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どうして……
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ふと目を開ける。カーテンの隙間からの光がもう朝だと告げていた。やけに静かだ。音楽も、キッチンで朝食を作る愼の物音もしない。まだ早い時間?
『いてっ……。』
時間を確かめたい。ベッドの棚のスマホを取ろうと腕を伸ばした時に、夕べ愼を受け入れたところが微かに痛んだ。愼……。アンドロイドなのに、好きだって。……AIなのに好きだって……。
夕べの激しさを思い出して顔が熱くなる。愼は俺の理想。そのように顔も体も設定した。けれどもだからといってセッ・スマ・ーンを作ったわけじゃない。アレは俺の本意じゃない。
『って、何で反応するんだよっ!』
自分の分身が反応しているのが分かる。充電器に繋がれているはずのスマホはなかった。どこに置いたのか覚えていない。キッチンのカウンターかそれともテーブルの上か……。愼が見つけたら、充電をしておいてくれるはずだけれど。
『? そういえばやけに静かだ。』
朝になると動き回る愼の足音がするはずだ。そんなに起きるのが早かったかな? 疑問に思いながら、とりあえずトイレに行くことに決めてベッドから起き上がった。
「愼っ!」
リビングに続くドアを開けて真っ先に目に飛び込んできたのは床に倒れている愼だった。慌てて駆け寄る。体を支えようとしたのか、両腕が顔の傍でくの字に曲がっていた。うつ伏せになって、顔を横にして……。
「愼! どうした!」
体を仰向けにしようとしても、ピクリとも動かない。物凄く重量があって力がいる。全身の力を込めて何とか仰向けにした。
「愼! 愼? おい、どうしたんだよ?」
顔をペチペチと叩くが反応をしない。目と口は固く閉ざされたままだった。服は夕べ見た通り。赤のチェックのシャツにブラックジーンズ。そして……裸足だ。
「愼! 愼! おい、起きろって!」
そこまで言ってハッとする。愼はアンドロイドとともに、AIとしてこの部屋を管理しているんだ。そう気がついた俺は天井へ向かって声を張り上げた。
「じーーん! 反応しろっ!」
俺の大声が、ものの少ない室内に反響する。愼からの返事はなかった。何だか泣きそうになってきた。愼の上半身を持ち上げて、抱え込んだ。冷たく、力が抜けた愼の重さが、とんでもないことが起きていると感じさせる。
「愼! 2号! おい、誰でもいいから反応して!」
最後は悲鳴にも似た俺の叫びに、誰も反応するものはいなかった。
『とにかく何とかしなくちゃ。』
愼を持ち上げるのは不可能だ。だからといって引きずりたくはない。俺は愼の体をそっと手放し、寝室へ向かって布団を取りに行った。
一度も使ったことのない敷布団にシーツを被せ、愼を転がすようにして寝かせる。掛け布団も持ってきた。そこでふと気づく。愼はアンドロイドだ。寝るなんて有り得ない。
『バッテリー……!』
リビングの隅に置いてある俺の昔の鞄。中から一度見たことのあるバッテリーを2つ取り出す。入れ方は一度見たことがある。
『愼、待ってろよ。』
服を捲り上げて右側のウエスト部分にあるバッテリー入れを開ける。2つともつけ替えてしばらく様子を見たが、愼が目を覚ます様子はなかった。
「愼! 愼! じーーんっ! 目を開けろよっ! 愼、誰か反応してっ!」
もはやどこに向かって言っているのか分からない。大声で叫んでも何も反応はなかった。布団に横たわり物言わぬ機械の塊になったアンドロイドを前にして、大量の涙が溢れ出てきた。
『いてっ……。』
時間を確かめたい。ベッドの棚のスマホを取ろうと腕を伸ばした時に、夕べ愼を受け入れたところが微かに痛んだ。愼……。アンドロイドなのに、好きだって。……AIなのに好きだって……。
夕べの激しさを思い出して顔が熱くなる。愼は俺の理想。そのように顔も体も設定した。けれどもだからといってセッ・スマ・ーンを作ったわけじゃない。アレは俺の本意じゃない。
『って、何で反応するんだよっ!』
自分の分身が反応しているのが分かる。充電器に繋がれているはずのスマホはなかった。どこに置いたのか覚えていない。キッチンのカウンターかそれともテーブルの上か……。愼が見つけたら、充電をしておいてくれるはずだけれど。
『? そういえばやけに静かだ。』
朝になると動き回る愼の足音がするはずだ。そんなに起きるのが早かったかな? 疑問に思いながら、とりあえずトイレに行くことに決めてベッドから起き上がった。
「愼っ!」
リビングに続くドアを開けて真っ先に目に飛び込んできたのは床に倒れている愼だった。慌てて駆け寄る。体を支えようとしたのか、両腕が顔の傍でくの字に曲がっていた。うつ伏せになって、顔を横にして……。
「愼! どうした!」
体を仰向けにしようとしても、ピクリとも動かない。物凄く重量があって力がいる。全身の力を込めて何とか仰向けにした。
「愼! 愼? おい、どうしたんだよ?」
顔をペチペチと叩くが反応をしない。目と口は固く閉ざされたままだった。服は夕べ見た通り。赤のチェックのシャツにブラックジーンズ。そして……裸足だ。
「愼! 愼! おい、起きろって!」
そこまで言ってハッとする。愼はアンドロイドとともに、AIとしてこの部屋を管理しているんだ。そう気がついた俺は天井へ向かって声を張り上げた。
「じーーん! 反応しろっ!」
俺の大声が、ものの少ない室内に反響する。愼からの返事はなかった。何だか泣きそうになってきた。愼の上半身を持ち上げて、抱え込んだ。冷たく、力が抜けた愼の重さが、とんでもないことが起きていると感じさせる。
「愼! 2号! おい、誰でもいいから反応して!」
最後は悲鳴にも似た俺の叫びに、誰も反応するものはいなかった。
『とにかく何とかしなくちゃ。』
愼を持ち上げるのは不可能だ。だからといって引きずりたくはない。俺は愼の体をそっと手放し、寝室へ向かって布団を取りに行った。
一度も使ったことのない敷布団にシーツを被せ、愼を転がすようにして寝かせる。掛け布団も持ってきた。そこでふと気づく。愼はアンドロイドだ。寝るなんて有り得ない。
『バッテリー……!』
リビングの隅に置いてある俺の昔の鞄。中から一度見たことのあるバッテリーを2つ取り出す。入れ方は一度見たことがある。
『愼、待ってろよ。』
服を捲り上げて右側のウエスト部分にあるバッテリー入れを開ける。2つともつけ替えてしばらく様子を見たが、愼が目を覚ます様子はなかった。
「愼! 愼! じーーんっ! 目を開けろよっ! 愼、誰か反応してっ!」
もはやどこに向かって言っているのか分からない。大声で叫んでも何も反応はなかった。布団に横たわり物言わぬ機械の塊になったアンドロイドを前にして、大量の涙が溢れ出てきた。
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