もこ

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どうして……

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  愼の両手が頬を包み込み、顔が上を向かされた。手が冷たい。さっきまで食器洗いをしていたから……。でもその目は真剣で二重瞼の鋭い視線が俺を射抜いていた。

「優樹様。この気持ちは何なのでしょう? 初めは優樹様の表情を確認して感情というものを学習しているはずでした。」
「……愼。」

 お前はアンドロイドだ。機械だろ? でもこの真剣な眼差しとさっき聞いた「愛しています」の声が俺の気持ちを言葉にしなかった。

「優樹様が笑顔でいること。そのために優樹様をお守りするのが務め。そう思っていましたが、違う。……貴方の笑顔が見たい、そしてお守りしたいのです。」

 愼が目を瞑り、顔を少し傾けながら近づけてきた。愼とのキス。唇も人間とのそれと変わりないと思ったけれど、やはりひんやりと冷たかった。

「愼……どうして。」

 唇が離れた途端に言葉が自然に口から出てきた。涙が出てくる。誰かに愛して欲しい。そう、自分は今まで誰からかの愛を受けることを欲していた。ただの肩書きに吸い寄せられるだけの憧れや、下心など抜きにして。それがこんな身近にある。けれど、愼はアンドロイドなんだ。アンドロイド……。

「泣かないで。」

 冷たさをあまり感じなくなった愼の指が、俺の流れた涙を拭う。でも後から後から流れてくる涙は止まりそうもなかった。

「私自身にも分かりません。優樹様の求めてるものとは違うことも承知しています。でも、あのディ・ドを挿れるのなら、私のものも受け入れられるはずです。」

 そういった愼に体を抱え上げられた。座り込んだ愼の太腿の上を跨ぐように座らされる。力が強い。抵抗する間もなかった。

「ここ、でしょう?」

 俺の臀部をするりと撫でた指が、自分で解した部分に当てられる。少しだけ冷たい指が愼がアンドロイドだと知らしめる。違うんだ。ここで受け入れてしまったら……。

『俺はどうなる?』

 本物の愛というものは知らない。今までに出会ったこともない。愼がいくら「愛してる」と言ったところで、俺の求めているものとは違うんだ。

 でも俺の身体は正直だった。愼に刺激されて、分身が期待で勃ち上がってくる。後ろも更なる刺激を欲してヒクついているのが分かる。

「私に身体をお預けください。」

 そう言った愼の肩にもたれかかるようにして、肩に顔を埋めた。愼の身体は服の上からでもひんやりと冷たかった。

「愛し合い方は存じております。」

 そう言った愼の指が、叩きつけるシャワーの中からプツリと入ってくるのが分かった。

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