように、宋真に【魅了魔法】を教えたのだ」

「でも、好きな人を魔法で無理矢理ってのも気が引けるし──」

「もういい! 宋真のバカ! 勝手にしろ!」

 シトラスは業を煮やして後ろを振り返る。
 背中から生えた羽が、悲しそうに震えていた。

「し、シトラス──?」

 小さな悪魔の、涙交じりに震える声が、小さく僕の鼓膜を突き刺した。

「私は悪魔だけど、宋真が傷つくところは見たくないの……」
 
 パタン。
 玄関の扉が閉じられた。
 一人になった僕の部屋は以前のように、再び静かになった。
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