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『同級生に女装コスプレしてたのを見られちゃいました。』
女なんじゃね? ※
しおりを挟む「………誘ってんのか?」
その声は泰我の喉奥から出て、僕のことを喰らいたいと言っていた。その声に息がつまって、ごくんっと喉を鳴らす。
「……へっ?」
誘ってる?
どういう意味?
泰我に言われた言葉の意味が分からず、顔をまた上げてきょとんと首を傾げてしまった。
目が合った瞬間、僕の身体はベッドにボフッと沈められていた。視界が急に変わって天井が見える。
「ふえっ?」
びっくりして間抜けな声が出てしまった。
仰向けでベッドに寝かされると、泰我が僕に覆い被さってくる。
こちらを見る泰我の目は、なんだか余裕がなくて……。
吐く息も熱っぽく、いつもクールな泰我と違って色っぽい。
「……この無自覚が…。覚悟しろよ?」
耳に囁かれた声は、いつもより低くて僕はぞくっと鼓膜が震えて、身体に熱が広がっていく。
吐く息も熱っぽく、クールな泰我の雄の部分を垣間見てしまった。
色気が凄すぎる。
「んっ!…んくっ……。」
泰我の唇が、また僕の唇を食べられた。
この行為が、さっき気持ちが良いものだと教え込まれた僕は、すぐに唇を開いて泰我を招き入れてしまう。入り込んだ舌は、また僕の舌を絡めとって、くちゅりっと水音を奏でる。
泰我とのキスが気持ちいい。柔らかい唇の感触も、舌を舐められるねっとりとした熱も、ぞわぞわと背中に欲情が昇っていく。
キスをしている間に、泰我の手がニットの中にするっと入って僕の腰を指で撫でる。もどかしく指の腹で擽るように撫でられた、くすぐったさに身を捩った。
泰我の指は腰から、僕の筋肉のついていないお腹を撫でまわし、徐々に上へと這わされる。
ニットを胸元までたくし上げられたときに、僕はすっかり忘れていたことを思い出したのだ。
まずい!
泰我にアレを見られちゃう!!
でも、思い出したときにはすでに遅かった。
泰我は目を見開いて、珍しく驚いた顔をしていた。
「……これ、なんだよ?」
僕の胸には女性用の下着、いわゆるブラジャーをつけていた。
オレンジとか暖色系のチェック柄で、紺色のフリルがほんの少しあしらわれた可愛いデザインだ。
「っ!……これ…は…。その…。」
これは、姉に着るように言われたのだ。ブラジャーには多少パッドが入っていて、女性の胸の膨らみの代わりになる。
僕はつけるのが嫌だったけど、姉に『胸がぺったんこ過ぎると男だってバレるかもよ?』と説得されて、渋々着てきた。
普段、絶対につけることのないブラジャーに、僕は存在自体も忘れてしまっていた。
どうしよう……。泰我に女性の下着をつける変態だと思われてしまった。
恥かしさと、自分の情けなさに、視界が滲んでいった。声も震えて、それこそ泣き出しそうだった。
「……み…な、いで……。」
泰我に気持ち悪いと思われたくない。
両手でニットを下げようとしたけど、泰我の左手で塞がれてしまう。僕の非力な力では、到底勝てるはずなんかない。
居た堪れなくて左側に顔を背けてしまった。
「……んで?なんで女物の下着付けてんだよ。」
軽く両胸の間の部分に指をひっかけられて引っ張られ、指を外されてピチンっと身体にブラザーが当たる。少しの痛さでひうっと喉が鳴った。
「……姉ちゃんが、着けて、いけって…。…胸が、ないと、男ってバレるから……。」
最後のほうは声が小さくなっていった。
もう、やだ……。
ぐすっと僕は涙ぐんで、泰我に途切れ途切れに説明した。ちゃんとした理由があることを、泰我にも理解してほしい。
とうとう目をぎゅっと閉じたら、涙がポロリと零れてしまった。
ううっ……。
僕は変態じゃないもん。ぐすんっ。
「……わかったから、泣くな…。」
頭にそっと泰我の手が触れて、そのまま頭を撫でられる。よしよしと宥めるように何度も、優しく髪を梳いていく。大きな手が心地よい。
「……可愛い。」
ぼそっと、泰我が何か呟いた。ちゅうっと僕の目じりに唇を寄せて、零れた涙を食べられた。
涙を食べた唇は、頬や鼻、唇にちゅっ、ちゅっと触れるだけのキスを落としていった。
その柔らかくて温かい仕草に、僕の心も落ち着いてくる。
頭を撫でていた手が離れいくと、僕はすこし名残惜しくなって泰我を見つめ返した。
もっと撫でてほしい。
「………そんな、顔すんな……。」
右手で髪をかき上げた泰我は、はあっとため息を一つ吐いた。
左頬を泰我の手の甲がするりと撫でていく。
そのまま左頬を手の平で包まれた。気持ち良さに目を細めてしまう。
頬を撫でていた右手は、するりと首筋に移り鎖骨を手の平が滑っていく。
ブラジャーの上を通って、下からブラジャーの中に手が忍び込んできた。膨らみのない胸を、泰我の指がなぞっていく。
泰我はブラジャーを上に押し上げると、僕の小さな突起を露わにした。
二つの突起が泰我の目に晒されて、普段意識したことがないのに、隠していた分何だか恥ずかしい。
左胸を撫でていた指が、突起の周りにある皮膚の薄い部分を撫で回す。ふっと息が出て、悩ましげに吐息が出てしまう。
……なに?
さわさわと変な感じがするし、さっきの下半身の熱がまた疼き出している。小さな突起の先端を、泰我の指がクリクリっと弄った。
「っんあ?!」
焦らされていた小さな果実は、やっときた直接的な刺激に喜んで、びくびくっと身体が跳ねた。
なんで?
僕、女の子じゃないのに……。
戸惑いと与えられる刺激で、頭は混乱しているのに、身体は素直に快感でピクピクと反応する。
先端を捏ねられると、また僕のモノが徐々に勃ち上がっていくのを感じた。
僕、乳首でほんとに感じちゃってる……。
「……ここでも感じるとか、於莵はマジで女なんじゃね?」
僕の小さな果実を指で捏ねながら、泰我はチロリと唇を舌舐りした。
意地悪な笑みを浮かべた顔に、僕のモノはきゅっと反応して更に硬くなってしまったんだ。
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