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どうして……

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「あ、アアアアン……。」

 下から突き上げられて声が出る。愼はどこで学習したんだ? ネット? 愼、愼は感じているの? こんなのは欲しくない。愼と愼と1つになったところで、愼はアンドロイドだろ。

「気持ちがよさそうです。」
「あっ、あっ、ちがっ!」

 愼が目を細めて俺を見ながら、腰を振り上げていた。キスも初めてだった。バートキスなのかフレンチキスなのかすら分からなかったけど、ひんやりと冷たかった。今俺の中に入っているものだって……。

「対位を変えてみますか?」
「い、いやっ! や……止めて……。」

 声が小さくなる。愼の分身が俺の良いところに当たって擦られ、俺のモノは破裂寸前だ。嫌なのに、ディ・ドを入れるのと変わらないはずなのに、俺の身体は今まで以上に快感を拾っていた。

 服を着たまま、ズボンを引き下ろしただけの愼が、自分の分身を引き抜いた。立ち上がらされてバックから責められる。浴槽の奥についた手で自分の身体を支えるのが精一杯だった。

「じ、じん……。や、止めて? 本当に、あ、アアアン!」
「本当にやめて欲しいのですか?」

 愼が俺の身体にしがみつき、細かく腰を振る。もう、俺は限界だった。右側から降り注ぐシャワーで愼の身体の右側だけが暖かく感じた。愼が人間だったら、そしてこんな風に愛しあえたら最高なのに……。

「う、うああああっ!」

 頭から爪先まで稲妻が駆け抜けたような痺れが走り、頭の中が真っ白になった。そこで、俺の記憶はプッツリと切れてしまった。



「すみませんでした……。」

 愼の優しい手が俺に服を着せる。愼の濡れた髪からポツリと冷たい水滴が顔に落ちた。目を開けると、洗面所で愼が俺を着替えさせているところだった。愼は裸だ。俺のパジャマを濡らさないように、自分の服を脱いだに違いない。

「愼……何故?」

 喉が掠れてきているのが分かる。声を出しすぎた。普段だってあまり他人とは喋らないのに。

「後始末は全てやっておきます。先ずはお休みください。」
「は、歯は磨きたい。そして水を飲みたい。」
「承知いたしました。」

 裸のままの愼から、歯磨き粉をつけた歯ブラシを手渡された。歯を磨き始めると、愼が背中を見せて洗面所から出て行った。愼の全身の裸、見たのは初めてだ。引き締まった腰、広い肩幅。どこを取っても羨ましい体型をしている。

「さあ、ベッドへ。」

 いつの間にか着替えた愼が、大きなコップに水をいっぱいに入れて持ってきた。一気に飲み干すと、コップを取り上げた愼に身体を持ち上げられていた。

「歩けるから!」
「……反省しています。気を失うとは思っておらず……。」

 静かな愼の言葉に黙り込む。何と言ったらいいのか分からなかった。気持ちよかったと伝える? いや違う。もう二度と嫌だと伝える? それも違う。俺は何と言ったら良いのかが分からなかった。

「ごゆっくりお休みください。」

 布団に静かに寝かされ、毛布と布団を掛けられた。優しく、本当に優しくしたいという愼の気持ちが伝わってきて、目の奥が熱くなる。泣きたくなんかないのに、何をどう考えれば良いかが分からない。

「ではまた明日。7時に起こしに参ります。」

 部屋を出て行く後ろ姿を見つめる。何故か涙が出てきた。俺と色違いの赤いチェックのシャツを着て、ブラックジーンズに身を包んだ愼。アンドロイドとしての愼の姿を見たのは、それが最後だった。

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