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『兄の部屋で電マ使ってるの見られちゃいました。』
可愛い義弟は、ちょっとアホの子。(祥真side)
しおりを挟む祥真side
義弟の佐藤皐月と初めて会ったのは、
俺が小学校高学年の時だ。
俺の父親と皐月の母親が再婚して、血のつながらない兄弟になった。俺は義弟ができると聞いたとき、正直面倒だなって思った。年下の子供が苦手だったし、急に義弟と言われてもどう接すればいいか分からなかった。
大人しくい子が良いなと思うくらいで、さほど興味もなかった。皐月と初対面したときの印象は、『ポメラニアンみたい。』だった。
少し茶色っぽい髪に、茶色の瞳。人が懐っこくて、笑うと八重歯が見える。顔にすぐ感情が出るから、分かりやすかった。頭の上には三角形の小さい耳が見え、お尻にはしっぽが見えるように感じた。
シュンとすると耳としっぽが垂れるし、嬉しいと耳がピンとして、しっぽがブンブン振り回されるみたいな。
……なんか、可愛いな。
最初は小動物を愛でるような、そんな感覚だったと思う。ちなみに、俺に会ったときの皐月の第一声は、「お空みたい……。キレイ。」だった。まだガキだった俺は、自分の瞳の色が周囲の人と違うことを気にしていた。
当時は学校でも揶揄われたことが何回もあったし、待ちゆく人にも二度見されたことがある。気持ち悪がられたことだってあった。
親の再婚のこともあって、結構冷めた少年だったと思う。そんなひねくれた俺に、皐月はいつもまっすぐに、俺の瞳を見てこう言ってくれたのだ。
「ショウおにいちゃんの目は空の色。キレイで好きだよ。」
純粋な心のままに言ってくれたその言葉が、心を洗ってくれた気がした。皐月が目を綺麗で好きだと言ってくれたおかげで、俺はこの祖父譲りの目も好きになれた。
俺によく懐いてくれた皐月は、本当に可愛くて仕方なかった。後ろをついて回ってくるし、俺を慕ってくれていると感じられるのが嬉しくて。
皐月は小さい頃、俺のことを『ショウおにいちゃん』と呼んでいた。その呼び方が舌足らずで可愛くて、練習と称して何度も呼ばせたことがある。本人はあまり覚えていないだろう。
年を重ねるにつれて『お兄ちゃん』と呼ぶのが恥ずかしくなったようで、今は『ショウ兄』と呼び方が変わった。
お兄ちゃん、少し寂しい……。
俺たちは本当の兄弟のように仲が良い。でも、時が経つにつれて、俺は皐月のことをただの義弟として見れなくなっていた。
もともと、特別な存在だった。
俺を慕ってくれる年の少し離れた義弟。
灰色だった日常に、太陽のような明るくも優しい光を与えてくれる。皐月といると安心するし、なにより心が満たされた。
愛おしい。もっと触れたい。
俺だけにその笑顔を向けてほしい。
皐月の何もかもを独り占めしたい。
そう思った時に、家族としてではなく、恋愛対象として、『ああ、俺は皐月を好きなんだな。』と気が付いた。
ただ、いくら血がつながっていなくても、兄弟だ。
それに男同士である。
皐月は健全な男子で、女の子が好きだし。
義弟には幸せになってほしかった。
だから、自分の感情を抑えるためにも、皐月に全寮制の男子高校への進学を勧めた。
俺の母校でもあるその男子高校は、実家から距離が離れていた。
少し距離を取れば、義弟を想う感情も鎮められるかもしれないと考えた。
全寮制高校ということで、皐月も最初は戸惑っていたが、俺の母校だと教えると安心したようだった。
充実した施設に、なにより運動部、文化部ともに部活動が盛んで、珍しいものもたくさんある。
皐月のほかにも、同級生が何人か受験すると聞き、その高校に進学すると決めたようだ。ちなみに、男女共学を勧めなかったのは俺の我儘だ。もし、皐月に彼女ができてしまったら、気が狂うかもしれないと思った。
高校に皐月が進学して、毎日会えなくなった。
寂しい気持ちも強かったが、同時にほっとした自分もいた。一緒にいる時間が長い程、皐月への気持ちを抑えられる自信がなかった。
いつか、襲ってしまうとさえ思っていた。
年に数回会うのくらいが、今の俺にはちょうどいいのかもしれない。
そんな俺の恋の相手である義弟にも、一つ心配なことがあった。ちょっと天然というか、どこか抜けているというか……。
俺の義弟は、ちょっとアホな子なのだ。
頭が悪いとか、勉強の成績が悪いとかではない。成績はむしろ良い。人の気持ちも考えることができる、イイ子である。
でも、どことなく抜けていて、そそかっしい。
人に対しての警戒心もあまりない。
そこが可愛くもあるのだが、結構、義兄としては色々心配だ。悪い男か女にでも誘われて、そのまま連れていかれそう。しかも、本人は引っ掛かっていることに気が付いていない、みたいな。
これから俺が、注意してしっかり見守ろうと思っていたのだ。
……だが、今回の件は義弟を本当にどうしようかと思った。
_________________________________
夏季休暇中、友人との用事も早めに終わらせて帰宅した。両親は旅行に行っていて、家には皐月一人だった。
一人で留守番している可愛い義弟に、美味しいケーキも買った。今日は両親もいないし、夕食は皐月の好きな生姜焼きでも作るか。
皐月が美味しそうに食べている姿が目に浮かぶ。
ああ、早く会いたいな。
皐月と一緒にケーキを食べて、のんびり過ごすのもいいなっと思っていた。
だから、友人との用事は手短に済ませて、早く帰ってきたのだ。
皐月は全寮制の男子高校に通っているから、こうして会うのも久しぶりだった。
可愛い義弟とイチャイチャ……。
いや、じゃれ合いたい。
きっと二人で居られる時間も、あと少ししか残っていないだろうから。
少しでも長く、皐月と一緒にいたかった。
玄関の鍵を開けて家に入る。リビングには皐月はいなかった。
自分の部屋にでも籠っているのか。
俺は自分の部屋に荷物を置くため、2階に上がった。
階段を上がって、最初に俺の部屋があり、奥に皐月の部屋がある。
(……おや?)
ちゃんと閉めたはずの部屋の扉が、少し空いている。
皐月が入ったんか?
物の貸し借りとかは、兄弟ではよくあることだった。
お互いに、見られて困るようなモノも無いため、行き来は自由にしている。
扉に近づくと、スマホのバイブレーションのような、小刻みな音が微かに聞こえる。
??
なんの音だ?
そっとドアの隙間から中を覗く。
「っ!!」
目に写った光景に息を呑む。
目を瞑って、頬を赤くしている皐月。
口から熱い吐息と、我慢できていない甘い声が零れている。
そして、皐月の右手には、振動を無感情に与える機械が握られている。
この音の正体は、皐月が右手に握りしめている、電気マッサージ機の音だ。
電気マッサージ機、訳して電マ。
皐月は、電マの振動をもたらす部分を、股間部分に当てて戦慄いている。
快感に感じ入ってしまっているのか、身体はビクン、ビクンと時々跳ね上がっていた。
俺の可愛い義弟は、人の部屋に入って、勝手に玩具を使って自慰していた。
エッチな映像作品もびっくりな、とても卑猥で淫靡な絶景だ。
……って、待て待て。
こらっ!何してんだ!
あの電気マッサージ機は、友人の悪ノリだ。
去年のクリスマスに、プレゼント交換をして当たってしまったのだ。
必要のないものだから、ベッド下の箱に仕舞っておいた。
自分で使ったことは無いし、人に使ったこともない。
どんな拍子で見つけたのかは知らないが、皐月はそれを手に持って、あろうことか股間に押し当てている。
皐月の身体はカタカタと震えて、口はだらしなく開いていた。
幼い風貌は快楽に蕩けて、淫靡な雰囲気を漂わせている。
どうやら自慰に夢中になっていて、俺が帰ってきていることにも気が付いていない。
というか、ここが俺の部屋だということも忘れてるんじゃないか?
自分の部屋でするか、ここでするにしても鍵ぐらいかけろよ。
なんて無防備すぎる……。
これは、少し頂けないな。
俺の部屋で、勝手にエッチな道具使って自慰してる。
快楽に浸っている姿を、勝手に見せつけて。
悩まし気に眉根を寄せた顔に、熱い吐息。
甘い声は抑えている分、もっと鳴かせたくなってしまう。
人の気も知らないで……。
もっと皐月の痴態を見たいけど、
義兄としては、ちゃんと躾けないといけない。
……と、いうことで。
皐月には、きつーい『お仕置き』をすることにした。
ドアをノックして、部屋に入る。
皐月は面白いくらい身体をビクッと大きく震えさせ、時が止まったように固まった。
おーおー。驚いてるな。
固まったまま動かない皐月に近づき、オレは事情聴取することにした。
皐月は、視線を泳がせながらも説明し始める。
皐月が手から落とした電マは、とっくに回収しておいた。
「……本当は電子辞書借りに来ただけなんだ……。」
学校に置いてきちまったのか。
それなら仕方ないな。
でも、なんで電子辞書借りにきて、電マでオナることになるんだ?
俺は相槌を打ちながら、皐月に話の続きを促した。
「でも、机の上にもないし困ってウロウロしてたら、ベッドの下にある箱に足をぶつけて……。」
「……それで?」
ドジっ子か。もう、可愛いな。
内心、皐月に萌えていた。
まあ、それで電マを仕舞ってあった箱を見つけたってことか。
「その……。なんかエッチな映像作品でも入ってそうな箱だなーと……。もし、入ってたら貸してほしいなー、なんて……。」
おい。義兄の性癖探ろうとしたんか。
しかも、自分にも貸してほしいとか、俺を殺す気か。
エッチな映像作品見て、シコッてる皐月を見たら絶対襲うわ。
まあ、皐月も立派な男子高校生だしな。
性的なことには関心があって当然だ。
皐月は、俺に自慰していたことを言い当てられて、罪悪感と恥ずかしさで俯いてしまっていた。
耳まで真っ赤にしている姿は、なんとも可愛い。
そして、未だに元気に勃っている皐月のモノ。スエットズボンの生地を押し上げて、窮屈そうにしている。
さっきまでの行為で、熱が冷めきっていないのだろう。
今からする『お仕置き』には、ちょうどいいな。
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