『ルームメイトの服を着てナニしているのを見られちゃいました。』他、見られちゃった短編集

雨月 良夜

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『ルームメイトの服を着てナニしているのを見られちゃいました。』

手伝うって言われて、追い詰められる※

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いないはずの人物の登場に、唖然とする。


「…えっ?涼…介……?…なん…で?」

何が起きたのか分からず、自慰をしていた状態のまま身体が固まった。まだ涼介が部屋に帰ってくるには早すぎる時間だ。


油断して鍵なんてかけていなかった。
行為に夢中になって部屋に入ってくる音にも気づかなかった。
 

「今日はコーチが全員、外部で会議だって。監督者がいないとき、練習は原則禁止。ミーティングだけで終わった。」

そう淡々と話しながら、涼介は少しずつベッドに近づいてくる。


涼介は制服のネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを2つほど外して首元を寛げさせた。
しぐさも様になっていて、男らしい鎖骨が露になる。


「…それよりさ。ユウちゃんは何してたの……?」

涼介に再度問いかけられて、自分の姿を思い出し一気に血の気が引いた。
今の俺は、顔が真っ青なっているだろう。

 
涼介のジャージの上衣を着て、下半身は露出している。間抜けなことに右手も、自分の陰茎を握ったままの姿だ。


何をしていたのかは一目瞭然で、自分の変態行為を好きな人に見られてしまった。
 

「……。これ…は、…そ…の……。」

開いていた両ひざを閉じ、罪悪感と不安、色んな感情が頭をかき混ぜ、何も答えられない。


涼介と目を合わせることなんて、とてもできず身体を小さくして俯いた。


後悔が押し寄せ、涼介が今どんな顔をしているのか見るのが怖くてたまらない。

同級生で同室の男が、自分の服を着て、下半身を露出させて自慰をしている姿は、涼介にどのように映っただろう。


身体が勝手に小刻みに震えだし、涼介に嫌われる不安で目がじわりと滲みそうになるのを堪えた。


ぎしっとベッドが軋み、大きな影ができる。
涼介がベッドに右ひざをついて見下ろしてくる。


下を向いたままぎゅっと目をつぶり、次に何をされる身を震わせながら身構える。涼介は小さくなった俺に近づき、左手と右手を壁に押し着けた。


俺は逃げ道を塞がれ、恐怖で身体にぶるりと悪寒が走った。

涼介は俺よりも一回り身体が大きい。
すっぽりと俺は涼介の腕の中に囲われてしまう。


本能から涼介と距離を離そうと後ずさったが、ひんやりとした壁に阻まれて全く動けない。


「…………じゃあ、俺が言ってあげようか。」


涼介は殊更ゆっくりと、俺に言い聞かせるように囁いた。

そっと俯いている俺の顎を右手で優しく持ち上げてきた。成すすべもなく顔を上げると、整った容姿が俺に近づいてくる。

鼻がくっつきそうな近い距離で鋭い目に射貫かれた。
 

なぜだろう。


涼介は心なしか、狩りをする獣のような目をしている。


ワザとらしく、甘くて腰に響かせるような低い声で。色気を纏わせた美形の男は、目に映っている真実を俺に囁いた。



「オレの服着て、オ〇ニーしてたんでしょ?」


心臓とともに全身がびくっと跳ね上がった。
いけないことをした子供に教えて込ませるような。

でも艶のある声は執拗に耳に残り、どこか加虐性を感じさせる。


あまりの色気と伝えられた真実の卑猥さに恥ずかしくて眩暈を起こしてしまった。露骨な表現に、羞恥で一瞬にして熱が顔に広がっていく。


今頃俺は、顔が真っ赤になっているだろう。
でも、恥ずかしくても事実だから何も反論できない。


居た堪れなくて、上を向かせられた状態のまま、視線を反らそうとした。
その瞬間。


「んんッ!!」

ぐっと顎を強引に掴まれ、俺の唇に柔らかなものが押し付けられる。何が起こったら分からず、目を見開いたまま固まってしまった。


徐々に唇に当たる感触と涼介の顔の近さでキスされたのだと気が付く。
混乱と驚愕で意識をかき乱されて頭の中がぐちゃぐちゃになる。


じっと見つめてくる涼介と強引に目が合わさり、心なしか涼介の目の奥に興奮の色が見える。
その目を見ていると食べられてしまう気がして見続けることができず、ぎゅっと力をいれて目を閉じた。


何度も角度を変えながら、唇ごと貪られるように口付けられる。
目を閉じてしまったから感覚が余計に鋭くなってしまった。


俺の唇を味わって食まれるような刺激が、俺の先ほどまで高ぶっていた熱を再び揺らめかせる。下唇を甘く噛まれ、その柔らかい感触を涼介は楽しんでいるようだった。


「ん、……うんっ…ふぁっ!」

息が上手くできなくて、息苦しさに合わせていた唇を開く。

待っていたというようにするりと熱いものが口に入り込んだ。

キス自体が初めてなのに、こんなに激しいのなんて追いていけない。呼吸が苦しい。


口腔内をすべて味わうようにねっとりと、上顎は下の先でつんつんと刺激されていく。
背中からぞわりと浮き立つような感覚が湧き出てくる。


舌と舌が触れ合ったときに引っ込めて逃げようとしたが、涼介の舌に追いかけれて絡めとられていく。

息の苦しさと、くちゅっ、くちゅっ、としたイヤらしい音に頭がぼんやりと支配されて上手く思考が回らない。


自分はいったいどうして涼介にキスされているのだろう。

こんな痴態をしている同級生を嫌悪するはずではないのだろうか。


しかも、可愛い女の子なら興奮するだろうが、自分は男だ。同性にこんなに激しいキスをする意味が分からない。


(なんで、涼介……?)


「んんっ!……はぁ……はぁ……」

俺の口腔内で暴れまわっていた舌が抜き取られ、柔らかで強引な唇が離れていく。


恐る恐る目を開くと、二人の間に透明な糸が引かれていた。その糸を追うように涼介がもう一度俺の唇にキスをする。

ちゅっと音をわざと立てて唇を吸い上げられる。
涼介も息を荒げさせながら、口の端から舌を出して舌なめずりをした。


いつもの爽やかな青年とは違う、色気が漏れ出ている雄の姿に酔ってくらくらした。

美形の色気を纏った様子は凄まじく、真正面からを受けている自分には耐えられそうにない。


口の端を上げて笑っているはずなのに、涼介は獲物を囲い込んで追いつめる獰猛な獣の目をしている。

俺の知らない涼介を見ているようで少し怖い。


獣に追いつめられていく獲物の気分になり、俺はこくりとつばを飲み込んだ。
期待するように喉を鳴らしてしまった。
 

涼介に囚われて瞳に魅入っていると、下半身からいきなり強い快感に身体が戦慄いた。


「っはぁう!…っえ!…まっ……!」

不埒な手が俺の陰茎を握っていた右手に伸びて、俺の手ごと陰茎を握りこまれる。

突然、身体に電撃のような刺激が走り、身体が後ろにのけ反った。

のけ反った首筋に獰猛な牙があたり、左の首筋をはむっと甘噛みされる。


噛まれた痛みに身体を捩ると、そのままちゅうっと吸われてチクリとした刺されたような刺激がした。


「……待たない。オナるの手伝ってあげる。」

自分の陰茎を握っていた右手に、さらに涼介の手が重ねられて、ゆっくりと上下にしごき始めた。


「…んんっ!…りょう…す……、や…めっ…!」

他人の動きに翻弄され、身体は予想外の刺激に快感をもろに感じてしまった。自分でするのとは全く違う、強い刺激にチカッと一瞬火花が飛んだ。


自慰を親友に見られ、しかも、なぜか親友が手伝っている状況に、困惑と激しい羞恥で顔だけでなく全身が熱い。


「やめないよ…?」

耳元で涼介に低い声で否定される。


「ユウちゃん、オナりたかったんでしょ?……ほら…」

低くていい声が腰にまで伝わり、背筋までもぞくぞくとする。涼介が、さらに陰茎を扱く手を激しく上下に動かしてくる。


「っ…んんっ…。はぁ!……ん!」

ぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋に響く。羞恥で耳を塞ぎたくなる。

でも、両手を涼介に握られているため、卑猥な音が身体を急激に煽っていく。


変な声が出そうになるのを、必死に口を引き結んで耐えていた。
その様子を目ざとく涼介が見抜いてくる。


「……声我慢しないで。」
「やぁ…んっ。……やあっ!……」


少しでも抗いたくて、怖いくらいの快感も逃したくて、力なく首を左右に振った。


「…嫌じゃないでしょ…?こんなに固くして…。」

涼介は陰茎の先っぽの穴を右手の親指で塞ぐと、指の腹でぐりぐりと穴を弄り始める。


「あぁ!!あっ、あっ…そ、こ…!…ぐり…ぐ…り…しなっ…で!!」

先ほどよりも強い快感に背中を弧のように反らせた。堪らず引き結んでいた唇が解けて、あられもない声が悲鳴のように出てしまう。


自分の手が陰茎に触れているのに、涼介の予想できない動きが俺の身体を弄ぶ。

気持ち良すぎて、無意識に膝ががくがくと震えて足の指先に力が入る。


「……ここ、気持ちいい?……エロい声、出ちゃったね?」

顔を覗き込まれながら、涼介にクスっと笑われて揶揄われる。恥ずかしい嬌声を出したことを嫌でも自覚させられた。


俺は認めたくなくて、イヤイヤと首を左右に降る。
涼介に陰茎を右手で握られながら、Tシャツを胸元までまくり上げられた。

肌が露出して冷たい外気にふるりと震えると、涼介の左の指先が脇腹から上へとするりと肌を撫で上げていく。


ゆっくりと焦らす様に撫でていたのに、いきなり胸元にあるぷくっと立っている、左の乳首をきゅっと摘ままれた。


「あんっ!」

(……え?なんで……?うそ……)

胸元にあるほとんど意識したことのない小さな突起を、親指と人差し指きゅっ、きゅっと摘ままれ捏ねられる。


女の子じゃないんだから、そんなところで感じるはずない。

そう思っていた俺の考えをあざ笑うように、身体は素直に甘い感覚を拾い上げた。

摘ままれるたびにピクピクと肩が跳ねていると、ぬるっとした湿った感触が右の乳首にあてがわれた。


「っ!あぁ!…はぁん!」

何をされたのか思わず下を見て後悔した。

端正な顔立ちが俺の右乳首に舌を這わせて、俺に見せつけるように上目遣いで、突起をねっとりと舐めあげている。


「……ここでも感じちゃうの?……ユウちゃんはえっちだね。」

そう言って乳首をねっとりと舐めあげていた舌が、ちろちろと早い動きに変わり突起の先端を弄ぶ。


唇を乳首に押し付けられてちゅう、ちゅうと吸われると堪らずびくっと身体がのけ反った。

余計に乳首を涼介に差し出すような形になり、舌が機会を逃さないとばかりに、突起を潰し舐めしゃぶってきた。
 

「ふぁあっ!…ち…が……。うっん…!」

言葉で否定しても、素直な身体の反応は隠し通せない。
それでも言葉だけでも否定していないと、快感に飲み込まれてしまう。


「…違わないよ。腰もこんなに動かして……。気持ちいいんでしょ?」

自分のしていた行為を責め立てられ、涼介に嫌われるという恐怖が頭をよぎる。


今までに感じたことのない快感と不安で瞼の裏が熱くなり、視界が揺らいだ。

寮室の中にくちゅくちゅと卑猥な水音が響く。その音は胸元からも下半身からも聞こえてきて、耳が侵されていく。


いやらしい音を自分が出しているのかと思うと恥ずかしくて聞きたくない。耳を塞ぎたい。
でも、腰から響く甘く重い快感が身体を支配していて、身体が思うように動かせなくて抵抗できない。
 

俺の陰茎を握る手の上下の動きが、さらに容赦なく大胆になっていく。


「あぁんっ!…ひうっぁ…、ご…めんっ、な…さ……。」

ベッドの上で、好きな人に乳首を弄られ、舐められながら、陰茎を握られ上下に激しくしごかれる。


激しく身体を襲う快感と、どうしてこんな状況になっているのかという戸惑いで、心がついていかない。


身体と心がバラバラになっていくようで心細さに耐えられなくなった。俺は、とうとう我慢できなくなった瞳から、ぽろりと涙をこぼした。


好きな人に嫌われてしまった……。


ベッドの上に脱ぎ捨てられていた親友の服を勝手に着て、匂いに興奮して自慰していたなんて変態だ。


気持ち悪いと思われて当然…。


謝っても親友の関係は壊れてしまう。
この行為も変態な俺に対するきっと嫌がらせなのだろう。


涼介は右の乳首から口を離すと、左頬に顔を近づけ涙を唇で掬い取った。そのまま左耳に唇を寄せて、耳たぶをペロリと舌で一舐めして甘噛みしてくる。

そんな些細な刺激でも、身体が大げさなほどビクビクと跳ねてしまう。
涼介にされること全てに、敏感に反応するのを止められない。


涼介は左の耳元に一層低い声で言い放った。


「許さないよ、ユウちゃん。」


涼介の冷たい声色に一瞬息が詰まり、不安と恐怖で目を閉じようとした。
 

許さないと、涼介に言われてしまった。


涼介は自分に怒っている。
どんな顔をしているのか見るのが怖い。


目を閉じようとした俺の顎を、グイっと左手で持ち上げられ、無理やり視線を合わせられる。

涙で滲んだ視界には、ギラギラとした欲望を孕んだ目で自分を捕える涼介の顔が見える。


獲物を完全に捕らえたとばかりに、涼介は舌なめずりをして囁いた。



「いけない子には、お仕置きしないとね。」



もう、逆らえない。

獰猛な獣の唸るような欲情の声に
俺は仕留められたと悟った。
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