『ルームメイトの服を着てナニしているのを見られちゃいました。』他、見られちゃった短編集

雨月 良夜

文字の大きさ
上 下
23 / 61
『兄の部屋で電マ使ってるの見られちゃいました。』

可愛い義弟は、ちょっとアホの子。(祥真side)

しおりを挟む



祥真side

 

義弟の佐藤皐月と初めて会ったのは、
俺が小学校高学年の時だ。

俺の父親と皐月の母親が再婚して、血のつながらない兄弟になった。俺は義弟ができると聞いたとき、正直面倒だなって思った。年下の子供が苦手だったし、急に義弟と言われてもどう接すればいいか分からなかった。


大人しくい子が良いなと思うくらいで、さほど興味もなかった。皐月と初対面したときの印象は、『ポメラニアンみたい。』だった。

少し茶色っぽい髪に、茶色の瞳。人が懐っこくて、笑うと八重歯が見える。顔にすぐ感情が出るから、分かりやすかった。頭の上には三角形の小さい耳が見え、お尻にはしっぽが見えるように感じた。

シュンとすると耳としっぽが垂れるし、嬉しいと耳がピンとして、しっぽがブンブン振り回されるみたいな。

 

……なんか、可愛いな。

 

最初は小動物を愛でるような、そんな感覚だったと思う。ちなみに、俺に会ったときの皐月の第一声は、「お空みたい……。キレイ。」だった。まだガキだった俺は、自分の瞳の色が周囲の人と違うことを気にしていた。

当時は学校でも揶揄われたことが何回もあったし、待ちゆく人にも二度見されたことがある。気持ち悪がられたことだってあった。


親の再婚のこともあって、結構冷めた少年だったと思う。そんなひねくれた俺に、皐月はいつもまっすぐに、俺の瞳を見てこう言ってくれたのだ。

 
「ショウおにいちゃんの目は空の色。キレイで好きだよ。」

 
純粋な心のままに言ってくれたその言葉が、心を洗ってくれた気がした。皐月が目を綺麗で好きだと言ってくれたおかげで、俺はこの祖父譲りの目も好きになれた。

 
俺によく懐いてくれた皐月は、本当に可愛くて仕方なかった。後ろをついて回ってくるし、俺を慕ってくれていると感じられるのが嬉しくて。


皐月は小さい頃、俺のことを『ショウおにいちゃん』と呼んでいた。その呼び方が舌足らずで可愛くて、練習と称して何度も呼ばせたことがある。本人はあまり覚えていないだろう。


年を重ねるにつれて『お兄ちゃん』と呼ぶのが恥ずかしくなったようで、今は『ショウ兄』と呼び方が変わった。

お兄ちゃん、少し寂しい……。

俺たちは本当の兄弟のように仲が良い。でも、時が経つにつれて、俺は皐月のことをただの義弟として見れなくなっていた。


もともと、特別な存在だった。
俺を慕ってくれる年の少し離れた義弟。

灰色だった日常に、太陽のような明るくも優しい光を与えてくれる。皐月といると安心するし、なにより心が満たされた。


愛おしい。もっと触れたい。
俺だけにその笑顔を向けてほしい。
皐月の何もかもを独り占めしたい。


そう思った時に、家族としてではなく、恋愛対象として、『ああ、俺は皐月を好きなんだな。』と気が付いた。

 
ただ、いくら血がつながっていなくても、兄弟だ。
それに男同士である。

皐月は健全な男子で、女の子が好きだし。
義弟には幸せになってほしかった。

 

だから、自分の感情を抑えるためにも、皐月に全寮制の男子高校への進学を勧めた。

俺の母校でもあるその男子高校は、実家から距離が離れていた。
少し距離を取れば、義弟を想う感情も鎮められるかもしれないと考えた。

 
全寮制高校ということで、皐月も最初は戸惑っていたが、俺の母校だと教えると安心したようだった。
充実した施設に、なにより運動部、文化部ともに部活動が盛んで、珍しいものもたくさんある。


皐月のほかにも、同級生が何人か受験すると聞き、その高校に進学すると決めたようだ。ちなみに、男女共学を勧めなかったのは俺の我儘だ。もし、皐月に彼女ができてしまったら、気が狂うかもしれないと思った。


高校に皐月が進学して、毎日会えなくなった。

寂しい気持ちも強かったが、同時にほっとした自分もいた。一緒にいる時間が長い程、皐月への気持ちを抑えられる自信がなかった。


いつか、襲ってしまうとさえ思っていた。
年に数回会うのくらいが、今の俺にはちょうどいいのかもしれない。


そんな俺の恋の相手である義弟にも、一つ心配なことがあった。ちょっと天然というか、どこか抜けているというか……。

俺の義弟は、ちょっとアホな子なのだ。
頭が悪いとか、勉強の成績が悪いとかではない。成績はむしろ良い。人の気持ちも考えることができる、イイ子である。

でも、どことなく抜けていて、そそかっしい。
人に対しての警戒心もあまりない。

そこが可愛くもあるのだが、結構、義兄としては色々心配だ。悪い男か女にでも誘われて、そのまま連れていかれそう。しかも、本人は引っ掛かっていることに気が付いていない、みたいな。

これから俺が、注意してしっかり見守ろうと思っていたのだ。


……だが、今回の件は義弟を本当にどうしようかと思った。



 
_________________________________

夏季休暇中、友人との用事も早めに終わらせて帰宅した。両親は旅行に行っていて、家には皐月一人だった。


一人で留守番している可愛い義弟に、美味しいケーキも買った。今日は両親もいないし、夕食は皐月の好きな生姜焼きでも作るか。


皐月が美味しそうに食べている姿が目に浮かぶ。
ああ、早く会いたいな。

 
皐月と一緒にケーキを食べて、のんびり過ごすのもいいなっと思っていた。

だから、友人との用事は手短に済ませて、早く帰ってきたのだ。
皐月は全寮制の男子高校に通っているから、こうして会うのも久しぶりだった。


可愛い義弟とイチャイチャ……。
いや、じゃれ合いたい。

 
きっと二人で居られる時間も、あと少ししか残っていないだろうから。


少しでも長く、皐月と一緒にいたかった。




玄関の鍵を開けて家に入る。リビングには皐月はいなかった。
自分の部屋にでも籠っているのか。

 
俺は自分の部屋に荷物を置くため、2階に上がった。
階段を上がって、最初に俺の部屋があり、奥に皐月の部屋がある。

 

(……おや?)

ちゃんと閉めたはずの部屋の扉が、少し空いている。

 

皐月が入ったんか?


物の貸し借りとかは、兄弟ではよくあることだった。
お互いに、見られて困るようなモノも無いため、行き来は自由にしている。



扉に近づくと、スマホのバイブレーションのような、小刻みな音が微かに聞こえる。

 

??

なんの音だ?

 

そっとドアの隙間から中を覗く。

 

「っ!!」


目に写った光景に息を呑む。


目を瞑って、頬を赤くしている皐月。
口から熱い吐息と、我慢できていない甘い声が零れている。


そして、皐月の右手には、振動を無感情に与える機械が握られている。

この音の正体は、皐月が右手に握りしめている、電気マッサージ機の音だ。

電気マッサージ機、訳して電マ。

 

皐月は、電マの振動をもたらす部分を、股間部分に当てて戦慄いている。

快感に感じ入ってしまっているのか、身体はビクン、ビクンと時々跳ね上がっていた。

 

俺の可愛い義弟は、人の部屋に入って、勝手に玩具を使って自慰していた。


エッチな映像作品もびっくりな、とても卑猥で淫靡な絶景だ。

 

……って、待て待て。

こらっ!何してんだ!

 

 あの電気マッサージ機は、友人の悪ノリだ。
去年のクリスマスに、プレゼント交換をして当たってしまったのだ。


必要のないものだから、ベッド下の箱に仕舞っておいた。
自分で使ったことは無いし、人に使ったこともない。

 

どんな拍子で見つけたのかは知らないが、皐月はそれを手に持って、あろうことか股間に押し当てている。

 
皐月の身体はカタカタと震えて、口はだらしなく開いていた。

幼い風貌は快楽に蕩けて、淫靡な雰囲気を漂わせている。

 

どうやら自慰に夢中になっていて、俺が帰ってきていることにも気が付いていない。


というか、ここが俺の部屋だということも忘れてるんじゃないか?

 

自分の部屋でするか、ここでするにしても鍵ぐらいかけろよ。

なんて無防備すぎる……。

 


これは、少し頂けないな。


俺の部屋で、勝手にエッチな道具使って自慰してる。

快楽に浸っている姿を、勝手に見せつけて。
悩まし気に眉根を寄せた顔に、熱い吐息。
甘い声は抑えている分、もっと鳴かせたくなってしまう。

 

人の気も知らないで……。

 


もっと皐月の痴態を見たいけど、
義兄としては、ちゃんと躾けないといけない。

 

……と、いうことで。
皐月には、きつーい『お仕置き』をすることにした。

 


ドアをノックして、部屋に入る。
皐月は面白いくらい身体をビクッと大きく震えさせ、時が止まったように固まった。

 

おーおー。驚いてるな。


固まったまま動かない皐月に近づき、オレは事情聴取することにした。
皐月は、視線を泳がせながらも説明し始める。


皐月が手から落とした電マは、とっくに回収しておいた。


「……本当は電子辞書借りに来ただけなんだ……。」

学校に置いてきちまったのか。
それなら仕方ないな。

でも、なんで電子辞書借りにきて、電マでオナることになるんだ?


俺は相槌を打ちながら、皐月に話の続きを促した。


「でも、机の上にもないし困ってウロウロしてたら、ベッドの下にある箱に足をぶつけて……。」

 

「……それで?」

ドジっ子か。もう、可愛いな。
内心、皐月に萌えていた。

まあ、それで電マを仕舞ってあった箱を見つけたってことか。


「その……。なんかエッチな映像作品でも入ってそうな箱だなーと……。もし、入ってたら貸してほしいなー、なんて……。」

 

おい。義兄の性癖探ろうとしたんか。
しかも、自分にも貸してほしいとか、俺を殺す気か。       

エッチな映像作品見て、シコッてる皐月を見たら絶対襲うわ。

 
まあ、皐月も立派な男子高校生だしな。
性的なことには関心があって当然だ。

 

皐月は、俺に自慰していたことを言い当てられて、罪悪感と恥ずかしさで俯いてしまっていた。
耳まで真っ赤にしている姿は、なんとも可愛い。

 
そして、未だに元気に勃っている皐月のモノ。スエットズボンの生地を押し上げて、窮屈そうにしている。


さっきまでの行為で、熱が冷めきっていないのだろう。


今からする『お仕置き』には、ちょうどいいな。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

処理中です...