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目覚めのキス
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「えっ? えっ? どういうこと?」
目を瞑ってキスをしてきた愼の顔を間近で捉える。そういえば、額の肌質が少しだけ変わったような気がする。キスで照れるとかドキドキするとか、そんな余裕は全くなかった。
「優樹様の声を聞いたのです。……でも、その前に何か食べませんか? お腹が空いたというのはこういうことでしょ?」
一瞬静かになった室内で、布団の中からグーーっと愼の腹が鳴っているのが聞こえた。
「う、うん。まぁ。」
そういえば俺も昨日はカップラーメン1つぐらいしか食べてない。急速にお腹が空いてきたような気がして、愼の言葉に同意した。
愼は楽しそうだった。布団を畳むときには「どうして隣で寝ていたの?」と答えようがない質問をしてきたり、掛け布団と敷布団を一度に持ち上げて運ぼうとして「重いっ!」などと声を張り上げたり。
俺がやるというのを無理矢理奪い取って、卵をぐしゃぐしゃに潰して声を張り上げて笑ったときには、俺も思わず笑ってしまった。
「だから俺が割るって言ったのに。」
フライパンに広がった殻入り目玉焼きの中から、どうにかして殻を取り除こうと苦戦しながら声をかける。愼はその後ろで、オーブントースターに入れた食パンの焦げ具合を熱心に眺めていたようだった。
「以前学習したはずの力加減が全く通じないというのは……また初めからやり直し。でもそれも楽しい。」
いきなり愼に背後からギュッと抱きしめられて、危うくフライパンに顔を突っ込むところだった。
「あ、危ないだろっ! 愼! 火傷するっ!」
「ああ、すみません。優樹様の顔が火傷するなんて……。修復はできませんものね?」
何だか調子が狂う愼の態度に戸惑いながら、朝食を作り終える。愼が気が利いて沸かしたお湯を使って2人分のカフェ・オ・レを作り、4枚のこんがり焼けたトーストと目玉焼き。それらを全部テーブルに並べて向かい合ってソファに座る。
味をみたいと愼は、冷蔵庫の中からジャムやマーガリン、チョコレートクリーム、バターを出してきてトースト2枚にベタベタと塗り始めた。
「あんずジャムとチョコレートでは……チョコの方が断然甘いですね?」
食パン一枚に半分ずつ塗ったジャムとチョコレートの味を見ていた愼に向かって、俺はようやく聞いてみようと思った。
「で? 何があったの?」
愼が入れてくれたカフェ・オ・レを一口喉に流し込む。スティック状のものだから、いつもと変わらない味のはずなのに、何故か美味く感じた。
「優樹様と身体を繋げてはみたものの、気を失ってしまったあなたを見てとても後悔しました。」
口に入っていたトーストを飲み込んで、愼が真面目な顔になって口を開いた。
目を瞑ってキスをしてきた愼の顔を間近で捉える。そういえば、額の肌質が少しだけ変わったような気がする。キスで照れるとかドキドキするとか、そんな余裕は全くなかった。
「優樹様の声を聞いたのです。……でも、その前に何か食べませんか? お腹が空いたというのはこういうことでしょ?」
一瞬静かになった室内で、布団の中からグーーっと愼の腹が鳴っているのが聞こえた。
「う、うん。まぁ。」
そういえば俺も昨日はカップラーメン1つぐらいしか食べてない。急速にお腹が空いてきたような気がして、愼の言葉に同意した。
愼は楽しそうだった。布団を畳むときには「どうして隣で寝ていたの?」と答えようがない質問をしてきたり、掛け布団と敷布団を一度に持ち上げて運ぼうとして「重いっ!」などと声を張り上げたり。
俺がやるというのを無理矢理奪い取って、卵をぐしゃぐしゃに潰して声を張り上げて笑ったときには、俺も思わず笑ってしまった。
「だから俺が割るって言ったのに。」
フライパンに広がった殻入り目玉焼きの中から、どうにかして殻を取り除こうと苦戦しながら声をかける。愼はその後ろで、オーブントースターに入れた食パンの焦げ具合を熱心に眺めていたようだった。
「以前学習したはずの力加減が全く通じないというのは……また初めからやり直し。でもそれも楽しい。」
いきなり愼に背後からギュッと抱きしめられて、危うくフライパンに顔を突っ込むところだった。
「あ、危ないだろっ! 愼! 火傷するっ!」
「ああ、すみません。優樹様の顔が火傷するなんて……。修復はできませんものね?」
何だか調子が狂う愼の態度に戸惑いながら、朝食を作り終える。愼が気が利いて沸かしたお湯を使って2人分のカフェ・オ・レを作り、4枚のこんがり焼けたトーストと目玉焼き。それらを全部テーブルに並べて向かい合ってソファに座る。
味をみたいと愼は、冷蔵庫の中からジャムやマーガリン、チョコレートクリーム、バターを出してきてトースト2枚にベタベタと塗り始めた。
「あんずジャムとチョコレートでは……チョコの方が断然甘いですね?」
食パン一枚に半分ずつ塗ったジャムとチョコレートの味を見ていた愼に向かって、俺はようやく聞いてみようと思った。
「で? 何があったの?」
愼が入れてくれたカフェ・オ・レを一口喉に流し込む。スティック状のものだから、いつもと変わらない味のはずなのに、何故か美味く感じた。
「優樹様と身体を繋げてはみたものの、気を失ってしまったあなたを見てとても後悔しました。」
口に入っていたトーストを飲み込んで、愼が真面目な顔になって口を開いた。
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