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『ご主人様に専属執事を辞める、異動届けを見られちゃいました。』
両片思い(清都side)(少し濁音)※
しおりを挟む上気して朱色に染まった頬も愛おしくて、片手で包み込んだ。
ハルが無意識なのか、俺の手に頬を摺り寄せ、目を細めて気持ちよさそうにしている。
普段のキリリとした様子と違う、子猫のように甘えるハルは、本当に可愛い。
思わず、クスっと笑みが零れた。
「………さあ、ハル。…もっと、ぐちゃぐちゃになろうな。」
可愛く甘えていた顔が、とたんに怯えたような顔になる。
ハルの身体は素直で、私の言葉に反応してキュウっと締め付けてくる。
「あっ、あっ、んン……。も、…おゆ、るし…」
鎖をベッドの支柱から外して、手枷のみをハルに施した。よる深く繋がりたくて、ハルの身体を持ち上げて向かい合わせに座らせる。
許しを請うハルに構わず、下から何度も突きあげる。
そろそろ、聞いて良い頃合いだろうか?
ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっ、パン!
「んあっ!」
ハルの形の良い尻を鷲掴みにして持ち上げ、下に降ろすと同時に腰を上に突き上げる。
自分の重みで降ろされたところに、下から楔を打たれるのは刺激が強いようだ。喉を仰け反らせてハルが甘い声を漏らした。
「……ハル、異動届を出した本当の理由は?」
先ほどのハルの言い分は、明らかに嘘だ。
ぼんやりと思考が定まっていない今なら、本音を漏らすだろう。
「……兄貴が好きなのか?」
違うと、左右に首を振って即座に否定された。
兄貴のことが原因でないのなら、他に考えられることは…。
「……じゃあ、俺のことが嫌いになった…?」
自分で言いながら、ツキリと胸に小さなとげが刺さったような痛みが走る。でも、あとはこれぐらいしか浮かばなかったのだ。
「っ!ちが___。」
これも否定するとなると、俺から離れる理由だ全く分からない。
教えてほしいと願いながら、両足の上に座るハルの顔を見上げる。
再度ハルに問いかけると、ハルは視線を反らしたまま黙ってしまった。
どうして…?
どうして、何も教えてくれないんだ?
なぜ、そんなに辛そうな顔をして黙っている?
胸の内を明かしたいけど明かせない、
切なげな表情をしていた。
チッと舌打ちをして、ハルの信用に足りえていない自分に苛立った。
寂しい。哀しい。
こんなにも長い間、ずっと傍にいるのに。
こうなったら、何が何でも言わせてやる。
律動をさらに激しくして、ハルを揺さぶった。奥を何度も突いて、鷲掴みにした臀部を回して中をかき混ぜた。
目の前にある果実も貪ってやると、ポロリとハルが言葉を零した。
「きよ…と様と、離れたい…。…くるしい…から…。」
潤んでいた瞳から、涙が一粒零れ落ちていき、ハルの滑らかな頬を伝っていく。
俺といると苦しい…。
気持ちがもう、俺には向かないということか。
ヒビが入っていた心が、ガシャンっと一気に壊された感覚がした。鋭く尖った破片がグサグサと突き刺さってくる。
何が苦しいのか聞いても、また口を引き結んで、左右に首を振って答えてくれない。
……くそっ。
「やぁっ!もっ、…あっ!あ``っ、あ``あ``ぁあ!」
激情に任せて俺は腰をハルに打ち付けた。ハルは過ぎる快感が苦しいのか、嬌声に交じって呻き声を上げてしまっている。
「…はぁ、ハル、ハル…。」
俺を頼って。俺だけを見て。俺のモノでずっといて。
ハルの身体がガクガクと震えだして、中もキュウ、キュウと締め付けが小刻みになる。仰け反った首筋に牙を立てると、ハルは呆気なく達した。
しかし、熱を持っていたハルのモノからは何も出ていない。どうやら、中だけで達したらしい。
メスイキというやつだったか。
これなら、ハルは何度でもイケるな。
ハルの中は未だに収縮しているけど、躊躇うことなく腰を動かして、凶悪な自分のモノを抜き差しする。
グリっ、ゴリっ、ぱちゅん!
「~~!!…イッ、て!…あっ、やぁあっ!イッて、ます!…ま、た!あ``あ``~~!!」
程なくして、またハルが何も出さずにイッた。瞳からはポロポロと涙が零れて、いつもの美しい顔が快感に歪んでいる。
「……ハル、墜ちろ。俺に。」
このまま、快感で頭を犯して。
身体は俺のモノしか入らない様にして。
全部俺に委ねて、墜ちればいいんだ。
この手の中に墜ちてくれれば、たっぷり甘やかして、何度でも愛情を注いでやろう。
その日の夜、俺はハルが意識を失うまで何度も抱き続けた。
翌朝、俺と一緒のベッドに寝ていたハルは情事の疲れなのか全く起きなかった。
一晩中抱いたのだから、疲れて当然だな。
ハルの手枷は昨晩のうちに外しておいた。ハルには寝巻を着させたが、鎖骨の部分には俺の噛み痕や所有痕がくっきりと残っていた。
これからのことを考えて、はぁとため息をついた。
自分でも愚かなことをしたと、重々分かっている。
でも、一線を越えてしまった以上は、とことんやるしかない。
このまま、ハルが異動を取り消すまで、俺と一緒に別荘に居てもらう。
仕事はリモートでどこでもできるし、優秀な部下たちがいるため何ら問題はない。
俺に気持ちがないことは、昨日の時点で分かってしまった。でも、ハルの存在を渇望する自分が止められない。
ハル、ごめんな。
何が何でも、俺のモノで居てもらうしか、もうないんだよ。
気持ちのない形だけの愛だったとしても、
ハルから与えられるものだったら、なんだってよかった。
昼頃になると、ベッドルームから咳き込む声が聞こえてきた。ハルが起きたのだろう。
声が枯れるまで喘いでいたから、喉が傷んでいるのだろうな。ハルの分の軽食を盆に乗せてベッドルームのドアを開ける。
ハルが起き上がるのを手伝って、背中にクッションを置いて姿勢を安定させる。
無理矢理抱いたのに、ハルは俺の手を拒むことはなかった。
しばらくの沈黙が続いたあと、昨晩から何度もしつこく聞いていることを、繰り返した。
「お願いだ、ハル。俺のことが嫌いになってのではないなら、何に苦しんでいる…?俺は、ハルを失いたくない。教えてくれ。俺の何を差し出せば、ハルは一緒にいてくれる?」
ハルが一緒にいてくれるのなら、
俺の全部を差し出そう。
何が欲しい?
自然と、ハルに縋るような声音になってしまった。
お願いだ。どうか、これ以上俺に酷いことをさせないでほしい。
本当に愛しいハルを壊してしまいそうなんだ。
返事を待っていると、予想外の言葉が返ってきた。
「…想いを抱えたまま、お傍にいるのが苦しいのです。私は、清都様をお慕い申しております。」
えっ?
今、なんと言った???
聞き間違いだろうか?
そのあとのハルの言葉は全く頭に入ってこない。再度ハルに問いかけると、やはり先ほど聞いた言葉と同じことを言われた。
「……清都様を、お慕い申しております、と…。」
なんだと…。これは、もう愛の告白じゃないか。
つまり、ハルは俺に恋情を抱いて、叶うことのない恋だと思い込み苦しんでいたと。
なんということだ。もう、全く自分の馬鹿さ加減に恥かしくなってくる。
嬉しいやら、嫉妬にまみれた自分の行いがクズすぎるやらで、頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「俺は、ハルを愛してる。もちろん、親愛じゃない。恋情だ。」
俺からも告白をすると、ハルは目を瞬かせて、声を出して驚いた。
お互いに、近くにいたのに初恋だったから拗れてしまったようだ。
両片思いというやつだろう。
ハルの左手をそっと持ち上げて、左手の薬指に口づけを落とす。
「一生、俺の傍にいろ。ハル。」
別荘にいる期間中に、宝石商に連絡して結婚指輪の準備を進めておく。屋敷に帰ってすぐにハルと指輪を選ぼう。ハルの両親にも約束を取り付ける。
異動届はもちろん、白紙に戻った。
俺は、今度こそ手放す気はないと、銀色の指輪という枷でハルを束縛した。
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