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『兄の部屋で電マ使ってるの見られちゃいました。』
箱の中身はなんだろなー。……?!?!
しおりを挟む学園の夏休み、オレは久々に実家に帰ってきた。
オレが通っているのは、全寮制の男子高校だ。実家も遠方にあるから、帰ってこれるのは長期休みの時だけだ。
家でゲームをしまくって、ダラダラと過ごして数日、そろそろ学校の課題をこなさないとヤバイ。
オレは、真面目に勉強に取り組むことにした。
今日と明日は、父も母も旅行に行っていて不在だ。大学生の義兄も出掛けていて、今は家にオレ一人だけである。
「やべ、学校に電子辞書忘れた。」
英文の訳をしているが、分からない単語が出てきてしまった。学校から持ってきた鞄の中を探しても、電子辞書がどこにも見つからない。
(しゃあない……。ショウ兄の借りるか…。)
ショウ兄は、血の繋がりのない兄だ。
本名は佐藤祥真。近くの大学に通っている。
オレが幼稚園児のときに、両親が再婚。
義父の連れ子がショウ兄だった。
義弟が言うのも難だが、ショウ兄はイケメンだ。
オレはあんまり頭が良くないが、ショウ兄は頭も良いし、背は185センチメートル以上ある。
黒髪短髪、耳にはピアスをしていて、なんと目は綺麗な青色だ。そのなんとも幻想的な瞳と、整った容姿が一層魅力的なのだ。
父方の祖父が外国人で、ショウ兄はいわゆるクオーター。目の色は祖父に似ている。
最初に会ったときは、瞳のあまりの綺麗さに見惚れてしまった。
空色の瞳は、太陽の光を反射して宝石のようで、ショウ兄の爽やかな美貌に良く似合っていた。
……王子様だ。絵本の王子様がいる。
オレは、青い瞳なんて童話に出てくる王子様でしか見たことがなかった。
だから、幼いオレはショウ兄をそう思ったのだ。
イケメンのショウ兄は、それはそれは、おモテになった。
俺が中学生の時は、「お兄さんに渡してほしい。」とか言われて、同級生の女子からお菓子を渡されたり。
「お兄さん紹介して」と言われたことは、数えない切れないほどある。
それこそ、両手、両足の指でも足りないくらいだ。
性格は、面倒見が良くて頼れる兄貴肌。
勉強も教えてくれる。
血が繋がっていないけど、本当の兄弟以上に仲が良いと思う。
ショウ兄はオレに優しいし、気にかけてくれるし、何よりカッコいい。
オレはショウ兄が大好きだ。
(ショウ兄、確か電子辞書持ってたよな……。)
オレはショウ兄の部屋のドアをそっと開けた。
オレと義兄はお互いに男だから、部屋の行き来は自由にしている。
(電子辞書借りるだけだし…。たぶん机にあるよな……。)
ショウ兄の部屋は落ち着いた色の家具が並び、お洒落な雰囲気だ。本棚は難しそうな本がたくさん並んでいる。フレグランス的な良い香りもする。
俺はショウ兄の机の上を見て、あれっと少し困った。
探している電子辞書が見つからない。
どうしよう。困った。
いつもなら、机の上に置いてあるはず……。
これでは勉強が捗らない……。
ただでさえ苦手な英語なのに。
さすがに引き出しとかを勝手に開けるのは、気が引ける。
うーんっと考えながら部屋の中をウロウロ歩いていたからだろうか。
俺はベッドの下にある箱に、足の小指を思いっきりぶつけた。
「~っ!!」
痛い。
小指が大きく腫れているのではと思うほど、痛い。小指千切れるんか?ちぎれちゃうのか?
悶絶して小指を手で覆い、その場にうずくまる。
大事ではないし、怪我もしてないけど地味に痛い。ダメージは絶大だ。くっそー。
「もう、なんだよ……。」
うずくまったから、ベッド下にある躓いた箱が目に入った。箱が重かったせいで、オレの足の小指と心は深傷を受けたのだ。
何が入ってるんだ?
その箱は、蓋がしてあり、中身が見えないようになっている。
そこで、オレは頭の中でピーンっと音がした。
待てよ……。
隠すようにベッドの下に置いてある
中身が見えないようになっている箱……。
もしや……。
この中には、ショウ兄のオカズ的なものとかが入ってるのでは?
普段は爽やかなショウ兄が、エッチな映像作品とか見てる姿が想像できない。
ショウ兄ってどんなやつが好みなんだろ。
カッコいい義兄も、やっぱり男だよな。
………気になる。めちゃくちゃ気になる!
高校生男子の好奇心を舐めるなよ!
人のモノを漁るのは良くない。だけど、好奇心には勝てなかったし、出来ればオレにもエッチなやつを貸してほしい。
ゴクリと唾を飲み込み、意を決して蓋を開ける。
「?!……えっ!」
オレは驚きの余り、箱の蓋を持ったまま固まった。
弱・中・強と書かれたスイッチのついた、白色の胴体。
上には、灰色のゴム製の、大きくて丸いものが付いている。
これは、エッチな映像作品で時たま出てくる、大人のオモチャ(本当は違う。健全な電化製品だ。)。
『電気マッサージ機』、訳して『電マ』だ。
ででんっと効果音がなりそうな感じで、箱の中に堂々と鎮座している。
しかも、コードレスタイプ。
目に飛び込んで来たものが、衝撃的過ぎる。
なんじゃこりゃ。
「うわ……。初めて実物見た……。」
ていうか、ショウ兄こんなの持ってんの?
彼女に使ってんのかな……。
リア充は爆発すればいいと思う。うん。
でも、この箱の中身をよく見ると、エッチなモノがこのマッサージ機以外にない。
どちらかと言うと、日常的には使わないような不要品が入っているように見える。
彼女に使って要らなくなったとか……?
こんな卑猥なものとは全く無縁そうに見える、爽やかなショウ兄もやっぱり男なんだな。
初めて見る大人のオモチャ的なものに、手にとってまじまじと見てしまう。
オレは、試しにマッサージ機の下部にあるスイッチをカチッと入れてみた。
電池ちゃんと入ってるか、知らんけど。
「うわっ。振動すごいな……。」
ヴィーッと機械音を鳴らしながら、丸い部分が小刻みに振動する。振動の強さを弱にしているが、手のひらに当てるとブルブルと跳ね返る。
普通に肩に当てれば、肩こりとかに良さそう。
身体に当てると、この振動がどんな風になるのか、面白くて実践したくなった。
「…んっ……。気持ちいいかも。」
左肩の首に近い部分に、そっと当ててみる。
ヴぅーという音を立てながら、当てた部分が震えるような感覚がする。
ちょうど勉強して、肩凝ってたし。
もう少し振動の威力を高めている。カチッとスイッチを押し上げて、『中』まであげた。
おー。効く効く。
エッチな映像作品だと、この震えるのを敏感なとこに当てて、女の子を責めるんだっけ。
女の子達は気持ち良さそうに、あんあん喘いでいたのを思い出す。すごくエロい。
変わった趣向のだと、男が女に攻められているのもあったな。
……………。
これ当てたら、そんなに気持ちいいのかな……??
思春期男子の勢いはとどまることを知らない。
単純に気持ち良いことに興味があるだけだけど。
さすがに裸に当てたりするのは怖い。
スエットの上からなら、振動もそんなに痛くないだろう。
俺は右手に持っていた電マをスエットパンツの股間部分に近づける。強さは一番弱い弱にして、ヴィーーと音がなる機械をゆっくりと押し当てた。
「ひっ!!………???」
最初には小刻みな機械的振動に動揺したけど、そのあとは違和感しかない。
なんっていうか、気持ちよくないって言うか……。
あんなに女性が喘いでいるのって、やっぱり演技なのかな……?
しばらく当ててみて、違和感に戸惑っていた。でも、徐々にこそばゆい震えが、じんわりとお腹の下に熱を生み出していく。
(あれ……?気持ち良くなってきたかも……。)
熱を感じ出したら、すぐだった。
「はぁあっ、……ンんっ……。」
機械の振動が快感を生み出すと、身体が知ってしまった。違和感しか感じないはずだったのに、とたんに熱が中心に集まっていく。
(やばっ……。なにこれ……。手でするのと全然違う。)
自分の手で慰めるときは加減ができるが、この無感情な機械はそうはいかない。
だったら、服の上から機械を離せばいいのに、股間部分に機械を押し当てている手は素直で、
もっと貪欲に快感を求めていた。
このまま、当て続ければ確実にイけるなと思って、もう少し強めに股間に押し当てようとしていた矢先だ。
コンコンッ。
「おーい。ひとの部屋で何してんだよ?」
部屋のドアからノックとともに、ここにいないはずの人物の声が聞こえて、驚いて声がしたほうを振り返った。
ショウ兄が、外出した服装のまま、長い足を組み、ドアに身体を預けて、両手を組んで立っていた。
顔の表情はどこか呆れ半分、面白半分といった感じで、目を細めている。
「ショウ兄?!」
なんで帰ってきてんだよ!物音とか全然気が付かなかった……。
ていうか、ここがショウ兄の部屋だってこと忘れてたわ……。
突然の部屋の主の帰宅に、動揺して身体が固まってしまった。右手に持っている電マが、間抜けにヴィィーっと鳴り続けている。
「んで、皐月は何してたわけ?……俺の部屋入って、その持ってるので何してたんだ?」
スタスタと歩いて、ショウ兄が俺に近づいてくる。爽やかなショウ兄の顔が、ニヒルに片方だけ口角を吊り上げて笑っている。
「これは……、そのー……。ほらっ!肩凝ってたからさー…。」
我ながら苦しい。とても苦しい言い訳だ。
ショウ兄から視線を反らす。というか、目が泳いでいるだろう。
「……ふーん。じゃあ、ここに当ててたってことは、そこも凝ってるってことか?」
「ひにゃっ!んな訳あるか!……ていうか、見てたのかよー…。」
いきなり股間をぎゅっと片手で握られて、少しの痛みに短い悲鳴を上げた。
そして、オレは恥ずかしさのあまり両手で顔を隠した。ポトリっと右手から電マが落ちる。
もう、お婿にいけない!
穴があったら入りたい!
おかんに顔向けできないよ!
あまりの羞恥に、いろんな言葉を心の中で叫んでいた。
俺の股間から手をヒラヒラと離すと、ショウ兄はニヤニヤと笑いながら聞いてきた。
「さーつき。正直に話せば、許してやらんこともないぞ?……お兄ちゃんは優しいからな。」
両肩に、ショウ兄の少し大きな手がポンっと置かれる。
うぅ……。
悪いことをしていた、という自覚はある。
オレは正直にショウ兄に打ち明けることにした。
「……本当は電子辞書借りにきただけなんだ……。」
ショウ兄の顔を見ることなど、居た堪れなくて
うつ向いたまま白状する。
「……ほぉう。」
ショウ兄が興味深いといった感じで、相槌を打った。
「でも、机の上にもないし困ってたら、ベッドの下にある箱に足をぶつけて……。」
「……それで?」
「その……。なんかエッチな映像作品でも入ってそうな箱だなーと……。もし、入ってたら貸してほしいなーー、なんつって……。」
ミイラ取りがミイラに的な感じだ。
我ながらアホだ。
もう、ショウ兄もオレの話を聞いて、面白がっているのが分かる。
「そしたら、これが出てきて……。これ、気持ちいいのかなって……。ちょっとした出来心でしてですね……」
最後のほうなんて、居たたまれなさ過ぎてもう変な敬語になった。
「…んで、自分でも試したくなって、電マでオナってたと。」
言わないで!そういう状況だったけど、わざわざ言葉にしないでよ!明け透け過ぎる!
心の中で悶絶して、顔は恥ずかしすぎて真っ赤になっていると思う。
もちろん、やっていたことをズバリと言われ、反論なんてできなかった。
ショウ兄の顔を見れなくて、俯いたままだ。
「~~っ!!最初はそんな気なかったの!大体、なんでショウ兄がこんなの持ってるんだよ!」
もう半ばヤケクソと言うか、逆ギレ気味にショウ兄に聞いた。
「それは、去年のクリスマスに、友達とプレゼント交換して当たったんだ。男子大学生の集まりだったから、悪ノリする奴もいたんだよ。」
誰だよ!
オレのカッコイイ兄にこんな卑猥なプレゼント贈ったのは。
ショウ兄には、こんな下品なものは似合わないのに。絶対シバいてやる!
「それよりさ、その中途半端におっ勃ててんの辛いだろ?」
「っ!!」
言われてみれば、俺は下半身に熱が溜まったままだった。電マの振動で勃起してしまったそれは、未だにスエットのズボンを膨らませている。
オレは、バッと自分の股間を両手で隠した。
情けないし、恥ずかしい。
「……皐月、こっち来い。」
そう言うとショウ兄は俺の手を引いて、ベッドまで誘導する。先にショウ兄がベッドのフチに座った。ショウ兄は両足を広げて座っている。
「ここ座れ。」
優しい笑顔でショウ兄が言った。
ショウ兄が俺に座れと促した場所は、ショウ兄の長い足の間だ。
「っ?なんで???」
「いいから、俺に背を預けるように座んな。」
オレは、義兄の部屋でオナってた罪悪感から、渋々言うとおりにした。
後ろからショウ兄に腕ごと抱き着かれる。
オレの身体は、ショウ兄の胸にすっぽりと収まってしまった。
「なにすんだよ……。」
よく、小さい頃にショウ兄としていた態勢だ。後ろからオレのことを抱きかかえて、本を読んでくれたり、頭を撫でてくれたりしていた。
背中に感じる体温が心地よくて、大好きだったな。
高校生にもなって、この態勢はこそばゆい。
でも、懐かしくてどこか安心する。
「大きくなったなー。でも、相変わらず俺よりは小さいままだけど。」
俺の頭の上に顎を乗せて、ショウ兄はクスクスと笑った。ショウ兄が笑う度に頭が微かに揺れて、響いてきてくすぐったい。
「ショウ兄がデカすぎんだよ……。」
俺の身長は170センチメートルにギリギリ届かない。まあ、平均よりやや下くらいだ。背が低いとか言わないでほしい。
ショウ兄は185センチメートル以上。モデル並みのプロポーションだ。やっぱり外国の血を引いているからだろうか。ウエストも高い。
ショウ兄は、グリグリとオレの頭に顔を押し付けている。
「可愛くていいじゃん。
……………てなわけで、お仕置きな。」
「……へっ?」
カチッという軽い音がして、ヴゥヴィィーと機械音が鳴っているのが近くで聞こえた。
????
あれ?
そういえば、オレ、電マどうしたっけ?
恐る恐る、機械音のした後ろのほうへ振り向く。
右側のすぐ近くに、ショウ兄の整った美貌と、澄み切った空色の瞳が見える。
俺と目があったショウ兄は、意地悪な顔をしてニヤリと口角を上げた。
やばい、この笑顔は何か企んでいる顔だ。
もう、嫌な予感しかしない。
目にほんの少し、涙が滲んでいたと思う。
それぐらい、俺は危機的な雰囲気を感じとった。
何をされるのかわからない。
恐怖で涙目になっているオレに、
ショウ兄は、とんでもないことを口にした。
「さーつき。やさしーいお兄ちゃんが、好奇心旺盛な義弟のために、エッチなビデオと同じようなことしてやるよ。」
「……っひゃい?」
ショウ兄の右手には、無慈悲にも振動し続ける電マが握られている。
ヴィヴヴーー
部屋に響き渡る、激しい機械音。
オレは、顔を引きつらせながら、間抜けで情けない声しか出なかった。
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