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第一章『復讐H。職場の嫌いな女先輩』

第九話「相手のHな妄想を覗ける魔法」

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 僕は退院までの二週間、ベッドの上でシトラスから魔法訓練としてしごかれた。
 訓練と言っても難しいものではない。

「我から宋真に流れる魔力を、指の先で、玉のような形にまとめるのだ」

「こうかな?」

「ウム。センスいいぞ。宋真が魔族出身だったら、あっという間に上級悪魔になっているかもな」

 後は、呪文というトリガーと同時に放出、拡散する。それだけらしい。
 便利な世の中だ。
 普段からファンタジー小説を読んでいるから、魔力の流れという感覚的なものでも、イメージがしやすかった。

 ついでに、しごかれたと言えば、下半身も一緒だった。
 ギンギンに朝勃ちしてるのに、自分では慰められないのが辛すぎて。
 シトラスも『フフ、我が射精管理してやろう』なんてノリノリだし。

「宋真の射精、濁流のように止まらないな。我もしごき甲斐がある」

「だって、シトラスの手が気持ち良すぎるんだ」

「ほう、ではあえてカリ首だけしか触らなかったら、どうなるのだ?」

「え、そんな……っ!」

 面白がってあえてお預けされたりもして、大分辛かった。
 けれどその分、ひんやりと小さい手で導かれた時には、天国にも昇る心地だった。
 気持ち良すぎて、もう自分の手じゃ満足できない。

 でも、そろそろ手コキだけじゃなくて、もっと別のこともしたくなった。
 そう、例えば、フェラとか。
 女の子の口にペニスを入れるなんて、未だお時話のように信じられない。

 こんな感じで、シトラスのおかげで入院生活は全然退屈しなかった。

 退院まであと一週間。
 その夜。

「さすが我の見込んだ男だ。火や雷といった攻撃魔法の才能はゼロだが、【魅了魔法】の適正はすこぶる高い」

 ……とのことだ。
 魔法の才能がある、なんてちょっとワクワクしちゃう。

「では宋真、実践だ。今教えた魔法を、試しにそこの女に使ってみろ」

 視線の先には、二十代と思われる若い看護師。
 彼女は、僕が食べ終わった夕食の食器を片付け、部屋の汚れた箇所を掃除している。

 僕は無言で頷く。
 シトラスの姿は、契約者である僕にしか見えないらしい。
 だから、うかつに声を出したら不審がられる。

 僕は左手の親指を曲げ、看護師の後ろ姿に照準を合わせた。
 指先に魔力が充填されるのを実感し、小声で囁く。

「魅了魔法レベル1:【愛の読心リーディング・リビドー】」

 親指の先から、僕とシトラスにしか見えない、薄桃色の光線が射出される。
 看護師さんの背中を貫通し、糸電話のように僕と繋がった。

 途端、脳裏に看護師さんの声が流れてくる。

『はぁ。今日も夜勤かぁ。今日は付き合って一年の記念日だから、あっくんと沢山エッチしたいのに……。病院のトイレで慰めるだけじゃ、切ないよぉ……』

 えっ。
 目の前の看護師が突然喋ったかと思って、声が出そうになった。

『そう言えば、この部屋っていつもエッチした後みたいな匂いでいっぱいなんだよね……。あ、ヤバ……考えてたらまた濡れちゃいそ』

 心臓がドキドキする。
 これは看護師さんの心の中の声だ。
 何でもないような澄ました顏して、僕の隣でエッチなことを考えている。
 
『そうそう、この人、毎日朝勃ちがスゴいんだよね。どうしよう。……見たい。ギンギン固くなっているおちんちん、舐めてみたい』

「ヴえっ!」

「え?」

看護師が振り向いた瞬間、砕けるようにピンクの光線は砕けてしまった。

「……ねぇ、日高さん。具合はどう?」

「あ、おかげさまで……」

 看護師は赤面しながら僕の股間を見つめている。
 それもその筈。
 今日もシトラスにしごいてもらった筈のペニスが、垂直に天を仰いでいたからだ。

「辛そうだね。私が楽にしてあげよっか」

「え、でも。そ、それってつまり……?」

「もう、分かってるクセに。その代わり、今からすること、ナイショにしてね?」

 人差し指で『シーっ』というジェスチャーをすると、後ろ手で仕切り用のカーテンを閉めた。
 
 疑似的な密室が出来上がる。
 そして看護師さんは僕の身体に跨ると、看護服を大胆に脱ぎ始めた。
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