異世界で魔道具にされた僕は、暗殺者に愛される

第六章 決戦の地へ

重く深く、暗い愛を ※

昔のことを思い出してぼんやりとしていると、レイルが不服だと言わんばかりに僕の乳首をつねり上げた。


「ひぅっ？！」
「……考え事をするなんて、余裕だな？」

それなら、もっと激しくしてもいいか、とレイルは僕に言い聞かせるでもなく呟くと、乳首を思いっきり強く吸い上げた。そのまま甘く痺れる突起を舌で転がされて、あまりの快感に背が仰け反る。

自分からレイル胸を突き出す姿になり、ベッドと僅かに離れた背中にレイルの手が添えられた。ベッドに戻ろうとした身体を逃がさないとばかりに、レイルは僕の身体を起こして敏感な突起に唇を押し付ける続ける。僕を危なげなく支えながら、レイルの右手は手早く僕のズボンを剥ぎ取った。


「あっ、やっ……？！。ま、って……！」
「待たない」

突然、僕の中心に鋭い快感が走って一際大きく身体が仰け反った。生まれたままの姿になった僕は、胸の刺激に気を取られて、太腿を怪しく擦っていたレイルの手が、上へ動いていたことに気が付かなかった。ゆるく立ち上がっていた僕の中心を、レイルの大きな手が包むと容赦なく扱き上げる。

胸の突起と同時に下肢も荒く刺激され、乱暴な快感に何も考えられない。太腿がガクガクと痙攣すると、お腹に溜まっていた熱が僕の中心へと急激に集まっていく。もう限界が近いけど、恥ずかしさで必死に耐えていると、レイルが先端の穴を抉るようにぐりっと親指で刺激する。

せり上がった快感が、一気に弾けた。


「やっ……、あぁぁあ……っ！」

甲高く甘い嬌声が口から零れて、僕の身体が激しく震えた。頭が真っ白になって、瞼の奥でパチパチと火花が散る。お腹に渦巻いていた熱がどっと溢れて、僕から出た白濁がレイルの腹筋を汚した。達した僕の顔をじっと見つめる深紅の瞳が思いのほか間近にあって、僕は顔を横に背けようとした。

でも、次の瞬間には目を見張って身体を強張らせることしかできなくなる。


「まっ、…て！！……イッた、から……！だ、めぇ……」
「だめだ。俺以外に気を取られた罰だ」

イヤイヤと左右に首を振っても、快感に滲んだ視界でレイルを見上げて懇願しても、レイルは許してくれない。レイルは僕の出した白濁を指で掬うと、達して緩んでいた窄まりにその指をゆっくりと、遠慮なく入れ込んだ。中の具合を確かめるように内壁を押し広げながら進んでいたかと思うと、身体の中で一番敏感なしこりをくいっと指先で押す。

びくんっ、と僕の身体が跳ねて、ひと際甲高い声が漏れる。


「あっ？！……あ、……やぁ、あっ！」

激しくすると宣言したとおり、僕の中を犯す指は上下に激しく抜き差しされて、僕の一番敏感な中のしこりを２本の指が挟みこんだ。達したばかりの敏感な身体を、さらに責め立てられて一番の弱点を探り当てられ、苛め抜かれる。激しく擦られて、時折り摘まんで引っ張るようにされて、僕の身体は何度もレイルの腕の中で絶頂してガクガクと震えた。


そのたびに、胸の突起も強く吸い上げられて、深く口づけられて思考を奪われる。耐えようとしても、レイルは僕を快感に引きずり込もうと巧みに、確実に僕を高めていく。


ここから、レイルはとても意地悪になる。

羞恥で赤く染まって、身体と頭が快感でおかしくなっている僕に、もっと淫らになるように。自分自身で身体を差し出す可哀そうで淫靡な餌食となるように、僕を堕としにかかって来る。


止めてと言っても、胸の突起を唇で食まれて、中心を弄ばれて、中を緩急をつけて弄られる。そんな拷問のような快感に何度目かの絶頂を味わったというのに、僕のお腹の奥の疼きが収まらなくて、何かをもっと求めていた。僕は溶かされた頭で、身体と心が求めるものをうわ言のように口から零していた。


目の前の赤く獰猛な光を称えた瞳を、僕は快感に濡れた目で必死に見上げながら、淫らなお願いを口にする。


「んっ、レ、イル……っ！僕、もう……、ほし、い……」


息も絶え絶えに、僕はレイルに懇願した。
貴方が欲しい。
貴方と繋がりたい。


「……はっ」

掠れた声で短く笑ったレイルは、獲物が手に墜ちたという愉悦に笑う、獰猛な獣のようだった。紅い瞳はさらに深く暗く深紅に染まり、本能から来る色欲にまみれた色香が、雄らしい身体から一気に漂う。

この人になら、僕の全てを食べてもらいたいと思うほど、僕の芯から起こった欲情の震えで身体が痺れた。


レイルは僕をベッドに再び押し倒すと、中に入っていた指をずるりっと抜いた。指が抜けたことにさえ快感を拾って身じろいでいた窄まりに、指とは比べ物にならないくらいの熱があてがわれる。


「……入れるぞ」
「……あっ、ンッ……あぁぁぁっ！！」

凄まじい質量と熱の楔が、僕の中へと打ち込められて甘い悲鳴が止まらない。熟していた窄まりは、レイルの熱を簡単に受け止めて、その太く長いものを嬉しそうに奥へと導いていく。楔が擦れた場所は熱すぎて、熟した内壁は敏感に快感を拾っては僕をおかしくさせた。

レイルは挿入しただけで絶頂に喘ぐ僕を見下ろして、さらに快感の種とも言えるしこりを集中的にレイルに抉り責め立てた。


「あっ、あっ、あぁ……！」
「……はぁ……。サエ……」


断続的に漏れ出る僕の嬌声に、レイルの興奮して掠れた吐息が混ざる。抽挿が激しくなるにつれて、僕は自分の身体がどこか深い場所に墜ちていくような感覚に心もとなくなって、レイルの背中に爪を立てた。快感がせり上がっては、昇りつめてまた波が押し寄せる。性急に激しく求められる息苦しさも、身体を支配する熱も、この身に刻まれる衝動も全てが愛しくて。


自分という存在自体が求められているような気がして、僕はとても幸福だ。


「サエ……。愛してる」
「僕も……。僕も、レイルを愛してる」


例え、この世界が僕たちにとって残酷な現実だったとしても。
愛しい貴方さえいれば、何もいらない。


僕の身も、心も、死さえも。全てはレイルのもの。


もしも、どちらかの命の灯が消えたのなら、もう片方も共に消えることを望むだろう。僕たちは、お互いに離れることを決して許さないから。
何があっても、どこに行っても、ずっと共にいる。


蜜のように甘く、鉛のように重い。静かな湖の底のように暗い愛。僕にとって、その歪な愛の鎖につながれていることが、何よりも愛を感じて幸福だった。



【完】