34 / 65
衝撃
2
しおりを挟む
2コマ目の授業が終わり学食へと向かう。最近は外が寒すぎて弁当を買って外で食べる気にはならない。空き教室で弁当を食べる奴らもいるけど、その中に入っていくのは気まずいし。かといって1人で食べているところに誰か入ってきても……。
『今日は何を食べようかな?』
お盆を手にして列に並びながら考える。今日はいつもより混んでいるような気がする。気のせいか? そんなことを考えているうちに、誰かに肩をポンと叩かれた。
「米田さん!」
「よお、優樹。ラーメン一緒に食べね?」
振り返ると、米田さんが笑顔を浮かべてそこに立っていた。学食の裏手に、ラーメンが食べられる店があるのは知っていた。学食とは違ってどこかの店が支店を出してるとか何とか。
結構安価で美味しいラーメンが食べられるという噂だ。野菜タンメンには山盛りにもやしが乗っているという。でも一度覗いてみたそこは結構狭くて、1人で入るには敷居が高く一度も食べたことがなかった。米田さんと一緒なら。
「いいですよ。行きましょう。」
俺は列から離れてお盆を返し、米田さんと一緒に一度外へ出てラーメン屋の入り口へと歩いて行った。
今日は学食の方が人気があったのか、店はあまり混んではいなかった。唯一空いていた席もすぐに取ることができて、ラーメンにありつくことができた。
噂の野菜タンメンの味噌味。これでもかともやしが乗っていてワンコインは安いだろう。塩味の野菜タンメンを頼んだ米田さんと一緒に席に着き、最近のバイトの様子や、取っている授業について話が弾んだ。
『ああ、やっぱり米田さんといるとホッとする。』
自然体でいられる所がいい。年上だから敬語になっちゃうけど、それはそれで構わない。「好きだ」と思っていた気持ちも、だいぶ薄れてきた。米田さんの優しさに憧れはあるけど、それだけ。うん、俺はもう大丈夫かもしれない。
「優樹さ、この後でちょっと俺に付き合わね? 前の自販機で飲みもん奢るからさ。」
「えっ? 何ですか?」
ラーメンを食べ終わり、水を飲んでいたところで米田さんに話しかけられた。その口調が何だか戸惑っているような気がして、少しだけ気になった。
「お悩み相談。ちょっとここではなぁ。」
「いいですよ。」
友人として。後輩ではあるけれど、悩みを相談されるなんて初めての経験だ。米田さんになら、何か力になってあげたい。いや、たぶん聞くだけになるとは思うけど……。俺は即座に同意した。
自販機でホットココアを奢ってもらい、手を温めながら米田さんと歩く。次の授業まで30分を切ってるけど、大丈夫だろう。気軽に考えながら、米田さんの後ろを歩く。
『あれ? ここは……。』
俺がよく弁当を買ってきて使う林の中のベンチ。沢山植えてある欅やコナラの木は葉をすっかり落として丸裸になっていた。ベンチに乗っていた幾つかの葉を手で払った米田さんを眺める。米田さんが座った隣に腰を降ろした。
「何かあったのですか?」
熱々のココアはまだ飲む気にはならない。カイロがわりにポケットに入れて米田さんの方を見た。米田さんはこちらを見ようとせずに、ジッと前を向いていた。
「俺さ、彼女いるっていったじゃん? 何だか危ない事に手を出しているみたいでさ……。」
「危ないこと?」
俺が問いかけた瞬間、後ろでカサッと落ち葉を踏む音が聞こえた。後ろを振り向いた瞬間、誰かの腕が俺の首に回ってきた。
「米田さん! …………愼!」
俺が声を出せたのはそこまでだった。
『今日は何を食べようかな?』
お盆を手にして列に並びながら考える。今日はいつもより混んでいるような気がする。気のせいか? そんなことを考えているうちに、誰かに肩をポンと叩かれた。
「米田さん!」
「よお、優樹。ラーメン一緒に食べね?」
振り返ると、米田さんが笑顔を浮かべてそこに立っていた。学食の裏手に、ラーメンが食べられる店があるのは知っていた。学食とは違ってどこかの店が支店を出してるとか何とか。
結構安価で美味しいラーメンが食べられるという噂だ。野菜タンメンには山盛りにもやしが乗っているという。でも一度覗いてみたそこは結構狭くて、1人で入るには敷居が高く一度も食べたことがなかった。米田さんと一緒なら。
「いいですよ。行きましょう。」
俺は列から離れてお盆を返し、米田さんと一緒に一度外へ出てラーメン屋の入り口へと歩いて行った。
今日は学食の方が人気があったのか、店はあまり混んではいなかった。唯一空いていた席もすぐに取ることができて、ラーメンにありつくことができた。
噂の野菜タンメンの味噌味。これでもかともやしが乗っていてワンコインは安いだろう。塩味の野菜タンメンを頼んだ米田さんと一緒に席に着き、最近のバイトの様子や、取っている授業について話が弾んだ。
『ああ、やっぱり米田さんといるとホッとする。』
自然体でいられる所がいい。年上だから敬語になっちゃうけど、それはそれで構わない。「好きだ」と思っていた気持ちも、だいぶ薄れてきた。米田さんの優しさに憧れはあるけど、それだけ。うん、俺はもう大丈夫かもしれない。
「優樹さ、この後でちょっと俺に付き合わね? 前の自販機で飲みもん奢るからさ。」
「えっ? 何ですか?」
ラーメンを食べ終わり、水を飲んでいたところで米田さんに話しかけられた。その口調が何だか戸惑っているような気がして、少しだけ気になった。
「お悩み相談。ちょっとここではなぁ。」
「いいですよ。」
友人として。後輩ではあるけれど、悩みを相談されるなんて初めての経験だ。米田さんになら、何か力になってあげたい。いや、たぶん聞くだけになるとは思うけど……。俺は即座に同意した。
自販機でホットココアを奢ってもらい、手を温めながら米田さんと歩く。次の授業まで30分を切ってるけど、大丈夫だろう。気軽に考えながら、米田さんの後ろを歩く。
『あれ? ここは……。』
俺がよく弁当を買ってきて使う林の中のベンチ。沢山植えてある欅やコナラの木は葉をすっかり落として丸裸になっていた。ベンチに乗っていた幾つかの葉を手で払った米田さんを眺める。米田さんが座った隣に腰を降ろした。
「何かあったのですか?」
熱々のココアはまだ飲む気にはならない。カイロがわりにポケットに入れて米田さんの方を見た。米田さんはこちらを見ようとせずに、ジッと前を向いていた。
「俺さ、彼女いるっていったじゃん? 何だか危ない事に手を出しているみたいでさ……。」
「危ないこと?」
俺が問いかけた瞬間、後ろでカサッと落ち葉を踏む音が聞こえた。後ろを振り向いた瞬間、誰かの腕が俺の首に回ってきた。
「米田さん! …………愼!」
俺が声を出せたのはそこまでだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

オー、ブラザーズ!
ぞぞ
SF
海が消え、砂漠化が進んだ世界。
人々は戦いに備えて巨大な戦車で移動生活をしていた。
巨大戦車で働く戦車砲掃除兵の子どもたちは、ろくに食事も与えられずに重労働をさせられる者が大半だった。
十四歳で掃除兵として働きに出たジョンは、一年後、親友のデレクと共に革命を起こすべく仲間を集め始める。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる